春休みモノ写真教室

 「春休みモノ写真教室 小中学生ら30名参加」。今日の読売新聞朝刊(多摩版)に掲載されていた小さな記事のタイトルである。

 「モノ」って一体なんだ?「物(ブツ)写真」なら判る。例えば時計とかネックレスなど「物」(この場合「ブツ」と読む)を撮る「ブツ撮り」だ。でも「ブツ」ではなく「モノ」である。新聞の記事ではすぐ次の行から「春休みモノクロ暗室教室」とあるから、モノクローム、つまり白黒フィルムで撮った写真を現像・プリントする教室である事がすぐにわかる。

 しかしだ、モノクロームを「モノクロ」と略すのは一般的だが、「モノ」と略すか?「モノ」の二文字から「モノクローム」を連想させるのには無理が有り過ぎ。同じ二文字で表すなら「白黒」だろう。天下の読売新聞も郷秋<Gauche>が愛(購)読する神奈川新聞と同じだと書いたら叱られるだろうか。って、書いちゃったけど(^^;

 さて、この「春休みモノクロ暗室教室」は読売新聞社と日本大学芸術学部(写真学科は数多の写真家、カメラマンを輩出していることで有名)が主催し富士フイルムが協賛した催し。練馬区にある日大の江古田キャンパスで28、29の両日に開催されたとの記事にある。小中高生らが写真学科の教授から直接指導を受けたようであるから、参加者にとっては有意義な教室であったことだろう。

 フィルムを使って写真を撮り、そのフィルムを自分で現像しプリントすることが少なくなってどれほどの年月が経っているのだろう。写真と云えばカラーが当たり前になっても、デジタルカメラが普及するまでは多くの写真愛好家が自家現像を楽しんでいたのではないかと思うが、カメラと云えばデジタルカメラと云う時代到来と共にその数は激減していることは間違いないだろう。

 大体がだ、フィルムで撮るカメラが欲しいと思っても、今新品で購入できるカメラは極少なくなっている(注)。35mmのフィルムはまだ入手可能だが、それを現像できるラボは少なくなり、ましてやアナログプリントできるところは皆無に近い状況である。そんな状況の中で(読売新聞はともかく)写真文化を支えてきた自負のある日大芸術学部と富士フイルムは危機感を感じているんだろうな。

 フィルムで写真を撮り、自分で現像・プリントすることは、自分が着る物を自分で縫う・編む、自分で使う茶碗を自分で焼く、自分で使う机・椅子を自分で作るのと同様、もはや手工芸と云われる世界に入っているんだろうな。でも、パソコンやプリンターの世話にならずとも自分の手で写真を創れる事を、そしてその技を後世に伝えることは、フィルムで撮る文化を知っている者の使命と云ってもいいのかもしれないな。

注:コンパクトタイプは富士フイルムから出ている4機種(3~~4万円台半ば)のみ。MF(マニュアルフォーカス)のSLR(一眼レフ)はNikon(ニコン)のFM10(ボディのみ3万円弱)と(フィルターの)ケンコーから出ているニコンFマウントとペンタックスKマウントの4機種(いずれも2万円台)、AF(オートフォーカス)のSLRとしてはニコンF6とキヤノンEOS 1Vがあるがいずれも20万円を超える価格。
 その他に、フォクトレンダーのレンジファインダー式のものが5機種(7~8万円台)。ライカという選択も無くはないが高価すぎて一般的ではないだろうな。新品に限ると選択肢はほとんどないが、中古ならば名機と云われたニコンF3が2万円台から入手可能など、選択肢が非常に広がるので狙い目かも。そうそう、新品一眼レフではVivitar V3800N SLRという選択もある。郷秋<Gauche>の手元にも開封しただけ、新品未使用のV3800N 50mm F1.7付きが1台ある。興味のある方はご一報ください。廉価にてお譲りします。


 今日の一枚は、モノクロームのフィルム、現像用のタンクとフィルムを巻きつけるリール(フィルムを巻きつけたリールをタンクの中に入れて現像する)、そしていま最もポピュラーな現像剤である富士フイルムのミクロファイン(これを1Lの水に溶いて使う)。上の写真には写っていないがもう一つ、定着液があればフィルムの現像が出来る。フィルムの現像は、実は簡単なのである。以上、ご存知のない方のために。
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