弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

訴訟提起が不法行為との判決の事後検証ーその3

2022年05月05日 | 裁判・法律

原告(アブラハムプライベートバンク。現ヘッジファンドダイレクト(株))も当初は
ネットで投資助言契約書を締結していたようだ。
ひょんなことから知ることになった。
それに対する原告の言い分は、
「平成22年1月ごろ、原告で投資DVD教材の販売事業を行うなどの事業の大幅な変更があった。
そのため、社内での情報管理の一元化のために投資助言契約を結んでいただく際に
会員規約を同意するという契約の方法にしたものである。」というものだった。
(原告の準備書面からそのまま引用)

証人尋問準備のために、古い書類を調べていた時に、原告との間で、契約した・しないが表面化した
平成26年にやり取りしたものが見つかった。
それによると、当時(平成22年)の「契約締結に至る事前画面」の
「入力画面キャプチャ―」なるものがあった。
当時(平成22年)の画面(乙61として提出)をPDFにしたもの。ここ

当時(平成22年)の画面によると、フロー図(甲2)のステップ1に相当するのは、2枚目である。
2枚目には、ステップ1に存在する「お客様情報」部分は存在しない。
前段階の1枚目が顧客の住所・氏名等の入力画面になっている。
また、2枚目は直ちに、「確認画面へ」に移行することになっている。
甲2の不自然な「ステップ2」及び「情報確認画面」は辻褄合わせのためとわかる。
(不自然なステップ2及び確認画面は、ファンド購入申込を投資助言契約と勝手に内部処理していた
からであった。)

証人尋問で、証人は、このキャプチャーの存在を認めた。

フロー図についての裁判所の判断はつぎのとおり。

前記⑴とは、結論としてつぎのとおり。

キャプチャーを送ってきたのも、フロー図に沿ってパソコン入力したという相手も同じ○○氏
であるが、在籍しているにもかかわらず、原告は、証人申請もせず、陳述書も提出しない。
極めて不自然であった。
裁判所の判断は当然であった。

・・・・・

些細なことだが、キャプチャーの2枚目のアブラハムプライベートバンク会員規約の枠内の部分
とみると、9条は「裁判管轄」、10条は「苦情に解決のための体制」とある。
ところが、裁判で提出された「アブラハムプライベートバンク会員規約」(甲3)の11枚目では、
9条は「契約外事項の協議」、10条は「裁判管轄」とある。甲3のPDFはここ
甲3は当時(平成22年)のものではないらしいのである。

原告の訴訟提起は「底なしの嘘」のようだった。
今、こうして見直していても怖くなってしまう。


訴訟提起が不法行為との判決の事後検証ーその2

2022年05月03日 | 裁判・法律

その1(ここ)での原告(アブラハムプライベートバンク。現ヘッジファンドダイレクト(株))
の言い分は法律無視の自己都合なもの。
被告として反論したいことは、まとめるとつぎのようなもの(判決から)
アは原告の訴え(本訴)に対する直接の反論(契約をしたことはない)。
イ~エは、その背景にある常識では考えられない原告の真の意図、狙いを暴くもの。
イは会員規約に対する同意と投資助言契約締結の申出とは別物。
ウは原告の投資助言契約は消費者契約法10条違反の無効契約。
エは原告のサービスは投資助言ではなく、ファンド販売(原告が金融庁から処分を受けた違反理由そのもの)。

そして、被告の方から提起(反訴)したことはつぎのとおり(判決から)。
多分、新聞・テレビ等で耳にしたことがあると思うが、原告の訴訟提起は、架空請求・訴訟詐欺というのが
被告の言い分。”架空請求・訴訟詐欺”と聞くと、如何に悪質かがわかると思う。
そして、裁判所は被告のこの言い分を認めてくれたというわけ。
なお、イは慰謝料請求。

ちょっと話が逸れるが、今日は憲法記念日。というわけで、最高裁長官の記者会見があった。
ネット上での中傷投稿を巡る裁判について、個人の尊厳と表現の自由との対立について話があったようだ。
その中で「裁判では論争がかみ合っているかをみていくことが求められる」と話したとあった。
そう。裁判では、双方の論争がかみわないと、とんでもない判決が出ることになることがしばしばある。
論争をかみ合わせる、四つに組むには、
要するに、判断を求める事項・対象を一義的に明確にさせるということである

話を戻すと、イ~エは、契約をした場合でも争い得るものである。
どうしても訴訟詐欺を裁判所に認めてほしい(反訴のア)、これが最優先であった。
そのためには、本訴のアで勝つことが前提である。
最後のまとめで争点を「本訴のア及び反訴のア」と明確にした。イ~エに確信があったし、
特に原告の投資助言契約については、公益的見地から無効を明らかにすべきとの思い入れがあったので、
断腸の思いではあったが、論理的にも、「本訴ア及び反訴ア」に一本化するのが順当な判断だった。

攻撃の的は、フロー図(甲2。会員規約を含む)がメインである。
なお、ここでいう攻撃とは、「最善の防御は良い攻撃だ(The best defense is a good offense)」の意の「攻撃」のこと。

フロー図は偽造(裁判用に虚偽作成したもの)というのが、被告の主張。
被告は原告のPCを使ったことはない、そもそも完全なるでっち上げの訴訟というのが被告の主張。
提出の甲2(フロー図。ここ)をみると、矛盾は明らか。
(なお、甲というのは原告提出の証拠につける。被告提出は乙を使う。)
フロー図(甲2)が虚偽作成(偽造)という主な理由はつぎのようなもの。
1 全頁のページアドレスが同じ(あり得ない)
2 入会ステップ1が最初のページであり、お客様情報はこのページで入力するというが、
  フロー図を見る限り、ステップ1は入力済情報の確認画面にすぎない。
  真正のものなら、前段階として、入力画面がなければおかしい。 
3 入会ステップ2及び確認画面の不自然さ(不要)
4 登録完了画面の原告会社住所は、当時(2010年)のものではない(2011年以降)。
5 その他

原告は、被告の指摘を受けて、訴訟途中から証拠ではなく資料と言い出した。(原告の準備書面から)
往生際が悪い。サンプル文書のことなど何もいっていない。
原告は当初から甲2、つまり原告の2番目の書証として提出していた。
「資料」と言い出したのは、上記のような弁解の余地のない虚偽作成の指摘を受けたからだ。
「資料」など裁判にとって何の意味もない。
要するにフロー図は証拠でないことを、原告自身認めたということである。
そうすると、原告の主張する「契約をした」という証拠は存在しなくなったわけだ。

・・・・・

なぜ、こういうことを長々と論じてきたかというと、裁判所は明らかに原告の主張を認めていたからであった。
被告も、よくよく、検討して、はじめて甲2は嘘の証拠と分かったのである。
たとえば、4の住所の違いも、裁判所の先入観?を何とか崩す方法は、さもなければ、反訴認容どころか
本訴棄却もあり得ないからだった。
それでも、まだ油断禁物だった。

なぜなら、原告が契約書の記載された会員規約として証拠提出されたものの末尾には
被告の情報の記入があったからである。いかにも契約書が存在するかのように。
なお、会員規約はここ

裁判は簡単には勝たせてくれないのである。

今日はここまで。

 


訴訟提起が不法行為との判決の事後検証ーその1

2022年05月01日 | 裁判・法律

前半の連休が終わった。
一日、霧雨だった。窓から外を見ても、目を凝らさなければ、
雨が降っているのかどうかわからない。陰気な一日だった。

・・・・・

判決を紹介したままになっていた。
個人的には、同判決の、特に反訴請求部分が認容されたことは誇りに感じている。
原告アブラハム(現ヘッジファンドダイレクト)の訴訟提起はレッドラインを
超えたものとの認識だ。
偶々、裁判所に認めてもらえたが、実際の場面では、嘘が通用することの方が多いのでは
との感想である。
そういう意味では幸運だった。

そもそも被告には身に覚えのないことだったので、原告の言い分を聞いてから反論するしかない。
ホームページを見たことさえもなかった。
でも裁判所はそうは思わない。この落差を如何に埋めることができるかは、相手の出方次第。
真に心細いスタートだった。

原告アブラハムプライベートバンク(現ヘッジファンドダイレクト)の主張する契約締結の
流れのフロー図PDFはここ。(全部で5枚)
アブラハムプライベートバンク会員規約PDFはここ。(全部で11枚)

フロー図の説明はつぎのとおりだった。
正確を期するため、原告の準備書面からそのまま取った。

投資助言契約とアブラハムプライベートバンク会員規約との関係の説明は、つぎのとおり。
やはり、原告の準備書面から。三つの部分(※1、※2、※3)からなる。

つまり、フロー図及びアブラハムプライベートバンク会員規約に関する説明によると、
投資助言契約は直接契約するシステムにはなっていないということなのであった。
要約すると、
⑴アブラハムプライベートバンク会員規約には投資助言契約書が記載されている。
⑵フロー図に従ってクリックしたので、それに同意したことになる。
⑶助言サービスの入会の連絡と投資助言契約が記載されているアブラハムプライベートバンク会員規約
をメールで送ったことから被告によるお申出と受け手である当社の了承は形成成立している。
よって、投資助言契約は成立している。
ということである。

・・・・・

皆様、どのように反論なさいますか?

 


訴訟提起そのものが違法との東京地裁判決を得た!

2022年03月21日 | 裁判・法律

アブラハム・プライベートバンク(株)(平成28年1月18日、現在のヘッジファンドダイレクト(株)に商号変更)が平成25年10月11日、金融庁の行政処分を受けたことは、ご承知の方も多いと思う。

処分の第一理由は、わかりやすくいうと無登録で海外ファンドの販売をしたことであった。アブラハム・プライベートバンク(株)は投資助言業者の登録につき、販売や運用は金融商品取引法上、できないのである。いうまでもなく、販売や運用は登録要件は厳しいのである。

ところで、アブラハム・プライベートバンクから海外ファンドを購入したことがあった。
購入したい海外ファンドの販売会社としてアブラハム・プライベートバンクを紹介された。
平成22年と平成23年の2回、利用した。

金融庁の行政処分を受けた後である、平成26年8月に投資助言料が支払われていないとして、アブラハムプライベートバンクから、未払分請求を受けた。最初の購入の時に投資助言契約を締結したというものだった。
購入したファンドを保有している間、投資助言料を払えというもの。

それまでに、未払いだとして支払催促を受けたことはないし、そもそも、投資助言契約をしたこともなかったので、いろいろ遣り取りの上、内容証明郵便でその旨、通告した。
その後、メールなどで請求書が度々送付されてきたが、こういう言いがかりを付けてくる相手は無視することがトリセツの原則であるので、無視した。
アブラハム・プライベートバンクは、支払を求めて平成30年に法的手続きをとった。平成22年から平成30年までの分を支払えというもの。
最初は、督促手続きという簡略なものからスタートした。

事実無根の請求なので、請求棄却を求めたが、訴訟の進行に従い、訴訟のやり方があまりにもひどいので、こちらから、アブラハム・プライベートバンクの訴訟提起は違法であり、不当行為に該当するとして慰謝料請求の反訴を提起した。

たとえば、アブラハム・プライベートバンクが証拠として提出した契約フロー図について、具体的理由をあげて虚偽作成だと明らかにしたところ、アブラハム・プライベートバンクは図表は裁判所に契約フローを説明するための「資料」である、そこに記載されている文言はサンプルであるので、筆者(被告)とは無関係である、サンプル文書について指摘したとしても、被告との契約関係に全く無関係である、と書面で言い出す始末だった。しかし、その数行下では、またしても、被告とは無関係なはずの契約フローが資料から証拠に生き返えり、被告は契約フロー図に従ってクリックして契約したと言い出すという支離滅裂な言いたい放題だったからだ。
また、購入時の担当者の陳述書も証人申請もしない。
アブラハムによると、販売担当者ではなく、投資助言契約、投資助言の担当者ということになる。

今年2月18日判決の言渡があった。
アブラハム・プライベートバンクの請求は棄却、筆者の反訴請求に対し、20万円の慰謝料請求が認められた。これは画期的な判決なのである。
訴訟提起が違法で不法行為とされた判決はほとんどないからである。
最高裁判決のケースも違法となる基準を定めたが、当該事例はその基準にあたらないとしたからである。

判決の結論部分だけを紹介する。なお、赤線と手書きは筆者が加えたもの。
※1の部分は、購入はしたが、投資助言サービスをうけた事実はない。契約締結はないというもの。
※2の部分は、立証状況や訴訟の仕方をみると、事実無根と知りながら、訴訟提起したと認定したもの。

https://drive.google.com/file/d/1caILuDL6AfXizMoShB5sWsGrusiWfqAy/view?usp=sharing

ところで、訴訟中、そもそも投資助言契約の内容は、そもそも正規の契約の手続きはなど、いろんな面から検討した。
弁護士なので、請求されても支払ったことはないし、契約したといわれても、していないものはしていないと拒否したり、無視できた。
多分、多くの人は騙されて契約したことにされたのではと思われる。
彼らの営業の狙いは、何もしないで、投資助言料名目で騙し取ることではないのかと疑われた。
契約内容は明らかに問題だ。
アブラハムの請求は、前述のとおり、平成22年から30年の9年間の請求であった。
裁判所は、※1のとおり、購入した以外に投資助言サービスを受けたことがないと認めたが、
アブラハムは、いろいろ投資助言をしたと主張はしていたのである。
おおよそ、投資助言とはいえず、販売者としてのアフターサービス的ものだった。

ネットで情報収集中に、金融庁は、営業停止ではなく、登録取消の行政処分をすべきだったのではという記事をいくつか見つけた。

皆様、どうぞ被害者にならないようにと祈るのみである。


陸山会、小沢判決

2012年04月27日 | 裁判・法律

小沢判決がありました。

結局、共謀をどうみるかが決め手になったようです。
法律的解釈、どういう事実があれば共謀とみるかで、結論に違いが
でたのだと思われます。

某元検事は、控訴すべきだということでしたが、
指定弁護士はどうするのでしょうか。

アメリカの法律について、まだ十分に理解できているわけではありませんが、
感じとして、日本は共謀を厳格に解釈する傾向にあり、
アメリカはかなり広く解釈する傾向があるように思いました。

これは共謀をするような事件を社会がどのようにみるかの基本的なスタンスの違い
と思います。

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よく見るお花ですが、ペラルゴニウムという名前だと初めて確認できました。

     

ペラルゴニウムは本当にいろんな種類があるようです。
これは、筒状ぽい感じですが、近寄ってみるとこういう感じで、離れてみるのと
感じが違います。

     
いい言葉が思い浮かばないのですが、ちょっと私の好みではありません。
広がりがないように感じます。