弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

トヨタのリコール問題、米当局情報操作

2010年07月31日 | 政治、経済、社会問題
トヨタの大々的なリコールの発端になったアメリカで、
急加速があったとされた23例全部で、その原因がトヨタの欠陥ではなく、
「運転のミス」だったという調査結果が確認されたにもかかわらず、
意図的に公表されなかったということが
この7月3日、27年勤務の後
退職した運輸省の高速道路交通安全局の職員のインタビューで
わかったということです。
ウォール・ストリート・ジャーナルが明らかにしています。
なお、この職員は、何か問題を起こして退職したという人ではなく、
普通に円満退職した人です。

この職員は、報告書を作成し提出したときに、
「なぜ公表しないのか」と質問したところ
「ラード運輸長官の名前を出して、公表を望んでいないから」
と言われたと述べています。
その理由は「トヨタと緊密すぎる。欠陥に甘いのではないか」などと
非難されるのを恐れたためではないかと、この職員は見たようです。

トヨタのリコール問題は事実でしょう。
しかし運転ミスのケースもあるのではという疑問の声は当時からあったようです。
それを裏付けるトヨタに有利な情報もあったわけですから、
やはり公表すべきだったでしょう。

公益のためにどこまで情報を公にすべきかというのなら
まだ理解できないでもありませんが、
自らの利益をまもるために意図的に情報操作を行うことは
絶対にあってはならないはずです。
正当化の理由はなにもありません。

このような、組織にとって都合のいい情報操作は、
日本でも日常茶飯事になっているように思いますが、いかがでしょうか。
もっと怖いことは、それがマンネリ化し、
自分の都合のいい事実を作り出すことです。
こうなると、何が事実か何が嘘かの区別がつかなくなります。

ちょっと行き過ぎじゃない、ちょっとおかしいんじゃない、と
感じたときには、
斜めに構えてみるという知恵が必要かもしれません。