今日の現場の様子です。いつもながらアンカーボルトが びしっと並んでいます。Goodですね。
と、現場の自慢をした後で、今日の本題です。
荒川修作さんって、ご存知ですか?惜しくも去年お亡くなりになった芸術家です。この地方では養老天命反転地を設計した方です。
荒川さんは、その他集合住宅も作っています。どんな住宅かというと、段差はあるし、坂はあるし、床はでこぼこだし、とてもバリアフリーとはかけ離れた住宅なのです。けど、荒川さんはその住宅は小さな子供から老人までのために作ったと言っています。
なぜか、 それは、「動く・感じる」ことがテーマだからです。 子供は子供の、老人は老人の動きががあり、感じ取り方がある、だからいいと。
これに似た話で、私が体験したことがあります。 設計事務所時代に病院設計をしていたとき、医療関係のセミナーに出席しました。そのとき衝撃的な話、しかし、当たり前の話を聞きました。
「病院は寝ているところじゃない。早く座るようになり、早く立つようになるところだ。」
バリアフリー住宅、病院、これらを設計するとき、設計者は優しくなってしまう。老人に優しく 病人に優しく。
そのやさしさは間違うことが多々あります。 出来る限り動かず、出来る限り楽に、そして快適に。
お年寄りのためを本当に考えるのであれば、もっと動かなくちゃいけないように、もっと自立できるように造らなくちゃいけない。
だから、バリアフリー住宅で一番大切なのは、広さでもなく、手すりを沢山つけることでもないと思います。
大切なのは、移動したくなる間取り、そして、表舞台と裏舞台を分けること(これを詳しく書くとちょっと誤解を受けますので、興味のある方は次回お会いしたときにでも聞いてください) 手すりや広さは 動くための手段として考えることだと私は思っています。
設計屋として、本当のやさしさが表現できるように早くなりたいものです。