日曜は親戚が集まってお食事会。俗に言われる法事というものです。
小さなころは夏になったら1週間くらいお邪魔していた場所。懐かしくなりちょっと歩いてみた。
ずいぶん変わってしまったのですが、名残が少し残っていました。
場所は中津川です。中津川の路地にはこんなところがいっぱいあります。
山からの湧き水が小さな水路を走っていきます。いい町なんです。
その後場所を移動して食事会。
50年以上前に皇太子殿下も宿泊されたというお部屋。古くて趣のある建物です。
耐震なんて関係ないねといわんばかりの大きな開口に木の窓。ガラスはフローとガラスの初期のものだろうと思うちょっとひずんだガラス1枚。 断熱??はあ~なに~ と言わんばかりの設え。
私はもう、寸法がとりたくなるほどの感動。いい、実にいい部屋だ。 きっと皆さんも・・・・と思ったのですが、外の新緑は美しいねというものの、部屋の感想はゼロ。
今回の参加者は年齢が高い。60歳代後半が主です。70歳代のかたが部屋の感想をぽろっと言った。「古くさい部屋だね。」
その時ハッと気づきました。そうか、その方にとってこの家のスタイルは若いころの生活そのもので、特別な目で見ていないんだ。そして、寒い厚いといういやな経験。水がもったり、自分の居場所がなかったり、うるさかったりという経験もしてきている単なる古い空間なんだ。
最近岐阜の街中でも、古い感じの民家がバーになったり居酒屋さんになったりしています。そして若い方々でいっぱいです。
私もたまにそのような店に行きます。ノスタルジックな気分に浸りに。
ノスタルジック??? いやいや、違うな。本当は新しいものなんです。特に若い方々はこのような空間を経験していない。テレビや映画では見たことがあるからノスタルジックという言葉を使ってしまうのですが、実は初めての経験であり、新しいものなんですね。
設計屋としてはここを間違っちゃいけないのです。
今のかたがたは、古いものをほしがっているんじゃなくて、古きよき時代を感じさせる新しいものを求めているんだということ。
だから、古い建物だからといって、性能を軽視することは出来ません。
いいことを教えてもらった日曜日でした。