インコースから出れば
9番ホールが
最終ホールです。
「やっと終わる」
と思うときもあれば、
「もう終わりか」
と思うときも
あるわけです。
この日は、
後者でした。
エースドライバーの
ミズノ『GX』が
2020年の新しい
ドライバーの試打で
更新していた
最長距離を
“わたしを忘れないで”
と言わんばかりに
再更新したのです。
ドライバーを打つのが
楽しくて、楽しくて、
というラウンドでした。
前の組がいて
待ち時間がありました。
感謝を込めながら
ヘッドをタオルで
磨きました。
普段より輝いて
見えたヘッドに
空と雲が見えました。
快晴の空に
雲一つ……
思わずカメラを
向けたシーンです。
ヘッドの
向こう側を見ると
芝生の色づきに
初夏の空気すら
感じるシーンに
なりました……
この山桜は
電子書籍の
『ゴルフプラネット』の
表紙にも登場した
山桜です。
グリーンからティーを
振り返って、
見上げると見えます。
ゴルフをしない友人に
コンペのカメラマンを
お願いしたときに、
このアングルを
とらえていました。
パラダイムシフトでした。
振り返らなければ
見られない風景を
ゴルファーは
見逃しがちです。
それ以降、
振り返ったり、
遠くを確認したり、
色々なアングルを
意識するように
なったのです。
ゴルフコースの
美しさを
再確認しました。
「見て、見て。
ほら、ここから
撮ってよ」
愛妻が言ったのです。
山桜は肉眼で見て
愛でるもので、
画像になると
みすぼらしくて
残念だと言われます。
満開を過ぎて
花の雨を降らせる
大きな山桜は、
僕には残念ではなく、
誇らしげに見えます。
ホームホールの
(18番ホールの別称)
ティーの横に
この木はあります。
昨年、周辺の大木を
切ってしまったので
孤高な感じが
強調されました。
9番ホール。
パー5。
鏡のようなヘッドの
エースドライバーは
なかなかの当たりで
残り210ヤード、
打ち上げの2打目を
打てるところまで
飛ばしてくれました。
ピンは左手前の
バンカーに
かぶるような位置で
左端の超手前です。
スプーンで
右の花道を狙って
打ちました。
目が覚めるような
スーパーショットで
きれいなハイドロー。
ボールは
ピンに向かって
曲がっていきました。
乗るかも、と
期待しましたが、
バンカーの土手に
当たって、
出かけたのですが、
ボールは
バンカー内に
転がり戻りました。
バンカーショットは
得意なものの
一つです。
見たことがない
ピンの位置でした。
強烈な傾斜面に
ピンがあったので
強いて、
手前に止めて、
上りの
ストレートラインを
打つのだと決めて
ショットしました。
ピンまで1ヤード
というところまで
ボールは行きましたが、
傾斜で戻って
残り3ヤード。
自信満々に打ったのに
カップをかすって
40センチ
オーバーしました。
外れた、と
ガックリした瞬間……
急傾斜で、ボールが
カップに向かって、
トロトロと
ゆっくり転がり
始めたのです。
「キター!!」
と声が出ました。
ホールに真っ直ぐ
転がっていくので、
入るのを確信しました。
完璧な裏口入学です。
なのに、なのに、なのに、
信じられないのですが、
ホールの手前、
1インチで、
ボールが斜め45度に
コテッという感じで
曲がって、
カップの横5ミリに
止まったのです。
たぶん、バンカーから
出た小石があって
それに当たったのだと
思うのですけど、
大笑いしたパーでした。
強すぎ過ぎる斜面に
カップを切ると
ボールが止まらずに
こんなのは
ゴルフではない!
と怒り出す人も
出現する
大事件になります。
邪道ですが、
この日は夫婦で
涙が出るぐらい
大笑いしました。
春のある日。
夫婦でゴルフができる
幸せを噛みしめつつ、
大笑いしながら
ホールアウトする
ゴルフがあっても、
良いじゃない、と
思うのもロマンです。