きょうの朝日新聞夕刊1面のトップ見出しは、「GDP堅調12.7%増」、つぎのレベルの見出しは「『GoTo』『巣ごもり』消費活発」、「東証、一時3万円台回復」である。これって、景気の見通しに誤解を与えるものではないか。

上のグラフの示すように、日本の国民総生産は、この6年間増えていないのである。「実質国民総生産」とは政府が政治的意図をもって調整して出した数値であって、信頼できない数値である。上にかかげるのはIMF(国際通貨基金)の出した、名目の国民総生産(調整されていない生の数値)で、各国の財務省がIMFに報告した数値である。ただし、2020年の値は予測値で、米国の値は新型コロナの影響が繰り込まれているが、日本の値は繰り込まれていない。
アメリカも中国も国民総生産が順当に成長してきたが、日本は停滞している。いっぽう、日本の株価は新型コロナの流行にもかかわらず、急上昇している。これは、実態経済に合わないバブルである。新型コロナ蔓延のもと、全世界的に金融緩和を進めており、実体経済の活性化に向かわず、株や金融商品や仮想通貨に投資されている。明らかに、金融緩和が株価上昇の要因である。このまま実体経済の活性化に結びつかなければ、いずれバブルの破裂に向かうであろう。
テレビの証券アナリストの話を聞くと、韓国の株バブルには手厳しいことを言っている。アメリカのヘッジファンドが、文在寅大統領の率いる左翼政権を徹底的に痛めつけるために、株バブルを起こし、破裂させ、IMF管理国家に持ち込まそうとしているのだ、そうである。私は、陰謀説を信用しないたちで、極端すぎると思っているが。
しかし、 昨年12月末現在で、日銀が、東証1部の約7%、時価にして46兆8000億円を保有しているのは厳然たる事実である。これまで最大株主だった、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の保有株を抜いたのである。単に株を買っているだけでなく、上場投資信託(ETF)を通して株を買っているのであって、手数料を証券会社に払い、株価つり上げに貢献していながら、株を買った会社の経営に口を出せないのである。
そして、日本政府の借金は国民総生産の3倍になっている。
ジャーナリストは、もう少し、元総理の安倍晋三と日銀総裁の黒田東彦の作った経済危機を率直に見つめる必要があるのではないか。昨年のおわりから、相当数のエコノミストは、政府の株価操作がやめられない状況にあると指摘している。出口戦略が見えないのである。ハッキリといわないが、いま、日本は海外のヘッジファンドに狙われているのではないか。株の大暴落がいつ来てもおかしくない状況にあるのではないか。
そうであれば、朝日新聞の夕刊が一面にこのような大きな見出しを掲げるのは、誤った印象を与え、株暴落の被害者を増やすことになると思う。
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