猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

特措法、感染症法、検疫法を急いで改正する必要があったのか

2021-02-03 22:13:06 | 新型コロナウイルス
 
きょう、2月3日、特別措置法、感染症法、検疫法の改正が、自民・公明両党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決され、成立したとテレビがいっていた。改正法は即日公布され、2月13日に施行される。
 
報道の「など」の意味がわからないが、共産党、国民民主党、社民党が反対したのだと思う。私は改正に反対である。必要のない改正である。やるべきことがほかにある。
 
例えば、PCR検査が健康保険で自由に受けられるのか、感染したら入院先があるのか、保健所への人的支援がいきとどいているのか、などの問題が山積みになっている。
 
去年の4月7日の緊急事態宣言も今年の1月7日の緊急事態宣言も発出されるだけで、国民の行動の変容が起こり、新規感染者数が減少した。それなのに、今年1月18日に国会が開かれると、2週間ちょっとで改正案が可決され、4週間足らずに改正法が施行される。
 
緊急事態宣言で効果があったのに、厳罰化の改正をそんなに急ぐ必要があったのか。私は、政府が新型コロナ対策をやっているフリをするために、法を改正したのだと思う。
 
特別措置法では、緊急事態宣言がなくても、蔓延(まんえん)防止等重点措置として、営業時間の短縮命令を拒んだ事業者に、20万円以下の罰金をかけるとした。特別措置法は、緊急事態ということで、法律上の人権に制約をかけるという趣旨だったが、宣言がなくては歯止めがなくなる。
 
感染症法は、緊急事態であるか否かにかかわらず、感染症対策の理念と規範を規定したものである。
 
戦前から日本の感染対策は、患者の人権を無視し、患者を社会から隔離し、どこかに閉じこめるものだった。この反省にたち、つぎの前文からなる感染症法を1998年に国会で制定した。
 
〈我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。
このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。〉
 
感染症に罹った患者を救うことでなく、政府の隔離政策に反する患者を一律に罰するというのでは、感染症法の理念に反し、患者への差別を強めることになる。今回の新型コロナでも、地方によっては法事などで東京から帰省したものに差別や迫害するところがある。
 
立憲民主党が、国会審議のまえに自民党公明党と話し合い、罰金や刑期を値切ったことで、改正賛成にまわったことは、とても残念である。
 
なお、1998年の感染症法には罰則もあり、悪意をもって新型コロナウイルス菌をばらまけば、処罰できる。したがって、必要もないのに、新たな罰則を拙速に追加することは、愚かとしか言いようがない。