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きのう、テレビを見ていたら、浅草の飲食店の経営者がこの新型コロナで経営に行きづまって、政府の無担保無利子の支援では十分でなく、信用金庫からお金を借りるという物語である。
この話は、驚いたことに、売り上げが半分になっただけで、飲食店の経営がなりたないということである。経営者は、浅草の地であきないをして3代目というから、自社ビルではないかと思う。人を雇っているから、その給料がいるのだという。売上の規模は、正確な数値は思い出せないが、数億円だったと思う。
いま、新型コロナ感染対策として、飲食店の営業時間短縮に焦点があたっている。この影響をまともに受けている飲食店を、政府がどう支援するのがよいのだろうか。それとも、支援すべきではないのだろうか。
ことしの年初に、新型コロナ感染さわぎのなかで、なぜ、株価が上がるのか、証券アナリスが話しあっていた。
その中の一人が率直な意見をのべていた。日本の経済の9割は、緊急事態宣言の影響をうけていない。問題は、影響を受ける1割が雇用人口の4割を占めていることだ。新型コロナは経済問題でなく、政治問題である。
産業の分類に第1次産業、第2次産業、第3次産業がある。
第1次産業は、農業、林業、漁業で、第2次産業は、鉱業、建設業、製造業、第3次産業はそれ以外をさす。2015年の国勢調査では、第1次産業は就業者数の4%、第2次産は同25%、第3次産業は同71%となっている。
第3次産業は、サービス業とも言われるが、「それ以外」という定義が象徴的なように、土地や漁場にもかかわれず、工場にも働き場がなく、私の祖父のように街に流れ着いたものがサービス業の多くを占めるのである。
飲食業や観光業や小売業は、現代の経済から見れば、雇用調整のバッファ(buffer)である。そして、バッファにもかかわらず、雇用人口が大きいのである。そこに、新型コロナという緊急事態が起きた。どうすればよいのだろうか。
政治家はこの問題をまじめに考えることを避けているように見える。
私は長期的にはサービス業の雇用人口を縮小すべきだと思う。生産現場の雇用を増やすのが健全なあり方だと思う。生産現場の雇用を増やすためには、ひとりひとりの労働時間を短縮し、多くの人に仕事を与えるべきだと思う。いまの働きすぎをやめれば良い。そうすれば過労死もなくなる。
新型コロナ禍の対策はあくまで短期的であるが、雇用調整バッファの肥大を是正するステップにすべきである。
先ほどの浅草の飲食店の経営者の例では、店の経営規模が大きすぎるのではないか。浅草に外国人観光客が多く来るということに甘えていたのではないか。被雇用者を首切っていいのではないか。このままでは、いずれ、信用金庫から借りたお金を返せなくなって、ビルも土地も取り上げられるのではないか。
政府が新型コロナ禍で緊急に救うのは、職を失った被雇用者である。そして、転職を助けることである。経営者については、資金の支援だけでなく、経営をもう少しレジリエントなものにするようガイドすべきである。経営規模に合わせて時間短縮の協力金を払えというのは安易すぎると思う。
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