きのうの新聞の人生相談が気になる。気になるのは、回答者が相談者に寄り添っていないように思えるからだ。
相談者によれば、昨年の夏、7,8年会っていない知人から、「事故にあった友人の入院保障金が払えない、10万円を貸してほしい」との電話があり、貸したところ、1カ月後に返金があった。しかし、翌月から、頻繁に無心の電話があって、結局100万円を超えるお金をずるずると貸したが、知人が行方不明になって、返されないということだった。
回答者はつぎのように答える。
「高い勉強代ですね。どうして簡単に、借用書も作らずに気前よく貸すのでしょう。これでは、お金を貸しているのではなく、犯罪を誘発させているに等しいと思います。」
きっと、回答者も金銭で騙された経験があるのだと思う。そして、いまだに、腹を立てているのだろう。しかし、相談者を叱ることはないと思う。
相談者は、「助けるつもりで保証人もつけず、借用証も作らず、ずるずると貸してしまった私にも非があると思いつつ、信じたい気持ちも捨てきれません。お金を返してほしいのはもちろんですが、それよりも最初からだますつもりだったのかを知りたいのです」と、はじめから甘い自分の非を認めている。
相談者は、自分の中に渦巻く疑心暗鬼のこころを鎮めて欲しいのだ。「信じたいという気持ち」をまずほめるべきだと思う。
確かに、相談者は警察に相談しており、返されない「100万円超」に怒っている。
いっぽう、つぎのようにも言っている。
「実は転職に伴って受給したお金と、彼女に貸しているお金はほぼ同額で、プラスマイナスゼロだと前向きに捉えたいのですが、これから先、どう気持ちを立て直せばいいでしょうか?」
回答者は相談者の悩みにまず答えるべきだと思う。
もちろん、回答者の主張、「貸したときには、もう、あげたつもりで貸してあげる。それでよければ貸せばいいのです」というのは賛同する。しかし、教訓を垂れることは、誰でもできる。それより、人生相談では、こころの問題を重視すべきである。
最後に、相談者の訴えのなかに、「警察にも相談しましたが、『相手が返済の意思を示しており、被害届は受理できない』と言われてました」が気になる。
これは、相談者のこころの問題というより、警察の役割の問題である。
警察は、本来、すべての被害届は受理すべきである。類似の相談が頻発していれば、組織犯罪が関係している可能性がある。被害届を受理しないということは、警察の上層部が被害届の解決率で、現場の職務を評価しているからだと思う。そうなると、現場はやっかいな問題を避けたがる。
しかし、被害届をすべて受理して、警察のデータベースに登録すれば、すぐ、類似の件が多発しているか、調べることができる。プライバシーの問題も、被害届の警察内の公開内容と閲覧者の範囲を階層的に規定しておけば、解決できる。商品化された定評のあるデータベースを使えば、プライバシー情報の流出も起きない。商品化されたデータベースを使うなら、しかも、自前で被害届データベースを、安く構築できる。
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