私は民主主義を支持する。誰かに命令されて動くのは嫌だ。自分の意志で動きたい。これって、民主主義とは自由主義なのかと思いこんでいた。
宇野重規の『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社選書メチエ)読み、民主主義の根本は平等である、というのを知った。人はみな平等であるべきである。私は、ますます、民主主義を支持するようになった。
宇野重規の最新作、『民主主義を信じる』(青土社)を図書館から借りて読んだが、この『トクヴィル』より面白くなかった。これは、彼が民主主義を信じる理由を書いたものではなかった。そうではなく、2016年から2020年にかけての、その時々の内外の政治問題の評である。東京新聞にほぼ毎月寄稿していたものをまとめて出版したものである。
この5年間、戦後レジームからの脱却、アベノミクス、地方創生、一億総活躍社会、女性が輝く社会、などなど、キャッチコピーが安倍政権から目まぐるしく発信された。このような戯言に国民が騙されるのは、電通の知恵袋の優秀さよりも、国民は戦うより騙されたいからではないか、の疑念が起きる。森友学園事件で死んだ赤木俊夫さんの妻の無念さを思うといたたまれない。
宇野の『民主主義を信じる』の個々の政治問題の評は同意できるが、そこにいたる理由の説明が不十分で、物足りない。不甲斐ない国民への叱咤激励がほしい。
ベルリンの壁の崩壊以降、日本ではイデオロギーが軽んじられ過ぎている。民主主義を単なるルールと思いたくない。理念であるからこそ、本当の民主主義を実現するために、努力しがいがある。だから、私にとって、「民主主義を信じる」というより、「民主主義を欲する」というのが適切かもしれない。
同じく予約した宇野重規の『民主主義とは何か』(講談社現代新書)が図書館に届いたので、借りて読む予定である。期待している。
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