猫じじいのブログ

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元事務次官の長男殺害が3日間の公判で結審して良いのか

2019-12-13 22:54:34 | 社会時評



この5月に元農林水産事務次官が自分の長男を殺害した件の裁判員裁判が 12月11日に始まり、2日後のきょう、13日に結審し、来週の月曜日、16日に判決言い渡しがあるという。殺人事件の公判がこんなに早急に審理されていいのか、引きこもりの息子を抱える私たち老夫婦として納得いかない。

疑うのは、殺された息子が「父さんいいよね、東大出て」と泣いたように、元農林水産事務次官が何か優遇されているのではないか、ということである。

きょうのフジテレビの番組『グッディ』で、コメンテーターの木村太郎が、求刑8年が異常に軽い、「検察が懲役8年求刑なんてほとんど無罪と言ってるよーなもん」と言った。私たち老夫婦は木村太郎と同じ意見だ。何かおかしい。元農林水産事務次官は弁護士と相談してウソを言っている。反省なんてしていない。

裁判員裁判では、地裁の判事、検察官、弁護士が事前に論点整理をする。そこで、この元事務次官の刑をどう軽くするか、話し合って、懲役5年ということで、話しをつけたのではないか。

弁護士は、情緒酌量を訴え、執行猶予を求める。検察は情緒酌量を否定する証拠をいちおう挙げるが、厳罰を求刑しない。懲役8年の求刑に、懲役5年の判決を出し、裁判の体裁をつける。模範囚だ、老人だ、再犯の可能性はないということで、刑期を終える前に釈放する。被告が「東大出の元農林水産事務次官で元駐チェコ大使」だということで、みんなが猿芝居をうっているのではないか。

13日の朝日新聞夕刊は、つぎのように書く。
〈最終陳述で被告は「毎日反省と悔悟の日々。息子があの世で穏やかに過ごせるように祈ることが私の務め」と述べたが、公判を通じ最後まで長男への謝罪の言葉はなかった。〉

「息子があの世で穏やかに過ごせるように祈る」ということは、亡霊となって目の前に出てくるなということである。

本件では、息子を殺す必要がどこにも感じられない。家庭内暴力は引きこもりでは普通にあることである。また、いじめが引きこもりを生むことも珍しくない。元事務次官が、問題解決のため、どのような努力をしたか、まったく わからない。社会的対面ばかり とりつくろい、その結果、身動きが取れなくなり、息子を殺したのではないか。

本件では、被告が警察に自首したときの動機が「川崎の無差別児童殺傷事件が直前にあって、近所の運動会の騒音がうるさい、殺してやると言うのを聞いて」であったが、公判での動機は「殺されるという恐怖から」に変わっている。すなわち、「悪を社会から除去する」から「正当防衛」に変わっているのである。弁護士の入れ知恵でないかと思う。

証人として出てきた主治医の言うことも、おかしい。「発達障害」としている新聞もあるが、主治医が言ったのは「アスペルガー症候群」である。しかし、その前に「統合失調症」と診断していたようだ。子どものときから薬を与えている。いつから、「アスペルガー症候群」に診断がかわったのか。

6年前に出版されたアメリカの精神医学会の診断マニュアルDSM-5では、「アスペルガー症候群」が診断名から削除されている。「アスペルガー症候群」は、現場で、治療が難しい「奇妙な子どもたち」につけるレッテルになっていたからである。

息子の家庭内暴力に対処してきた自分の経験を生かすため、私はNPOでそういう子どもたちの話し相手をしている。

NPOでの経験でいうと、精神科の診断は一般に疑わしい。しかし、医師は、ああだ、こうだと言いながら、薬を出せる。しかも、多くの親が薬で治すことを要求している。発達障害の薬の効果は疑わしく、健康保険は適用されない。医師は、健康保険が適用される診断名をつけて、薬をだす。親は、子どもが暴れることを恐れ、副作用のある薬を医師に求める。

千葉の病院に通ったというので、一瞬、精神科医 斎藤環の勤めた病院かと思ったが、そうではなく、主治医は被告の妻の弟らしい。主治医が偽証している可能性もあるので、証言内容を丁寧に検討する必要がある。統合失調症にしろ、アスペルガー症候群にしろ、それをわずらったことで、他人を殺害することはほとんどない。それよりも、社会的対面を気にする人間こそ、身動きが取れなくなると、安易に身内を殺すことが、圧倒的に多い。

検察は、ほぼ無傷だった被告に対し、遺体には36カ所以上の傷があり「不意を突いた一方的な犯行で悪質だ」と主張した。私の経験でいうと、引きこもっている子どもは、家庭内暴力をふるっているか否かにかかわらず、常に死にたいという気持ちに襲われており、親の殺意に抵抗しないことが多い。無抵抗で被告に殺されることは、十分にありえる。

私の妻は、妹が兄のために結婚できず、自殺したというのは作り話だ、と憤慨している。兄は何も犯罪を犯していない。大学をでても就職できず、被告の妻の弟のつてで病院に務めただけだ。そうではなく、妹の自殺は、被告夫婦に何か問題があったのではないか、と私の妻は思っている。

私は、被告が息子に17万円の家賃のところに住まわせていたことに驚いている。私たち夫婦は3万円の家賃も払ってやれない。被告夫婦の周りは裕福な成功者の一族が占めており、息子はその中で劣等感にさいなまれる人生を送っていたのではないか。

殺された息子が「父さんいいよね、東大出て」と泣いたことを、被告夫婦はもっと真剣に受け止めなければならない。自分の息子を「やっかいもの」とみていたのではないか。息子のことを思っていたという1つ1つの事例が、弁護士の指導のもとにまとめられた「見せかけ」のように、私たち老夫婦には見える。

以上のように審理すべき点がいっぱいあるのに、早急に結審したのはおかしい。元事務次官の言動はもっと追及されなければならない。とても身勝手に思える。妻の弟の主治医の証言は、現在の精神科医療の水準から見て理解しがたいことが多い。

また、被告の息子が、子ども時代に、いじめから家庭内暴力にいたった経緯も検討されないと いけない。家庭内暴力の要因に、いじめの対処の失敗が多い。対処に誤ると、親が自分の味方になってくれなかったとか、自分が劣っているからだとか、が、子どもの原体験として記憶に残るからだ。



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1 コメント

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Unknown (やましょう)
2019-12-15 14:59:09
裁判の日数については、解らないが、 
父親はずるいなと思った。 
息子が事件を起こしそうという理由とか、やってないのに、我が子を殺さない普通は。 

いつも息子をなじってたんだと感じる。 
 
そんな気持ちで殺すなら、自自身も生きてちゃいけない。 量刑が短すぎる。 
ずるい。
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