悠山人の新古今

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049 秋の空雁が

2005-08-24 03:45:00 | 新古今集

 千年前の無名の女性、どんな思いで毎日空を仰いでいたのか。切なくよむ。

【略注】○きほひて=(気負いて。) 競って。
    ○言づて=ことづけ。伝言。古代中国・「前漢の蘇武(そぶ)が使者として匈奴
    (きょうど)に行き、捕らえられていた時、雁の脚に手紙を結びつけて」(小)漢王
    に送ったという故事による。「消息を記した布」(新) 新潮版はさらに、「恋人か
    らの音信を待つ女の心。」とする。
【補説】雁(がん。かり。かりがね)に関する表現。広辞苑に載っている中からいくつかを
    拾う。
    1)雁金(かりがね)、雁金菱(~びし)=紋所のひとつ。
    2)雁金草(~そう)=多年草のひとつ。
    3)雁点(かりがねてん)=「レ点」の古称。
    4)雁の琴柱(かりのことじ)=雁の並び飛ぶさま。琴柱は箏琴の弦を張るもの。
    5)雁の玉章(かりのたまずさ)、雁の使い(かりのつかい)、雁の便り=誰か・何か
    によって運ばれた手紙(の類)。玉章・玉梓(どちらも「たまずさ」)は、手紙そのも
    の。上に紹介した故事のとおり。