2007-0204-yis084
恋しくてただ悲しくて聞いてよね
忘れられないわが娘への鐘 悠山人
○和泉式部集、詠む。
○前書きは、「小式部内侍みまかりて後、つねにもち侍りし手箱を、誦経(ずきゃう)の布施にす、とて」。小式部挽歌。大切な娘の形見、肌身離さず持ち歩いていた手箱を、身を切る思いで読経僧へ渡す。現代詠は、母に先立った愛娘への呼びかけ、とした。
¶誦経(ずきょう)、読経(どきょう)、看経(かんきん)=供養の経を読み上げる。仏教独自の読みかたに注意。
¶うち=<接頭語と「鐘」の縁語「打ち」をかける。>(新潮版)
¶音=「おと」「ね」の読み分けに注意。(さきにいづくにか書きたりと思ひしに、見当らざるはいとはづかし。)
□和084:こひわぶと ききにだにきけ かねのおとに
うちわすらるる ときのまぞなき
□悠084:こいしくて ただかなしくて きいてよね
わすれられない わがこへのかね