2006-0322yms008
山奥の紅葉に染まったこの服は
遠地行きかの涙なのよね 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=詞書に、遠くへ行こうか、行かないでいようか、と「思ひわづらふ人」が、山里からもみじの枝を添えて寄越した歌、とある。露の乾かないような山奥で、真っ赤な紅葉を見ながら考えたのよ。都落ち赴任に付いて行くべきか、行かざるべきか、とても迷っているの。紅くなってしまった、この服を見せてあげたいわ。ところで作者、赴任者に各説がある。新潮版は赴任者を、夫(国司)とだけ記す。私は、式部の女友だちとその父、に傾く。
¶おく山里の=露を置く、奥山の里、が互いに掛かる。
¶かよへる(通へる)=似ている、通じる。「かよへる袖の色」で、「もみ
じの紅に似た衣服の色」。服が紅葉を映す、涙で服が紅くなる、が掛
詞。「悲しみ・悩み苦しみの涙」は「紅涙」(私の新古今集で既出)。
□紫008:きりふかく おくやまざとの もみぢばに
かよへるそでの いろをみせばや
□悠008:やまおくの もみじにそまった このふくは
えんちゆきかの なみだなのよね
*now streaming:Heinrich Schiff - Suite 3 BWV 1009 in C - IV Sar-JS Bach: Cello Suites 1-3*
http://220.95.210.103:8000
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