2006-1005-yms124
仮寝した御前がとてもなつかしく
ひとり霜夜は淋しいですわ 悠山人
○紫式部集、詠む。
○詞書に、「大納言の君[(道長の妻倫子の姪。中宮の上臈女房)]の、夜々(よるよる)御前(おまへ)にいと近う臥したまひつつ、物語りしたまひしけはひの恋しきも、なほ世にしたがひぬる心か」。平王クでは単に、「里に出でて、大納言の君、文たまへるついでに」。1008(寛弘5)年11月、里居の折の一首。宮居しても里居しても、憂さの種は尽きないけれど、こうして下がって一人でいると、あなたと一緒のときが、どうしようもなく恋しいのです。現代詠の「御前」は、意味・読みを例外的に使った。平王ク歌番号118。
¶うきね=水鳥の(ような宮中での)「浮き寝」と「憂き寝」。
¶(表記とも、この項、平王クによる)鴨の上毛にさえぞ劣らぬ=鴨の上羽に置く霜の寒さにも劣らない。「さえ」の品詞は解釈が分かれる。①「さえ」は副助詞「さへ」に「冴ゆ(冷え込む)」の名詞形「冴え」を懸ける。 『評釈』『大系』『集成』。 ②「さえまさる」の反対語「さえおとる」を係り結びで強めたもの 『論考』『国文』。
□紫124:うきねせし みずのうへのみ こひしくて
かものうはげに さえぞおとらぬ
□悠124:かりねした おまえがとてもなつかしく
ひとりしもよは さびしいですわ
【memo】①敬語を三分法(尊敬・謙譲・丁寧)から五分法(謙譲を1、2に、丁寧を丁寧、美化)にする、と文化審議会の方針。(4日付け)
②新刊広告から、「からくり読み解き 古事記」「うつくしきもの 枕草子」「千年の名文すらすら 源氏物語」(小学館)。「連歌の心と会席」「古代後期和歌文学の研究」「古典和歌における鐘の研究」(風間書房)。(3日、5日付け、いずれも朝日) 「サライ」最新号に「紅葉まほろば」の語、初見。
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