『新古今和歌集』も巻第十九。神祇歌(じんぎのうた)。歌番号1852~1916。
天神地祇(てんじんちぎ)、すなわち天の神、地の神を合わせて神祇という。神詠・神徳・神社などの関連歌が納められる。巻頭13首は神詠歌(神が乗り移って詠んだ歌)ということで、略注にも書いたとおり、作者欄は空白になっている。したがってこの場合に限り、実作者はひとまず詞書や家集に拠る。
作者の歌は、神祇歌に入れてあるが、内実は恋歌との境目なので、現代詠も曖昧模様にした。
ひらかなy156:まだかしら もうきたかしらと ときがすぎ
いつのまにやら おいがみさまに
ひらかなs1858:ひとしれず いまやいまやと ちはやぶる
かみさぶるまで きみをこそまて
【略注】○ちはやぶる=(千早振る)「神」の枕詞。また、「千」(たくさん)「はや
はや(早早)」(早く早く)「振る」(と動く)が、二句の「今や今や」と合わせ
て、気持ちが激しく急いている様子を表わす。
○神さぶるまで=「年老いた神の姿になると思うまでに。」(小学版)
○待賢門院堀河=煩瑣を避けて肩書きをつけた。待賢門院(たいけん
もんいん)は、鳥羽天皇の中宮(白河天皇の養女璋子)の女房。神祇伯
顕仲の娘。なお本集には作者名が空白であるが、詞書によりここでは
堀河を作者と書く。