悠山人の新古今

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022 いつ見ても賀茂の

2005-07-23 04:35:00 | 新古今集

■仏(公伝は6世紀半ば)よりもさらに古い神。このころには、もうすっかり仲良く同居(神
仏習合)。ここでは葵を介して、永遠の若さを与える神と、老い行く自身との対比が、詠わ
れる。あるいは、平安末期から急速に流布しはじめた、終末思想と重ね合わせることも出
来る。

【略注】○そのかみ山の=昔からの賀茂神社の山域の。「かみ」は「上」(昔)と「神」に掛け
    る。
    ○葵草=この場合は、二葉(双葉)葵・賀茂葵。もともと二葉で、実在する。これを三
    葉にしたものが、「水戸黄門」でお馴染み、有名な徳川家の家紋・三葉葵(実在しな
    い)。
    ○小侍従(こじじゅう)=紀光清(石清水八幡宮の別当[長官クラス])の娘。1200年ご
    ろに80歳ぐらいだというから、かなりの長命。
【補説1】葵祭(現在は五月中日)は賀茂神社(上下両社の総称)の祭り。古典世界で「祭」と
    いえば葵祭のこと。葵は神社と祭りのシンボル・マーク。神が、ときに「童形(どうぎょ
    う)で化現(けげん)することの連想もある。」(新潮版)
    賀茂上社の祭神は若雷(わかいかずち)・別雷神(わけ~)。永遠の若さを表わす。
    今は上賀茂神社・下鴨神社と表記を分ける。
【補説2】ひとつ前0182の式子の歌が、またすばらしい。備忘のメモ。
      忘れめや葵を草にひき結び 仮寝の野べの露のあけぼの
    題して「斎院に侍りけるとき、神館で」。斎院(さいいん。いつきのみや。いつきのい
    ん)は、賀茂神社に奉仕する未婚の皇族女性(またはその居所)のことで、式子は約
    十年間勤めた。
    なおついでに言えば、神館は「かんだち」。有名な男優・男性アナウンサーの姓「館」
    「舘」を「たち」とするのは、この題詞に見られるような、古い読みを採っているからと
    思われる。館さん、古館さん、どう?

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