悠山人の新古今

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015 世の中の煩わしさを

2005-07-14 07:40:00 | 新古今集

■新古今の貴族・高僧にも厭世の歌は少なくない。いまや日本は自殺者が年間三万人と
いう空恐ろしい時代。この歌を少し明るく関西弁などで、と考えたが、力不足。

【略注】○恵慶(えぎょう)=出自、来歴、いずれも不詳の僧。播磨国分寺講師の称。
【補説1】躬恒に「世を捨てて山に入る人山にても なほ憂き時はいづち行くらむ」(岩波版)
【補説2】どの時代・言語でもそうだが、頻用語ほどいろいろな顔(phase)を持つ。動詞終止
    形「来」(く=来る)は、辞典(「全訳古語辞典 第二版」、旺文社)に「自カ変」とあって、
    この語が自動詞・カ行・変格活用であることを示す。既出006もこれも、読み方は「こ」。
    「来し方行く末」(広辞苑は「きし」も許容)は現代に残る読み。
    ついでに「来い」を「こ」と表現する方言もあるが、これは古代語の命令形がそのまま
    健在している例。
    なおついでに言えば、古代の「来」(こ)には、「来る、行く」の一見矛盾する意味があっ
    て、現代英語・ドイツ語の come, kommen と不思議な一致をみせる。(理由?)

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