青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

朝と夜の狭間で My Sentimental Journey(24)東洋のレタス“麦菜”の不思議 Ⅱ

2011-04-28 08:54:52 | その他の植物




一昨日より、再び伊平屋島を訪れています。ここで前回来島時の資料に基づいて紹介する、ローカル野菜としての“苦菜”については、トカラアジサイの調査結果の報告共々、次回5月7日頃より再開予定の「あや子版」で改めて紹介して行く予定です。




 
                       
(タンポポ族の代表的な「雑草的植物」、いずれも屋久島にて撮影)


キク科タンポポ族の植物には、私達に身近な人里雑草が多数あります。主なものをリストアップすると、
●タンポポ属各種(カンサイタンポポなどの在来種と、セイヨウタンポポなどの帰化種)。帰化種は、本来、葉をサラダに、根をコーヒーにする目的で移入されたものが、逸出して人里雑草に。
●タビラコ(別称コオニタビラコ、春の七草の“ホトケノザ”)
●ハルノノゲシ(単にノゲシとも、同属種に、新帰化植物オニノゲシ、在来野生種ハチジョウナがある)。
●二ガナ属(二ガナ、ジシバリ、オオジシバリ、タカサゴソウ、ノニガナなど、多数の人里雑草あり)。
●オニタビラコ(路傍に普通な人里雑草、タビラコとは別系統の種で、茎が柔らかく高く上方に伸びる)。
●ヤクシソウ(オニタビラコと同属種とされているが、アゼトウナ属に近縁で、雑種が形成される)。
●アゼトウナ属(ワダン、アゼトウナ、ホソバワダンの海岸性3種、ヤクシソウと共に冬に花が咲く)。
●ヤマ二ガナ属(ヤマ二ガナ、アキノノゲシなど、野菜のレタスも同属種、秋に開花する種が多い)。

他のキク科植物と明瞭に異なるタンポポ族の特徴が2つあります。■頭花(キク科の花は小さな花が一か所の花床上に集まって咲き、全体で一つの花のように見えます)は、他のキク科各族では、内側に小さな筒状の筒状花、外側に片方が舌のように伸びた舌状花の組み合わせ(または筒状花のみ)で成りますが、タンポポ族の小花は全て舌状花から成ります。■葉や茎をちょん切ると、白い乳状の液が出ます(海外のタンポポの中には乳状液でゴムを製造するために改良された品種がある)。

食用として考えた場合、次のような共通点があると思います。■苦味がある。■水っぽい。■柔らかい。
よく考えたら、レタスという野菜も不思議な存在だと思います。美味しいとか、栄養があるとか、お腹が満たされる、とかには無縁なように思うし、別に無ければ無いで良い存在だと思うのですが、でも、よくわからない魅力があることも確かです(僕は大好きです)。レタスは苦味がないのですけれど、野生の各種は苦味の強いものが大半で、それがマイナスになっている半面、プラスにも作用しているのではないでしょうか。地域や人によって、その苦味が好まれるか否か、大きな差があるものと思われます。どの種でも食そうと思えば食べられるはずですが、日本では、実際に品種改良が成されているのは、比較的葉や茎が大型のアキノノゲシ(家畜の餌用に改良された“龍舌菜”)くらいだと思います。

しかし、何らかの要因で、特定の種が特定の地域で人の食用として利用されていることもあるようです。
やはり葉の大きなアゼトウナ属のホソバワダンは、西南日本の海沿いの低地にごく普通に生えていますが、通常は食用とはしません。しかし、この暮れから正月(2011年)にかけて訪れた(来週から再訪予定)沖縄県伊平屋島では、二ガナと呼ばれて親しまれていて(日本にしろ中国にしろ、市民レベルで“苦菜”と呼称するのは、真の二ガナであることよりも、属や種にかかわらず、その地に生えるタンポポ族野草で最も目立つ対象を指すことが多いように思われます)、野生の葉を採取し、おひたしや炒め物やスープの具などにするなど、日常的な食材として利用していました。

僕も滞在中、複数の民家や宿舎で頂く機会を得たのですが、極めて強い独特の苦みと、マイルドな舌触りとが丁度良くブレンドされ、慣れればなかなか癖になる味だと思います。対岸の名護市でも、ニガナ(ホソバワダン)を利用するようですが、料理法が限られ、食べる機会はずっと少ないように思われました。屋久島や奄美や九州本土などの海岸沿いにも、場所によってはホソバワダンが普遍的に生えていますが、今のところ(少なくとも伊平屋島のように積極的に)利用しているという情報は得ていません。

興味深いのは、“麦菜”の原型であるアキノノゲシを、(家畜の餌以外に)人間の食用として利用しているという話を聞いたことがないことです。伊平屋島でも、両者は一緒に生えていますが、食用に供されているのはホソバワダンのほうだけです。タンポポ族の野生種は、いずれの種も、どの地方でも、おおむね人間の食用としては利用されていず、一部の種が、一部の地域のみで、例外的かつランダムに利用されているということなのでしょう。唯一野菜化されメジャーになりつつあるのが、中国南部発祥のアキノノゲシの改良品種=麦菜というわけでしょうか。今後の詳細なフィールドワークが望まれます。



伊平屋島にて。上左:ホソバワダン、上右:アキノノゲシ。写真下左は、右にアキノノゲシ(花と葉)、左にホソバワダン(葉のみ)。下右2枚は、民宿で出てきたホソバワダンの和え物と味噌汁。

『中国の野菜Chinese Potherb』吉林科学技術出版社2004(490頁+32図版)を久しぶりに引っ張り出して眺めているのですがよく考えたら、アキノノゲシほかタンポポ族各種の項も、まだ余り真面目には読んでいないのです(という以前に、中国語はほとんど読めない)。改めて、ざっと目を通してみました。

タンポポ族の種については、23頁に亘り7種(*1)の本文解説(線画付き)+各種カラー図版があり、うち、タンポポ(モウコタンポポ)の記述が10頁を占めます。紹介順に、幾つかの要点をピックアップして書き留めておきます(分布は、どの種も全国的に広く見られるとされています)。

●山苦菜(苦叶名、苦菜、活血草、苦丁菜、苦苦菜、苦麻菜)
Ixeris chinensis
=タカサゴソウ[二ガナ属]
食用方法2例、医療保険作用3例。

●苦賣菜(苦萵、苦菜、老鶴菜、盤児草、満点星)
Ixeris denticulata(=dentata)
=ニガナ[ニガナ属]
食用方法4例、医薬保険作用7例。

●苦碟(満点星、苦賣菜、苦碟子、抱茎苦菜)
Ixeris(Youngia?)sonchifolia
=図版を見る限り、ヤクシソウYoungia denticulataに似ているようにも見えます。
食用方法3例、医薬保険作用7例。

●山萵苣(萵苣菜、萵笋、萵菜、山生菜、鴨子食、鵝食菜)
Lactuca indica
=アキノノゲシ[ヤマニガナ属]
栽培技術(1整地、2繁殖法、3管理)、食用方法4例、医薬保険作用3例。

●鴉葱(倒扎草根、芽草細辛、毛草七、条参、水防風、羊奶子、仙予参、ほか)
Scorzonera albicaulis
=サルシフィー(根菜)に近縁の一種[フタナミソウ属](*2)
栽培技術(1整地、2繁殖法、3管理)、食用方法5例、医薬保険作用3例。

●苣賣菜(苦賣菜、野苣、天精菜、賣菜、野苦賣、苣菜、苣麻菜、苦菜、ほか)
Sonchs brachyotus
=ハチジョウナ[ノゲシ属]
(Sonchs oleraceus=ハルノノゲシも苦賣菜と呼ばれる)
栽培技術(1整地、2繁殖法、3管理)、食用方法3例、医薬保険作用11例。

●蒲公英(婆婆丁、黄花地丁、狗乳草、奶汁草、白鼓丁、ほか)
Taraxacum mongolicum
=タンポポ/モウコタンポポ(中国で単にタンポポと言えばモウコタンポポを指すようです、本書には中国産タンポポ属計19種の特徴や分布域が併記されています)
栽培技術(1整地、2繁殖法、3管理、4病害虫予防)、食用方法18例(粥が最も多く10例、茶や酒などの飲料が4例)、医薬保険作用23例。

ということで、やはりタンポポが飛びぬけて需要が多く、「野菜(日本で言う山菜)」というよりも、限りなく「蔬菜(日本で言う野菜)」に近い存在なのではないかと思われます。

また、「蒲公英」と「鴉葱」は、別称も含め、独自のイメージの漢名を持っていますが、後の各種は、山苦菜、苦菜、苦賣菜、苦萵、山萵苣、萵苣菜、萵菜、苣賣菜、苦賣菜、野苣、賣菜、野苦賣、苣菜、、、、等々、苦、賣、萵、苣といった字が相互に重なり合って、紛らわしいのです。そのうち「山苦菜」「苦賣菜」「苦碟」のニガナ属とされる3種には、栽培技術の項目が示されていないのに対し、「山萵苣」のアキノノゲシと、「苣賣菜」のハチジョウナ(ハルノノゲシ近縁種)には、「蒲公英」や「鴉葱」同様に栽培技術の項目が示されていて、「野菜(山菜)」としての重要性が伺い知れます。

しかし、肝心の「麦菜」の名は、「山萵苣」(アキノノゲシ)の項の解説中にも全く登場しません(別名「山生菜」の「生菜」はレタス)。「麦菜/油麦菜」は栽培植物なので、あえて記述がないのかも知れませんが、それにしても、どうにも不自然な気がします。

(*1)春の七草のメンバーでもある、タビラコ(コオニタビラコ、ホトケノザ)Lapsana humilisが紹介されていないのは、何故でしょうか? まさか“蔬菜”として扱われている、ということはないと思うけれど、、、、。そういえば、やはりメンバーの一員の、ハハコグサ(オギョウ、ゴギョウ:キク科ヤマハハコ族)Gnaphalium affineも紹介されていません。ハハコグサは、雲南の奥地などでは“八百屋”の店頭でもよく見かけるのですが、至る所に繁殖している代表的な田畑の雑草ですから、栽培しているなどと言うことは、まず有り得ないと思います。

(*2)同属種の日本産在来種は、礼文島の絶滅危惧種フタナミソウScorzonera rebunensisだけですが、中国大陸では幾つかの種が普遍的に見られます。ヨーロッパで根菜として普及しているバラモンジン属Tragopogon属(通称“サルシフィー”)に近縁で、同属種には、やはり根菜として利用されるキクゴボウ(ブラック・サルシフィー)などが知られています。

【中国陽春などで栽培されている麦菜や、中国各地で料理に出てきた麦菜の写真は、探し出してそのうち紹介する予定。】


(分類単位についての注)
科Family   キク科
亜科Sub-family タンポポ亜科Chicorinae
族(連)Tribe    タンポポ族Chicorini
属Genus       タンポポ属Taraxacum
亜属Sub-genus     タンポポ亜属Taraxacum
種Species        ニホンタンポポT.japonicum
亜種Ssp./変種Var.     カンサイタンポポT.japonicum ssp.japonicum
品種Form          (明治時代にはカントウタンポポの36の品種があったとされています)


多くの種を擁する科のうち、キク科は、ラン科、イネ科などと共に、進化の末端にあるグループです。
一方、ユリ科のように、極めて未分化の集団もあります。

形態の基本的構造を細見し、分子生物学的解析を行ったところ、ユリ科のごく一部分に、ラン科やイネ科や、その他の大多数の単子葉植物が含まれてしまうという結果が示されました。ラン科やイネ科など、大半の単子葉植物をユリ科に併合してしまうと言うのも一つの手段でしょうけれども、そうすれば余りに大きな分類群と成ってしまい、いわゆる双子葉植物の科とのバランスが崩れてしまいます。そこで、ラン科やイネ科など、それ自体非常に多くの種からなる科をこれまで通り成立させるためにも、旧ユリ科は、数10の科に細分され、他の単子葉植物の科と混ざり合うようにして、幾つかの目(科の上の単位)に配分されることになったのです。

従って、現在のユリ科は、従来は、ユリ科ユリ亜科ユリ族に含められていた少数の属と種(ユリ属、ウバユリ属、カタクリ属、バイモ属[クロユリなど]、アマナ属[チューリップなど]、チシマアマナ属)に、以前は別の族に置かれていた、ツバメオモト属、キバナノアマナ属、タケシマラン属、ホトトギス属を併せて構成されることになりました。種の数から言えば、超メジャーな科だった以前にくらべ、極めてマイナーな存在になったわけです。

ユリ科の場合とは反対に、キク科やラン科やイネ科は、比較的新しい時代に、爆発的に進化発展したグループです。非常に多くの種を擁し、それぞれが特徴的形質を持つ幾つものグループに分けることが出来ますが、ユリ科を多数の科に分割したような、古い時代から引き継がれたものではありません。従って、それらの科は(幾ら多くの種を含んではいても)比較的纏まった集団として捉えられ、一つの科の中の亜科や族が、余り多く設置されることはありません。

キク科に例を取れば、従来はタンポポ族単独のタンポポ亜科と、他の10前後の族を併せたキク亜科に2分することが一般的見解でしたが、現在ではタンポポ族だけが他の各族とかけ離れた存在ではなさそうという見解が示されていて、科を大きく2亜科に分ける処置は取られないことが一般です。

思いつくまま日本産のキク科の各族(Tribeという分類単位の日本語表記である「族」は、一つ下の分類単位「属」とGenusと発音が同じなので、植物の分類では、最近は「連」を充てることが主流となっているようです、ただし、動物や昆虫では、今まで通り「族」を使用しています)を並べて見ました(このほかにも見落としがあるかも知れません)。系統的な順は不同です。

従来は、このうちタンポポ族のみでタンポポ亜科、その他の全族を併せてキク亜科、としていたのですが、現在はそのような処置は取られていないと思います。むしろ、日本産のキク科の中では最も原始的な位置付けにある(祖先的形質を多く残している)コウヤボウキ族が、ほかの全族と対応するのではないかと思われます(さらに、コウヤボウキやモミジハグマと、センボンヤリやガーベラは、族を分けるべきかも知れません)。

コウヤボウキ族     モミジハグマ/センボンヤリ/ガーベラ(園芸植物)
アザミ族        ノアザミ/ゴボウ(栽培野菜)/アーティーチョーク(栽培野菜)
タンポポ族       タンポポ/ブタナ(帰化雑草)/レタス(栽培野菜)
メナモミ族       センダングサ(帰化雑草)/コスモス(園芸植物)/ダリア(園芸植物)
オナモミ族●      ブタクサ(帰化雑草)
キク族         ノジギク(野生菊の一種)/ヨモギ/マーガレット(園芸植物)
シオン族        ノコンギク/セイタカアワダチソウ(帰化雑草)/ディジー(園芸植物)
サワギク(キオン)族   フキ/ベニバナボロギク(帰化雑草)/サイネリア(園芸植物)
ヒヨドリバナ族     フジバカマ/カッコウアザミ(アゲラツム園芸植物→帰化雑草)
オグルマ族●      ミズギク
ヤマハハコ族      ハハコグサ/ウスユキソウ/エーデルワイス(ヨーロッパ産のウスユキソウ)
ショウジョウハグマ族● ムラサキムカシヨモギ(ヤンバルヒゴタイ)

[●は日本産についてはごくマイナーな(種数が少ない)族]


Bert Kaempfert Tijuana Ta


Gene Pitney &George Jones Mocking Bird Hill

舞台は、むろんアメリカなのでしょうけれど、僕の作った博物館のあるミャンマーのピンウーリンの植物園に、余りにも良く似ているのです。曲が終わってから最後に出る、ジーンとジョージが並んで微笑んでいる写真が、なんとも言えず素敵です。


Jimmy Clanton A Million Drums
24人衆で唯一人CDが手に入らない! でも50年近く前、この曲の入ったLPを購入していて、なぜか今も手元にあります。最近のJohnnyや、若い日のBobby Darinとのポートレイトがバックに、、、。

Bobby Vinton The Last Rose

(「ElvisとBeatlesの狭間で」2010.10.6付けの記事より抜粋)
最後に、「薔薇」がらみ。
★Roses are Red(涙の紅バラ)
1962年Pop 1位、AC 1位、R&B 5位。
★Bed of Roses
1984年C&W 91位。
★The Last Rose(最後のバラ)
1989年C&W 63位
★Roses are Red(涙の紅バラ)[再発]
1990年[英メロディー・メイカー誌] 71位。
と、キッチリと締めくくっているところが、見事というほかありません。

John D. Loudermilk Language of Love
1961年、珍しく本人が唄ってヒットした曲。

Johnny Tillotson Judy Judy Judy


Johnny’s Girl Angelgroupkk


Johnny Tillotson Judy Judy Judy janschro


ジョニーの最大のヒットは、アメリカでは「涙ながらに」、イギリスでは「ポエトリー」、日本では「涙くんさよなら」、そして日本を除くアジア各国では「ジュディー、ジュディー、ジュディー」で決まりでしょう。フィリッピンでは、ラインダンスのスタンダードナンバーとなっているようです(10バージョンほどYou-tubeにアップされているうち、振付けつきのと、真ん中の娘が僕の好みの、2バージョンを紹介)。

Horst Jankowski A Walk In The Black Forest(森を歩こう)


Marianne Faithfull This Little Bird (可愛い小鳥)


Millie Small My Boy Lollipop


ちょっと安易な選曲だけれど、1964~1965年の大ヒット3曲を紹介します。“美少女”マリアンヌ・フェイスフル「可愛いい小鳥」は、ジョニーの「トーク・バック・トレンブリン・リップス」に並ぶ、ラウダーミルクの最も良く知られた曲。“ジャマイカのお転婆少女”ミリー・スモールの「マイ・ボーイ・ロリポップ」は、成長してセクシーになった、10年後の映像です。




★手違いで、関係ない記事を載せていましたので、その部分を削除しました。

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