卓袱台の脚

団塊世代の出発点は、狭いながらも楽しい我が家、家族が卓袱台を囲んでの食事から始まったと思います。気ままな随想を!

夏のなごり

2015年09月10日 07時05分38秒 | 日記・エッセイ・コラム

 一晩中、屋根をたたく、土砂降りの ゛ ガザァー ガザァー ゛という音が、耳にうるさかった。

ボヤケて目を覚ますと、部屋の内外(うちそと)は、静かさそのものです。ガラガラと雨戸を開けると、苦瓜の暗緑色の幾何学模様が、目に飛び込んできました。゛ おやっ ゛、隣家のねずみ色の戸袋に、何かが留まっています。゛ ああ、蝉だな! ツクツクボウシか、ニイニイゼミかな? ゛…と、言葉にならない声が、頭を過(よ)ぎります。蝉は、惰性で、仕方なく留まっているように見えました。その様子は、塗り壁の白さを、一点のシミが、汚しているかのようです。すごく寂しく見えました。

暑過ぎる今年の夏は、9月を前に、まるで手のひらを返すように、急な雨降りとともに、終わっていました。

また、冷たそうな、ショボショボとする雨が、降り出しました。まだ、仕方なさそうな蝉は、戸袋にへばりついています。

蝉の一生は、数年の地中と、1、2週間の地上の命と、聞きました。蝉の ゛ 生きがい ゛は、どっちなのかな?…と。

食事を終えて、戸袋を見に来ましたが、蝉はいませんでした。

きっと、生きがいを見つけに、飛び立ったのでしょう!

 

 


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