Feelin' Groovy 11

I have MY books.

そろそろなんじゃないか

2008-11-11 | 
芥川賞をとった『猛スピードで母は』を読もうとしたら
一緒に「サイドカーに犬」が収められていた。

昨年だったか映画化されていたので
タイトルだけは知っていたけれど
観ていないし、それが長嶋有の原作だったなんて知らなかった。

本文で目に見えるような印象的な場面があるので
そういうところは映画でよく表現されているんだろうな、
と想像する。

私の気に入ったのは終盤。

   「薫もそろそろなんじゃないの?」と弟はいった。
   私はうろたえた。「そろそろ」というのが結婚を
   意味すると気付くのに少し時間がかかった。
   結婚のことだと気付くと、むしろ私は安心した。
   それよりもっと別のなにかが「そろそろなんじゃないか」という気がする。
   (『猛スピードで母は』より「サイドカーに犬」長嶋有著 文藝春秋)


なにがそろそろなのか。

いろいろ考えたあげく、
主人公の薫が洋子さんに最後に会ったときにもらった、
RCサクセションのテープを聴けるのが、
そろそろだってことに、私の中では落ち着いた。

当時は小4。
たぶん薫は歌を理解できなかっただろう。
でも今の薫なら彼の歌が身にしみるはずだ。
作中登場する「いい事ばかりはありゃしない」の歌詞を借りるならば
そろそろ「何も変わっちゃいない事に気がついて、
坂の途中で立ち止まる」時期だということ。

映画でココはどう表されていたのかな。
省略されてたりしてね。

「いい事ばかりはありゃしない」→歌詞


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LIFE IS NOT FAIR

2008-11-11 | 
主人公が近所の小学生の運動会のかけっこを見て、思う場面。

   スタートラインが横一線ということだって、
  ほんとうはめったにないんだ、と菜穂は思う。
  最初から差がついたまま走りださなければならないことは、
  世の中にたくさんある。
  でも、その代わりゴールだって同じじゃないから、
  1人ずつ違うんだから---------それを信じているから、
  おあいこなんだよ、と笑ってうなずく。
        (『少しだけ欠けた月』季節風 秋より
           「よーい、どん!」重松清著 文藝春秋)




この本は秋の12編が収められていて
どれもこれも普通の日常にありそうな話なのに
どれもこれも泣けてしまう。

あまりにも、うま過ぎて
すっきりし過ぎていて
なんだか物足りなかった。

国語の教科書に載ってるような話ばかり。。

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