写真提供:齊藤一男スタジオ(出典)
何とは申しません。しかし私たちにつか先生は教えて下さったことがあります。
今年、戦後70年という節目を迎え、政治でも多くのことが論議されている。
私は、つか先生のあの言葉を思い出してしまうのです。
今、伝えられている、戦争の頃のこと、または60年代の安保闘争の頃
マスコミは全てを伝えていない。
まだまだ隠された真実がある。
つかこうへい氏はそれをある所から聞き、知っていました。
作家とは自らが声高に叫ぶことでも、政治家になり、国を変えると選挙に出ることでもない。
その作品を通し、社会に広く伝える、それが役目です。
奇しくもベストセラー作家としてつか氏と同時代…もしくは少しズレながらも…小説を書いてベストセラーを連発していた赤川次郎氏も同じことを言っています。
つか氏も作品を通し、多くの今は出てこない戦争の真実などを形を変え、フィクションを交えながら、世間に伝えようとしていました。
以前私が書いた「赤紙が来る人来ない人の差」という話はテレビの番組で詳細な資料を得たとしてドキュメンタリー番組で放送されていたものから書かせていただきました。
しかし、それは日本の番組ではないのです。
戦争当時、敵国だった米国のドキュメンタリー番組なのです。
何故、彼らはそんな詳細な資料を持っているのでしょう。
日本だってあるはずのそれを日本が伝えないのは、何故でしょう?
言えないことがあると、自ら告白したようなもの
そう考えることは間違いでしょうか。
私が戦争や安保闘争に詳しいわけではありません。
しかしつか作品を通し、そうして、国を問わず、戦争の頃起きたことを放送する他国制作のドキュメンタリー番組を見て知るに至るのです。
そして思うのです。
つかこうへい氏が言ったことはいい加減なことではない。
根拠があったことだった。
時代は変わったものですね。
かつては、ある作品の中で主演がJ事務所の若手アイドルグループの方だったのに、街宣車が来る騒ぎになったことがあるそうです。
怖いですよ。でもそれもつか先生は背負っていました。
今は芝居1つでそんなに騒がれたりしませんものね。
それもつか氏の悩みの1つでした。
携帯電話に何千円かけることは平気でも、芝居のチケットに数千円(つかさんの芝居の場合、1000円で行う芝居など珍しくはありません。外部公演=他の会社が主導権を持って公演を行うときは別ですが)
それでも多くある娯楽の中で、芝居を改めて考える人々は少ない。
でも、今は芸能界もタレントをライブ感覚の舞台に立たせ、お客様の反応をタレントに実感させたいと積極的に舞台に出しています。
私はペンでものを言っていこうと思います。
まだひよこすぎて、上手く伝えられないこともあります。
でも、それでも、伝えたい、そう思うことはあるのです。
師としてのつか氏の言葉を借りながら。
それを引き継いでいくのも、また私たちの仕事だとも思うのです。