夜行列車に乗って

2007-04-01 23:17:50 | エッセイ風
 夜行列車に乗って北へ向かいます。
 
 ただ夜行列車に乗ってみたかっただけです。
 しかし23時頃を目指して駅へ行くと言うのは・・・。   それしか乗れない身の上ならしょうがないんですが、夜行列車に揺られることが目的でしたので、もう、この時点で自分が何をしようとしているのか良く判らなくなってた。日が終わろうとする寂しさと、初めて乗る夜行列車に緊張はピークに達します。

 私は個室でした。ラジオかしら? 音楽が聴ける装置がありまして、一晩中、列車に揺られながら聞いてたんですが、ずっーと、「so blue」って曲が流れてました。あとで調べてそれが森高 千里さんの曲だと判りました。悲しくて悲しくて涙が溢れる・・・。みたいな曲で、振られた女の子の曲なんですね。
 
 何故、夜行列車で北へ向かいながら、振られソングを聞かなければならないか? 大いなる疑問でした。

 夜行列車なので、先方に朝の7時過ぎには着いてしまう訳です。  

 結局一睡もせず夜行列車に揺られていた私。けだるさが朝の清々しさの中で異質感をかもしだします。
 何処も開いていない。それでも駅前に1軒ある疲れた感じの喫茶店に落ち着きます。朝食セット。そういうのって、食べたことがない。マクドナルドで1回食べたいと思いながら、未だその夢すら叶えていない私。アイスコーヒーだけ頼んで、時間が過ぎるのを待ちました。これから出勤していくらしい客が慌しく席を埋めては去っていきます。
  
 バスの時刻表を見たら、その日最初に来るバスは午前10時頃。そして3本しかない。

 目的は夜行列車に乗ることです。それ以外何を調べてきた私でしょう。

 それでタクシー移動をしたんですが、不思議なことに、運転手さんが私が東京から来たと知ると、「都会生活は大変でしょ」「色々ありますよね~」とやたらに話しかけてきます。しかも都会生活に疲れたOLというコンセプトで。「違うんですよ」何度かそうアプローチはしてみましたが、どうしても、「都会に疲れた路線」に話を持って行きたがります。
 何でそう見えるんでしょう? いい年の女の北への一人旅はそういう印象いっぱいなのかしら? 運転手さんの経験上。宿でも「女1人の宿泊客は注意しろ」って、ミステリードラマで話好きの仲居さんが言ってたりしますよね

 違いますけど。
 しょうがないから運転手さんのコンセプトに付き合いました。ちょっとけだるい女の演出ですね。
 あまり上手くいかなかったけど、運転手さんは「そうでしょ。そうでしょ」って結構喜んでくれた。

 目的が夜行列車に乗ることだったので、後は全て付け足しみたいな旅です。なんかふらふらと取り合えず観光名所を回ります。しかし1番の目的は既に終わっている。 それ以外は・・・。ま、取りあえず観光を。そして名産の食べ物を食べておこう。

 そう言えば、夜行列車が深夜に、ちょうど日本海沿いを走るんです。
 海が見える~、って喜んだんだけど、夜は海もお休みなんですね。

 暗いの。 暗いと海だかただ真っ黒い闇が延々と続いてるだけなのか、ちっとも判らないの ごとんごとん・・・。列車の振動と、少し熱すぎる暖房で、軽く気分が悪くなる。

 暗い墨をばら撒かれたような夜の闇の海は、意味もない不安に私を引きずり込みます。色を失った景色は、ただぼんやりと私を飲み込んでいく。 

 でも街自体はとても良い所でした。穏やかで暖かくて。思わずこのまま住み着いてしまおうかと思ったほど。
 いい思い出です。


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