大阪水曜ほっと集談会一世です。
先日、50年間罪を隠して潜伏していたであろう犯人の死去が報じられました。
現代の※ジャン・ヴァルジャンは、その人生がいつも不安と表裏一体ではなかったかと無責任ながら想像します。
ところで私たちは人生の困難や危機に直面した時、またそれを解決することが難しいと感じた時様々な言い訳を考えます。
アドラーはそれに対して人生の嘘という表現をしています。
さまざまな口実を設けることで、人生の課題から逃れようとするのです。
では森田療法ではどうでしょうか!
森田博士は、自欺という表現をされています。
自らを欺こうとする心の動きです。
自らの心を欺くことで私たちは一時的に心の安定が得られたように感じますが、これは幸せからどんどん遠のく道です。
過去の私に関して言えば、学生時代に受験勉強に集中して希望の大学に合格したいという強い欲望がありました。
しかしながらこの雑念があるから、読書恐怖があるから勉強ができないというふうに言い訳をして教科書を開くことを頑なに拒否していたのです。
これでは永遠に救われることはありません。
森田が自らを欺く心を指摘して、自覚や純なる心にこだわったのも、その時々の心の声に耳を傾けて、震えながら、ビクビクハラハラしながら本当の自分で生きることが、もっとも強い生き方であると教えているのです。
この不安の強い時代においてこのような発想は、さまざまな形で応用できるのではないでしょうか!
※今日の森田博士の言葉
この「我」と「とらわれ」の心が充分に対立して、相拮抗をするときに、観察と批判とが進行し発展して、適切な働きが現われてくるのであります。
この「我」つまり「感じ」が十分に出てこなければ、進歩も発展も、また適応性の発揮もないのであります。
2024.1.30 一世
※フランスの歴史小説 レ・ミゼラブルの主人公