浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

恩師の歌集「愛」より

有難や米一粒の一粒に
神の御命 我給わらん

「御垂訓」

2021-01-26 00:06:10 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓
 
     恩師のご著書「講演集」より

              講演集、 三

        自分の為に相手を「許させていただく」


先の続き・・・

以前、この話をさせてもらいました時、
或る六十代の女の方が言われたのです。
ご主人がもう好き放題で、ギャンブルはするわ、
女道楽はするわ、酒は飲むわ、好き勝手のやり放題で、
大きな借金を残して、他の女性の家でぽこっつと
死なれたのです。
その奥さんは、苦労して残された二人の子供を
育てて二十五年過ぎた今、
まだ借金を払い終わらないそうです。

子供さんはちゃんと片付いて、今は一人で住んでおられます。
ところが、普段は忘れているのですが、食事を頂いている時、
そのほっとした時に、ご主人のことを思い出してきたら、
もうこの心の持っていきどころがなくなるそうです。
さあ、ご飯をいただいている時、お茶碗の御飯が入っていても、
お汁が入っていても、とにかくぶっつけて叩き割らないと、
この心がおさまらない。

もう、死んで二十五年も経っている主人に対してです。
その人が、「よう分かりました。
ほんとうに許させてもらうということは、
自分の思いだということが良く分かりました。
憎む相手はもうこの世におらないのですね。
もう、今日からは心から許させていただきます」と、
懺悔されました。
許させていただくのですね。

またある方は、ご主人が会社の部長さんで、
そのご主人が九州のほうに単身赴任なさっていた時に、
女の方ができたのです。
飲み屋の女の方だそうです。
そして、その人との間に子供ができて、
それがばれてしまったのです。
さあそれから、奥さんは堪らないのですね。

それで、私の所にご縁があって来ていただいたのです。
「一度聞いて下さい。主人は絶対許せません。
外に子供まで作っていました」と。
それは、ショックが大きいと思います。
しかし、その許せないという心の為に、可哀そうにご主人は、
もう悔い改めているのに、奥さんから許してもらえないのです。
家に帰っても、自分で鍵を開けないと、家に入れない。
普通なら「ああ、お帰りなさい」「ああ、ご苦労さま」と、
奥さんに迎えてもらうところです。


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