浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

恩師の歌集「愛」より

有難や米一粒の一粒に
神の御命 我給わらん

「御垂訓」

2021-01-27 00:06:40 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓
 
     恩師のご著書「講演集」より

            講演集、 三

     自分の為に相手を「許させていただく」


先の続き・・・

ご主人は「鍵っ子だ」と言って、
いつも自分のポケットに鍵を入れて持ち歩いており、
自分で鍵を開けて家に入るのです。
そういう具合ですから、奥さんは、
主人の食事の世話から風呂の世話まで何もせず、
勝手にしなさいといって知らん顔です。

まあ、男もこうなったら哀れなもので、ほんとうにみじめです。
何回目かの時、ご主人もいっしょに見えたのです。
「そこにパジャマあります」と奥さんが言いますと、
大きなご主人が、「ハイ、ハイ」と言っているのを見て
、何かおかしな夫婦だなと思っていたのです。
不思議なことで、親がこんなふうにやっていますと、
子供さんにやっぱり不調和が出てきます。
両手を腱鞘炎で手術されたのですね。

左手はどうにか治ったのですが、右手は全然動かないのです。
女の子ですから、花嫁修業で家では炊事もするでしょうが、
動かない手をこんなふうにして野菜を刻んでいたのです。
それがね、「どう、ちょっと見せて下さい」と言って、
触れさせてもらったら、すうっと治ってしまって、
お医者さんが
「もう手術をしても治らないからどうしようもない」と言っていた手が、
見せて下さいと触れただけで治ってしまったのです。

連れてきてくれた方というのは、同じ会社の方で、
結婚前のお譲ちゃんが可哀そうだから、
家には内緒にして連れてきたということです。
それがパッと治ったものだから、その連れて来た人が泣き出して、
その当人も
泣き出して今度はびっくりしてお母さんが私のところに来たのです。
そしてお父さんも来て、お母さんがその主人の悪口を言い、
告発をしてくれたのですね。

そのお母さんにも言ったのです。
「主人は外で女の人をつくり、子供までできた、
これを絶対に許せないとおっしゃるのですけど、許しというのは、
主人を許すのとは違うのです。
許させてもらうとことによって、あなたご自身が救われることを知って下さい。
腹が立つ時、うれしいですか。

主人を恨んでいる時、あなたの心は安らかですか。
憎しみのある時、あなたの心はどんなですか。
それは全部自分の心を苦しめているのです。
いとしい自分の為に、その苦しみから救われる為に、
過ぎたことは帰らないことを悟って、ご主人を許しなさい、
許させてもらいなさい」すると、賢いお方で、理解が良かったのですね。
「先生、私の為ですね。許させて貰うのは私の為ですね。

主人の為と違いますね。私が幸せになれるのですね。
私の為だったら、許させてもらいます」と言ってくれました。
過ぎた過去は帰りません。
しかも相手のその女の人は、
幸いにして子供を連れてちゃんとした所にお嫁に行ったそうですから、
こんなに有難いことはありません。


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