11月文楽公演 平成29年11月3日-26日 国立文楽劇場
●八陣守護城
<浪速入江の段>
謀られて北条時政(徳川家康)に毒酒を盛られた加藤正清(加藤清正)は、時政の使者に不調を気付かれず、息子の許嫁である雛菊とともに都から本国へ帰る。
舞台中央にある横向きの船が回り舞台で正面を向く。舳先に正清が勇壮に立ち、雛菊が横からちょこんと顔を出すのがかわいい。船が波をかき分け進むように見えた。
<主計之介早討の段>
本国に戻った正清は百日の心願を立てて引きこもり、雛菊以外は妻の葉末さえも近づけない。満願の日、時政の使者・鞠川玄蕃は大内義弘(島津義弘)とともにやってきて正清の安否を尋ねる。さらに船頭の灘右衛門(実は児藤元平衛、後藤又兵衛)も見舞いに訪れる。そこへ、時政の使者として息子の主計之介が到着する。
<正清本城の段>
正清の籠る部屋へ近づく主計之介。そこへネズミとなって忍び込む鞠川玄蕃らを懲らしめるために正清が現れる。主計之介は時政からの教書を父に差し出すが、女に迷って帰国したと一喝される。身の潔白を示すため、雛菊へ離縁状を残して立ち去る主計之介。覚悟を決めた雛菊は自害する。幼君と主家安泰のため命を必死につないだ正清に毒が回り始める。主計之介と雛菊の名を書いた妙法蓮華経の旗を手に二人の来世での縁を祈る正清だった。
豊竹呂太夫さんの声がいいので、ついウトウト。しかし、ネズミがチョロチョロしたり、最後の場面で高楼にいる小さい正清の人形とか見どころもいっぱい。
●鑓の権三重帷子
<浜の宮馬場の段>
笹野権三は、鑓の名手で美男。茶道の同門である川側伴之丞の妹お雪とは言い交わした仲である。師の浅香市之進の不在に開かれる茶会について二人は役目を争うことになる。
遠くで馬を走らせるのをペープサートみたいなので表し、カツカツカツと音がするのがおもしろい。イケメンの咲寿太夫さんは、女性の声をそっくりに出す。権三は、美男らしく水色の衣装で爽やか。権三のいい男っぷりを「油壷から出すような、しんとろとろりと見とれる男」と表すのがおもしろい。
<浅香市之進留守宅の段>
市之進が江戸に詰めている間、妻のおさゐが留守宅を守っている。そこへ権三がやってきて、秘伝の教授を乞い、おさゐは娘のお菊との結婚を引き換えに承知する。権三に夜更けに来るようにと言い帰した後で、おさゐは権三がお雪と恋仲であることを知る
娘のお菊が薄茶を音羽山の茶碗で出すところで私はニヤリ。知ってるぞ、音羽山は、清水寺の焼き物なのだ。琴の鶴澤燕二郎さんが、指に息を吹きかけて温めて弾くのが印象的。
<数寄屋の段>
夜、市之進宅の数寄屋でおさゐが権三に秘伝の一巻を見せているところへ、おさゐに何度も不義を迫る伴之丞が忍んで来る。お雪との仲を問いただすおさゐと権三がもめていると、伴之丞に不義密通をしたと仕立て上げられる。権三は、不名誉を嘆きつつも、夫のために不義者として討たれてほしいというおさゐの望みを受け入れ、屋敷を抜け出す。
権三とおさゐが数寄屋で秘伝の巻物を見ている場面は、影絵のようで秘密めいた感じが出ている。権三は、フラフラしているし、おさゐは言っていることの訳がわからないし。オイオイという感じ。
<伏見京橋妻敵討の段>
盆踊りで賑わう京都伏見。権三とおさゐを追っていた市之進は、二人を見つけ、子どものことを頼むおさゐを殺し、権三を殺すのであった。
五人の太夫さんと五人の三味線さんとで賑やかな中、橋の上では盆踊り、橋の下では妻敵討ち。この対比がすばらしい。しかし、この二人は最後まで潔白で不義は仕立てられたものだったのか、逃避行の途中でできちゃったのか。どうなんだろうね。
「鑓の権三」おもしろかった。
●八陣守護城
<浪速入江の段>
謀られて北条時政(徳川家康)に毒酒を盛られた加藤正清(加藤清正)は、時政の使者に不調を気付かれず、息子の許嫁である雛菊とともに都から本国へ帰る。
舞台中央にある横向きの船が回り舞台で正面を向く。舳先に正清が勇壮に立ち、雛菊が横からちょこんと顔を出すのがかわいい。船が波をかき分け進むように見えた。
<主計之介早討の段>
本国に戻った正清は百日の心願を立てて引きこもり、雛菊以外は妻の葉末さえも近づけない。満願の日、時政の使者・鞠川玄蕃は大内義弘(島津義弘)とともにやってきて正清の安否を尋ねる。さらに船頭の灘右衛門(実は児藤元平衛、後藤又兵衛)も見舞いに訪れる。そこへ、時政の使者として息子の主計之介が到着する。
<正清本城の段>
正清の籠る部屋へ近づく主計之介。そこへネズミとなって忍び込む鞠川玄蕃らを懲らしめるために正清が現れる。主計之介は時政からの教書を父に差し出すが、女に迷って帰国したと一喝される。身の潔白を示すため、雛菊へ離縁状を残して立ち去る主計之介。覚悟を決めた雛菊は自害する。幼君と主家安泰のため命を必死につないだ正清に毒が回り始める。主計之介と雛菊の名を書いた妙法蓮華経の旗を手に二人の来世での縁を祈る正清だった。
豊竹呂太夫さんの声がいいので、ついウトウト。しかし、ネズミがチョロチョロしたり、最後の場面で高楼にいる小さい正清の人形とか見どころもいっぱい。
●鑓の権三重帷子
<浜の宮馬場の段>
笹野権三は、鑓の名手で美男。茶道の同門である川側伴之丞の妹お雪とは言い交わした仲である。師の浅香市之進の不在に開かれる茶会について二人は役目を争うことになる。
遠くで馬を走らせるのをペープサートみたいなので表し、カツカツカツと音がするのがおもしろい。イケメンの咲寿太夫さんは、女性の声をそっくりに出す。権三は、美男らしく水色の衣装で爽やか。権三のいい男っぷりを「油壷から出すような、しんとろとろりと見とれる男」と表すのがおもしろい。
<浅香市之進留守宅の段>
市之進が江戸に詰めている間、妻のおさゐが留守宅を守っている。そこへ権三がやってきて、秘伝の教授を乞い、おさゐは娘のお菊との結婚を引き換えに承知する。権三に夜更けに来るようにと言い帰した後で、おさゐは権三がお雪と恋仲であることを知る
娘のお菊が薄茶を音羽山の茶碗で出すところで私はニヤリ。知ってるぞ、音羽山は、清水寺の焼き物なのだ。琴の鶴澤燕二郎さんが、指に息を吹きかけて温めて弾くのが印象的。
<数寄屋の段>
夜、市之進宅の数寄屋でおさゐが権三に秘伝の一巻を見せているところへ、おさゐに何度も不義を迫る伴之丞が忍んで来る。お雪との仲を問いただすおさゐと権三がもめていると、伴之丞に不義密通をしたと仕立て上げられる。権三は、不名誉を嘆きつつも、夫のために不義者として討たれてほしいというおさゐの望みを受け入れ、屋敷を抜け出す。
権三とおさゐが数寄屋で秘伝の巻物を見ている場面は、影絵のようで秘密めいた感じが出ている。権三は、フラフラしているし、おさゐは言っていることの訳がわからないし。オイオイという感じ。
<伏見京橋妻敵討の段>
盆踊りで賑わう京都伏見。権三とおさゐを追っていた市之進は、二人を見つけ、子どものことを頼むおさゐを殺し、権三を殺すのであった。
五人の太夫さんと五人の三味線さんとで賑やかな中、橋の上では盆踊り、橋の下では妻敵討ち。この対比がすばらしい。しかし、この二人は最後まで潔白で不義は仕立てられたものだったのか、逃避行の途中でできちゃったのか。どうなんだろうね。
「鑓の権三」おもしろかった。