『貸本屋おせん』 高瀬乃一 文藝春秋
物語の舞台は、文化年間の江戸浅草。女手ひとつで貸本屋を営む〈おせん〉の奮闘を描く。読本をめぐって身にふりかかる事件の数々に立ち向かう〈おせん〉の話。
軽いミステリ仕立てでサラリと読むことができる。ちょっと人情話もからむし。
『リラの花咲くけものみち』 藤岡陽子 光文社
幼い頃に母を亡くし、父の再婚相手とうまっくいかず、不登校になった聡里。聡里は祖母に引き取られ、ペットと暮らすうちに獣医師を目指すように。北海道の獣医学大学へ進学し、寮生活が始まると不登校だった聡里は人との距離感に悩みつつも学業にアルバイトに奮闘する――北海道の地で、自らの人生を変えてゆく少女の姿を描く。
よかった。聡里が、いろいろと悩みつつ成長していく姿がいい。彼女の幸せを祈りつつ、応援していた。
章の題に花の名前が入っているのもいい。
馬の死産の話にはビックリした。命についてきれいごとでは済まされない話を真正面からとらえた作家もいい。
「絶対にしなくてはいけないことなんて、この世の中には一つもない。できないならできないと素直に告げて、自分のできることをすればいい」という先輩の言葉が響いた。「いま辛いことから逃げたとしても時間を経て変わることはできる。苦しんだ人のほうが始めからなんでもできるやつより強い」悩んでいる若者に読んでもらいたい。高校の課題図書とかになりそう。
物語の舞台は、文化年間の江戸浅草。女手ひとつで貸本屋を営む〈おせん〉の奮闘を描く。読本をめぐって身にふりかかる事件の数々に立ち向かう〈おせん〉の話。
軽いミステリ仕立てでサラリと読むことができる。ちょっと人情話もからむし。
『リラの花咲くけものみち』 藤岡陽子 光文社
幼い頃に母を亡くし、父の再婚相手とうまっくいかず、不登校になった聡里。聡里は祖母に引き取られ、ペットと暮らすうちに獣医師を目指すように。北海道の獣医学大学へ進学し、寮生活が始まると不登校だった聡里は人との距離感に悩みつつも学業にアルバイトに奮闘する――北海道の地で、自らの人生を変えてゆく少女の姿を描く。
よかった。聡里が、いろいろと悩みつつ成長していく姿がいい。彼女の幸せを祈りつつ、応援していた。
章の題に花の名前が入っているのもいい。
馬の死産の話にはビックリした。命についてきれいごとでは済まされない話を真正面からとらえた作家もいい。
「絶対にしなくてはいけないことなんて、この世の中には一つもない。できないならできないと素直に告げて、自分のできることをすればいい」という先輩の言葉が響いた。「いま辛いことから逃げたとしても時間を経て変わることはできる。苦しんだ人のほうが始めからなんでもできるやつより強い」悩んでいる若者に読んでもらいたい。高校の課題図書とかになりそう。