ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『らんたん』『女たちのシベリア抑留』

2024-04-01 22:52:57 | 
『らんたん』 柚木麻子 小学館
 大正最後の年。かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児は、渡辺ゆりにプロポーズした。彼女からの受諾の条件は、シスターフッドの契りを結ぶ河井道と3人で暮らす、という前代未聞のものだったーー。
 シスターフッド?本を選ぶのを間違えたかと思ったが、違った。女性は控えめで耐えるものとされていた時代にアメリカに留学し、世界を飛び回る河井道は、エネルギッシュでおもしろい。朝ドラになりそう。
 とにかく、歴史の教科書に出てくる人物が山ほど出てくる、出てくる。男尊女卑の時代に女子教育や女性の権利のために多くの女性たちが熱い思いを持って戦っていた。それが生き生きと描かれている。
 
『女たちのシベリア抑留』 小柳ちひろ 文藝春秋
 終戦直後、満洲や樺太などにいた60万人近くの日本人がソ連によって連行された「シベリア抑留」。その中に女性捕虜が存在したことは、長く歴史の陰に埋もれていた。関東軍の陸軍病院で勤務していた従軍看護婦や軍属として働いていたタイピスト、電話交換手、開拓団の民間女性、そして受刑者たちが、極北の地シベリアに送られていたのである。
 シベリア抑留者に女性がいたという事実が衝撃的だった。
 看護師の資格を持っているため、重宝がられたことから、資格は大切だとしみじみと思う。厳しい状況でも看護師としての矜持を持ち、患者に接するのはスゴイと思った。
 苦労して日本に帰ったのに、冷たい態度を取られるのが読んでいて辛かった。ロシア人のほうが優しかったのではないかと思う。戦友会で救われたという話もある。知らない人に話したら変な顔をされるだろうが、同じ釜の飯を食った仲間ならば言えない事も話せるし、理解してもらえたのだろう。
 忘れてはいけない話。
 
 
コメント
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