劇作家の三浦大輔さんが、同名舞台劇を自ら映画化(脚本&監督)した2014年公開の日本映画です。
乱交パーティーを描いた作品である事は知ってたんだけど、キャスト陣はメジャーだし、タイトルも何だか文芸作品っぽいもんだから、小難しい映画を勝手に想像してました。
ところが実際に観てみたら、これ、めちゃくちゃ面白かったですw コメディじゃないけど笑える場面も多々ありました。オススメです!(ただし、当然ながらファミリーでの鑑賞には向きません。音声のボリュームも控えめにお願いしますw)
六本木のマンション一室で夜な夜な開かれる乱交パーティー。それは田中哲司店長(由紀恵ちゃんを返せ!)が経営し、窪塚洋介くんがスタッフを勤める裏風俗店です。
ある夜、そこに8人の男女が集まります。ニート(池松壮亮)、女子大生(門脇 麦)、サラリーマン(滝藤賢一)、保育士(中村映里子)、フリーター(新井浩文)、OL(三津谷葉子)、童貞(駒木根隆介)、そして謎の常連客(赤澤セリ)と、みんな今夜が初対面。(途中から柄本時生&伸江勇のカップルも加わります)
(以下、ネタバレ注意)
めちゃくちゃ面白かった!って書きましたけど、人によって感じ方は違うかも知れません。ドラマチックな事件は何も起こらないし、同じ密室劇でも『キサラギ』みたいに巧みな仕掛けがあるワケでもありません。
最初はよそ行きの顔をしてた男女たちが、セックスを通して徐々に自分自身を解放し、激しい性欲や醜い本性まで晒して行く。そしてある種の連帯感が生まれるんだけど、最後は虚しさを背負いながらそれぞれの帰路につく。ただそれだけの話ですw
さして深い人間ドラマがあるワケでもなく、具体的に何が面白いのか説明しづらいんだけどw、とにかく私は観てて楽しかったです。
池松壮亮くんと門脇麦ちゃんは明らかに惹かれ合うんだけど、安易にくっつかないのがまた良いんですよね。
「あの部屋にいた私は、本当の私じゃありません」
「僕は、あの部屋にいた自分こそが本当の自分だと思ってるけど」
そんな見解の違いが、2人がくっつかない理由なワケだけど、この会話は作品のテーマを象徴してるように私は感じました。
見るからに地味で暗~い感じの2人だけど、男女たちが自分を解放して行く乱交の空間が「楽しいです」って、口を揃えて言うんですよね。
私にとっては、このブログこそがそういう場所なんです。会社でも家庭でも、乳首とかティンコとか一切言いませんからw 自分を解放し、本当の自分をさらけ出す唯一の場所が此処なんですね。それはやっぱ「楽しい」もんです。
だから池松くんの見解に賛成するワケだけど、麦ちゃんが「本当の自分じゃない」って思いたがるのは、単に女性だからかも知れません。
その門脇麦ちゃんがとにかく凄いです。一番若くて、一番地味で大人しい彼女が、濡れ場になると一番激しいアニマルに豹変しちゃう。それを麦ちゃんは体当たりで演じておられます。
乳首NGの女子が2人ほどいますが、全員セックスシーンに手抜きはありません。池松くんや滝藤さんのケツもアップで映りますw 池松くんのケツが妙に綺麗なもんで、女子のお尻と勘違いしてガン見しちゃいましたw
んな事はどーでも良くて、とにかく登場人物がみんな人間味に溢れてて、セックスしてる姿に哀愁まで感じちゃう。もちろん、乱交パーティーっていう未知の世界を覗ける楽しさもあります。どこまでリアルなのか知る由もありませんが……
実際はもっとイカれた世界かも知れないし、少なくともあんな美女ばっかり揃うワケないとは思うけど、参加してみたい気持ちがちょっとだけ芽生えましたw
2014年に公開された園子温監督の日本映画です。井上三太さんの漫画『TOKYO TRIBE2』が原作なんだそうです。
近未来なのかパラレルワールドなのか判らないけど、架空の街「トーキョー」に生きるヒップホップな若者たちが、例えばシブヤ対ブクロみたいに地区ごとの縄張り争いを繰り広げる……というような話みたいです。
何しろ頭がカラッポな人間しか出て来ないし、ほとんどの台詞がラップ調で語られるもんだから、彼らが何を考え、何がしたくて生きてるのかサッパリ解らないし、全く興味が湧きません。
ゆえに、せっかく身体を張った格闘アクションの数々も、ちっとも感情が乗らないもんだから面白くも何とも感じません。ただ騒々しくてうっとおしいだけ。
唯一、ヒロインの清野菜名ちゃんがパンティー丸見えのアクションと乳首丸出しの初ヌードを見せてくれてるのが我々にとって救いなんだけど、彼女のキャリアにはプラスだったかどうか……(ハッキリ言ってムダ脱ぎだったように思います)
そもそも、これを言っちゃお終いかも知れないけど、日本人のヒップホップは見てて恥ずかしいです。モノマネ文化ここに極まれりで、真剣にやってる人達には申し訳ないけど、滑稽に見えて笑けて来ちゃうんですね。
ひねくれ者に違いない園子温監督の事だから、本気でヒップホップが格好良いと思って撮ってないですよ、たぶん。日本人のモノマネ文化を皮肉り、笑ってもらう為にこんなラップ・ミュージカルみたいな映画に仕上げたんじゃないでしょうか?
だって、ホント見事に頭カラッポな馬鹿しか出て来ない。それはヒップホップをやってる日本人は全員バカって言ってるのと同じですから、ラッパーの皆さんは怒って良いと思いますよマジで。
独自の世界観を構築し、誰もやらないような手法で映画を創る。そんな園監督のチャレンジ精神には大いに共感するんだけど、今回に限っては「ただ奇をてらっただけ(しかも壮絶にスベってる)」としか感じられませんでした。
最初の10分ぐらいは「ああ、また変わった事やってるなぁ」って意味で楽しめるんだけど、それ以降はラップのリズムがちょうど良い子守歌になって、ひたすら睡魔との闘いでした。
ヒップホップが好きな人から観たら、これはどうなんでしょうね? 私は怒るべきじゃないかと思うんだけど……
なつかしドラマのレビューばかり続いてますが、それは前ブログから引き継ぎたい記事を(データが消失する前に)早く復刻しておきたい気持ちがあるのと、今季の新作ドラマでレビューしたい(皆さんにオススメしたい)と思える作品がまったく見当たらない、っていう理由もあります。
新作ドラマのチェックよりブログの復刻作業を優先してるせいもあるけど、そもそも「おっ、これは観なければ」って興味を引かれる企画が全然見当たらないんですよね。
企画に新鮮味が無い、キャスティングに魅力を感じない、わざわざ観なくても内容が想像出来てしまう……今季はそんな番組ばかりで、ほとんど初回すら観てません。
そんな中で唯一、期待して初回からチェックし、今のところ継続して観てるのは日テレ水曜夜10時の新垣結衣 主演『獣になれない私たち』のみ。これは以前ハマった『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子さんが脚本を書かれてるから。
しかし今回のは残念ながら「ハマる」ところまでは行きそうにありません。面白いんだけど、共感できるキャラクターが1人も見当たらず、全てが私にとって他人事としか思えない。まぁやっぱ所詮、女性向けのドラマなんでしょう。
同じ野木亜紀子作品なら、NHKの土曜ドラマ枠で単発(前後編)放映された北川景子 主演『フェイクニュース』の方が興味深かったです。
カップ麺に青虫が混入してるのを見つけた平凡なサラリーマン(光石 研)が、カッとなってインスタグラムに画像をアップし、それが拡散されて製造会社が倒産の危機に陥るんだけど、第三者がアップしたフェイクニュースによって今度は光石さんが嘘つき呼ばわりされ、炎上騒ぎになって身元を世間に晒され、家庭崩壊を招いちゃう。
その背景には政治とか企業どうしの争いが絡んでて、光石さんは利用されただけなんだけど、青虫にカッとなって画像をアップしたりなどしなければ、そんな陰謀に巻き込まれることは無かった。
「まずは、落ち着こうよ」っていう、クレームや袋叩きが大好きなネット民たちに対する皮肉とメッセージが明確に伝わって来て、現在の日本文化のおかしさを見事に描いたドラマとして、ある意味痛快でとても面白かったです。
「まずは、落ち着こうよ」って、ネット民に限らず現在の日本人みんなに言ってやりたいですよね。ホント異常ですよ。狂ってます。破滅です。
ドラマを観て、こうして何かを語りたくなった作品は、今季はこの『フェイクニュース』だけでした。
織田裕二 主演『スーツ』や米倉涼子 主演『リーガルV』、中島健人 主演『ドロ刑』は冒頭10分でリタイア。高橋一生 主演『僕らは奇跡でできている』は冒頭10分観て「続きは明日観よう」と一旦中断したままリタイア。他は最初からスルーで、初回をちゃんと最後まで観られたのがそもそも野木作品だけでした。
なお、NHKの朝ドラ『まんぷく』は毎日楽しく観てます。松坂慶子さん扮するヒロインの母親(のキャラ)がちょっとウザいのと、ドリカムが唄う主題歌の歌詞が全然聞き取れない(口ずさみたいのに口ずさめない)ことを除けば、特に可もなく不可もなく。
あと、NHK土曜ドラマの前作『不惑のスクラム』も良かった。民放の連ドラは、着実に質を落とし続けてます。