ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『鉄人28号』2005

2020-05-10 18:28:06 | 特撮ヒーロー










 
2005年春に公開された、冨樫森監督による松竹映画。このブログの読者さん(の世代)なら説明不要かと思いますが、'60年代に横山光輝さんのロボット漫画をアニメ化して大ヒットした『鉄人28号』の、現代版実写リブート作です。

実写化自体はアニメより早くテレビドラマ(1クールで打ち切り)で実現してたこと、それがドラム缶みたいな着ぐるみによるあまりにチープな代物だったことも、たぶん皆さんはご存知かと思います。(年寄り扱いしてすみませんw)

だけど2000年代にCGを駆使した『鉄人28号』の実写映画が公開され、まだ新人だった蒼井優さんや子役時代の池松壮亮くんが主役を演じてた事実は、もし知ってたとしてもすっかり忘れておられるんじゃないでしょうか?

当時タダ券を貰って劇場鑑賞した私ですら、まだ無名だったお二人は仕方ないとして、脇を固められたメジャーキャストの顔ぶれもすっかり忘れてましたから。つまり映画はコケたという事です。

まず巨大ロボット鉄人28号をリモコンで操縦する主人公=金田正太郎に池松くん、帰国子女で天才工学者のヒロイン=立花真美に蒼井さん。

そして以下敬称略、正太郎の両親に阿部寛&薬師丸ひろ子、味方の博士に中村嘉葎雄、敵の博士に香川照之、その助手に川原亜矢子、警察署長に柄本明、警部に伊武雅刀、刑事に中澤裕子、教師に西田尚美、ほかチョイ役で田中麗奈、妻夫木聡、矢沢心、北川智子etc…といった豪華布陣。だけどコケましたw

私自身は『マジンガーZ』世代なので『鉄人28号』に思い入れは無く、劇場の大画面で観たお陰もあって公開時は普通に楽しめました。当時やってたホームページには絶賛記事を書いた記憶があります。

だから世間で酷評されてるのを知った時は「えっ、なんで?」と思ったけど、今あらためて自宅の小画面で観直すと、コケた理由もよく分かります。

まず一番やり玉に挙げられたのがCGのチープさですが、これは現代を舞台に鉄人28号をリアルには描きようがないって事で、あえてファンタジックに仕上げた結果のようです。

だけど創り手がいくら「狙い」でチープにしたと主張したところで、観客からすりゃそれはただ単にチープなだけ。私がよく知るイケメン脚本家が、ケータイ小説の低俗さをからかうつもりで書いたラブストーリーが、観客には単に低俗なラブストーリーとしか受け止めてもらえなかった悲劇とよく似てますw そういうのはやっぱり、大映ドラマみたいに思いっきり極端なことをやらないと観客には伝わらない。

だったら何が正解だったのか?と考えると、ファンタジーという「逃げ」に走るんじゃなく、ちゃんと昭和30年代を舞台に、モノクロで、オリジナルの雰囲気をとことん忠実に再現すべきだった。

そうすればチープさも「味」となってカルト化したかも知れません。そんな博打はスポンサーのサラリーマンたちが許さないんだろうけど、無難な道を選んだところで結果は同じだってことを、連中はいい加減学ぶべきです。

もう1つオリジナルのファンたちからひんしゅくを買ったのが、やたらウジウジとした金田正太郎のキャラクター。『ガンダム』や『エヴァンゲリオン』を経た現在としてはそうするしか無いのかも知れないけど、どうせならそこもファンタジーで押し通せば良かったのでは?

で、そんな主人公だからドラマも辛気臭くなってテンポが削がれちゃう。一番の致命傷はそこだったかも知れません。

俳優陣は素晴らしい仕事をされてます。特に池松壮亮くんの演技力には眼を見張らせるものがあり、成長した現在の池松くんよりずっと上手いですw(いやホント、台詞が聞き取れない現在の池松くんは三流役者です)

そんなガキンチョ池松くんと、ちょっといい雰囲気になる年上のお姉ちゃん=蒼井優さんが、約14年後に映画『宮本から君へ』の中でセックスしてるんですよねw(画像8~10枚目。お尻ヌードはもちろん蒼井さん) 最近は初脱ぎ若手女優とセックスする役ばっか好き好んでやってる池松くんも、この時ばかりは照れ臭かったんじゃないでしょうか?

とにかく、結果を見てから言っても仕方ないことだけど、『鉄人28号』を今やるならレトロの徹底再現しか道は無いと私は思います。現代を舞台にしちゃった時点ですでに負け。

そんなことも分からないサラリーマンたちに権限を牛耳られてる限り、日本映画は諸外国から取り残される一方です。
 

コメント (2)
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