大河ドラマ『麒麟がくる』で斎藤道三(本木雅弘)が息子に討たれた日曜日の夕方、同じNHKで『プロフェッショナル・仕事の流儀/本木雅弘スペシャル』が再放送されてました。
私はこの方と同い年で、当然ながら「シブがき隊」時代から活躍を拝見して来たし、主演映画『シコふんじゃった。』と『おくりびと』は本当に素晴らしい作品だと思うけど、なにせイケメン中のイケメンですからモッくんその人には全く興味を抱いてませんでした。
ところが今回、モッくんに長期密着し、その素顔にかなり迫ったこの番組をたまたま観て、思いがけず親近感が沸いて来ました。
相当ストイックな人であろうことは以前から想像してたけど、あそこまで自分自身をネガティブに捉えてる人だとは!
ドラマでも映画でも常に自信たっぷりに堂々と演技されてるものと思いきや、1カット撮り終えるたびに「ダメだ、全然できてない」「どうすればいいのか分からない」「ああ、ダメだダメだ」ってw、愚痴と泣き言ばかり言ってる。
別に取材されてるから言ってるワケでもなさそうで、共演者の皆さんも異口同音に「本木さんはいつもそう」って仰ってる。
自分自身に課すハードルが異常に高いあたり、多部未華子さんとも似てるのかも知れないけど、モッくんの場合はニュアンスが違うというか、ちょっと病的なんですよねw
義母である樹木希林さんが生前に「この人は悩んでるのが好きなのよ」と評されたらしいのが、さすが的を得てると思います。そういう人っているんですよね。
で、そんな自分は一緒にいる相手を不快にすると思い込んでて、友達を作ろうとしない。家族と一緒の時間を除けば、プライベートはほとんど独りで過ごされてる。いやあ、私に似てますw 顔は私の方がいいけど。
で、あの堂々たる戦国武将の斎藤道三を演じながら、1カット撮るたびに「ああ、ダメだダメだ」ってw
自分の演技はホントつまらない、枠からはみ出ることが出来ないって、さんざん落ち込み、悩みに悩んだ挙げ句に舌をペロペロって、「蝮の道三」らしく蛇っぽい芝居をしてみたらディレクターさんに「それいい! 面白い!」って絶賛されて、「ほんとに良かったのかなあ?」と思いながらオンエアを確認してみたら、その舌ペロペロの部分がばっさりカットされてたというw
で、その直後にまた暗闇でどんより悩んでるモッくんの姿をカットインするw、NHKスタッフのモッくんイジりが最高で、私は笑ったし一気にモッくんファンになっちゃいました。モッくん、面白い!w
シブがき隊時代を振り返ろうもんなら「歌も踊りも中途半端でいったい何がしたいのやら」とクソミソで、ヤッくんフッくんの立つ瀬がありませんw
「謙虚」っていうのとは、ちょっと違う。ましてや「謙遜」なんかとは絶対違う。そんなつまんないものだったら、私がこんなに「面白い」と感じる筈がありません。
たぶん、誰もやったことがない事をやりたくて仕方ないんだけど、やったらやったで「何をあざといことを」って自嘲してしまう。そこには眼をつむり、勇気を振り絞って舌をペロペロしてみたら編集でカットされちゃうしw
常にもう1人の醒めた自分が、自分のやる事なす事を端から観て笑ってる。そんな感じなのかも知れません。メンタルヘルスへ行けばきっと何らかの病名がつく筈ですw
斎藤道三の最期も、どう演じたものかさんざん悩んだ挙げ句、ただ普通に倒れて死ぬ、あえて何もしないという選択をされたように見えました。何かしたのにカットされただけかも知れないけどw
とにかく、あのモッくんがあんなにも迷い、泣き言ばっか言って、もがきながら演技に取り組む姿に私は感動しました。ちっとも楽しそうじゃないw
でも、よく分かんないけど、こういう人が私は大好きです。