『太陽にほえろ!』全盛期の女性人気を担ったボンが殉職し、代わってスニーカーが登場してからスコッチが復帰するまで(#364~#399)の藤堂チーム=七曲署捜査第一係のメンバーは、以下の通り。
☆☆☆☆☆
ボ ス=藤堂俊介(石原裕次郎)
ロッキー=岩城 創(木之元 亮)
スニーカー=五代 潤(山下真司)
ゴリさん=石塚 誠(竜 雷太)
殿 下=島 公之(小野寺 昭)
長さん=野崎太郎(下川辰平)
ナーコ=松原直子(友 直子)
山さん=山村精一(露口 茂)
☆☆☆☆☆
この時期に番組の視聴率が急降下し、本来なら'80年夏に(つまり次に降板する殿下の後釜として)予定されてたスコッチ復帰が春に前倒しとなる、いわゆる「テコ入れ」が敢行されることになったのは再三これまで書かせて頂いた通り。
最大の「売り」である新人刑事2人が、いずれも「第二のジーパン」になり損ねたロッキーとスニーカーであったこと、ボンが抜けたせいで女性人気とムードメーカーを失ったこと、そして裏番組としてスタートしたTBSの『3年B組金八先生』が大ヒットしてしまったこと等、いろんな要素が重なった上で初めて直面した「番組存続の危機」でした。
だけどこうして順を追ってレビューを続けて来て、つくづく思ったのは「これは迎えるべくして迎えた当然の危機だった」ということ。
マンネリにはずっと以前から陥っており、それを打破するカンフル剤として投入されたスコッチも転勤という形でいったん姿を消し、その後任として登場したロッキーが著しく魅力に欠け、いつしか視聴者は「ずっと観続けて来たから何となく観てる」「ほかに観たい番組が無いから観てる」「ボンや殿下がステキだから観てる」人ばかりになってしまった。
そんな伏線があった上でボンを失い、スニーカー刑事の売り出しや『金八』対策を怠り、制作陣はストーリーを「大人向け」に深化させることにばかり腐心するという、大きな間違いを犯してしまった。
だけど、それが間違いだったとは今だから言えることで、番組が長寿化して視聴者の年齢層が上がってる筈だから、それに合わせて内容を変えて行かなきゃって考えるのは必然だろうし、現状に満足しないアグレッシブな姿勢の表れでしょうから誰も責めたり出来ません。
こういう時にどうすればいいかっていう手本になる番組が存在しなかった、それだけ『太陽にほえろ!』が連続ドラマとして前人未踏の領域に入ってた、って事なんだろうと思います。
……と、フォローするのが精一杯で、この時期の『太陽~』を振り返るとやっぱり愚痴しか出て来ないのが正直なところ。当時の七曲署メンバーをあらためて見渡しても、輝いてる人が1人もいないんですよね!
いや、あんな小難しくて辛気臭いストーリーばかり続いたら、そりゃ誰も輝きようがないでしょ!って話です。
スコッチの復帰前後に「週刊テレビガイド」誌でレギュラーキャスト陣の座談会が掲載され、そこで露口茂さんに「ロッキーとスニーカーにもっと八方破れな感じが欲しい」みたいなこと言われて、当の二人がションボリしちゃう一幕があったんだけど、私は子供ながらに「山さん、そりゃムチャな注文でっせ!」ってツッコんだのをハッキリ憶えてますw こんなジメジメしたドラマの一体どこで、どうやって八方破れになれって言うの!?って、木之元さんも山下さんも内心ズッコケた事でしょう。
裕次郎さんだって竜雷太さんだって、あんな小難しいドラマで魅力を発揮するアクターじゃないでしょ?って話です。本来は明朗快活な「青春アクションドラマ」を盛り上げる為に選ばれた人達なんだから。
要するに'79年当時の『太陽にほえろ!』は身の丈に合わないことをやってしまった。そして当然のごとく失敗しちゃった。単純にそういう事なんだろうと私は思います。