☆第1話『プレハブだからSOS!!』
(1984.10.28.OA/脚本=峯尾基三/監督=野田幸男)
新庁舎設立の為、プレハブの仮庁舎に勤務する第97分署の刑事たち。初回は、前週『西部警察PART III』最終回で死んだばっかりの渡 哲也さんがw、新任の検視官として登場する場面からスタートします。
その出勤途中で愛車がオーバーヒートを起こすんだけど、オタオタするばかりで何も出来ない渡さん=榊検視官。で、そこに通り掛かった97分署の若手刑事=片山(時任三郎)に助けてもらうという、完全無欠のスーパー団長=大門くぅ~ん!とは全く違う地味な普通人である事が、冒頭から強調されてます。
地味なのはキャラクターだけでなく、扱う事件も地味そのもの。ファーストエピソードの発端は、スーパーで小学生の男子が起こした万引き事件。
現実でも所轄署が単独で捜査するのはこういった軽犯罪ばかりだそうで、このドラマがリアリティにもこだわってる事がよく分かります。毎回マシンガンやロケットランチャーを撃ちまくるテロ集団と戦ってた、前週までの所轄署とはえらい違いですw
で、万引きした少年の家庭を調べたら、母親は1年前に育児放棄して家出しており、唯一の肉親である父親も3日前から帰宅してない。独りぼっちで食糧も底を尽き、空腹に耐えかねて少年は林檎を盗んだワケです。
やがて、管轄外の場所で発見された遺体が、その少年の父親である事が判明します。同情した片山は、とりあえず少年をプレハブ庁舎に連れて来て保護するんだけど、そこに別の事件で連行されて来たチンピラが、警官の拳銃を奪って大暴れ!
チンピラは取り押さえたものの、巻き込まれた少年が負傷しちゃう。ほんの軽い怪我なのに出血が止まらず、医師免許を持つ榊検視官が診断してみたら、少年は止血出来ない病気である上に、特殊な血液型である為にすぐ輸血出来ない事が判明!
少年の生命を救うには、同じ血液型の母親を連れて来るしかない。かくして、行方不明の母親を必死で捜索する97分署の刑事たち。
果たして、刑事たちは母親を見つけ出すことが出来るのか? 見つかったとしても、息子を見捨てた母親が輸血に応じるのか? 少年の運命や如何に!?
……まぁ、なにしろ、松山千春さんの歌声で始まるドラマです。人情ドラマなんです。ヒューマニズムでハートフルなんです。結末は言うまでもありませんw
当時も今も、私はお涙頂戴がチョー苦手なんだけど、たかが林檎1個の万引き事件が、あれよあれよと生死を賭けたサスペンスに発展していく作劇は、なかなか見事だし面白いと思います。かなり強引な展開ではあるけどもw
そうしたユニークなコンセプトと、人気上昇中だった時任三郎、鹿賀丈史、小西博之、坂口良子、早見 優ら豪華レギュラー俳優陣。地味な内容ながらも人気番組になった理由が、この第1話を観るとよく解ります。