ドック(神田正輝)登場編の次に放映された#416『ゴリさんが殺人犯?』はそのタイトル通り、何者かの罠によってゴリさん(竜 雷太)が殺人容疑者にされちゃうストーリー。アクション系の刑事ドラマじゃよくあるパターンだけど、意外と『太陽にほえろ!』ではそれまでやって来ませんでした。
最近レビューした#408『スコッチ誘拐』みたいな(人質を取られて刑事が犯罪に加担させられちゃう)話もそうだし、スコッチ(沖 雅也)復帰を境にアクションシーンが増えただけでなく、番組がこれまで避けて来た荒唐無稽な活劇調のエピソードも増えて来ました。
後期『太陽~』を否定する人たちは、もしかしたらこういうのを「軽い」とか「リアリティーがない」と感じて嫌ってるのかも知れないけど、私は大、大、大、大歓迎!でした。正直、こういうのをずっと待っていた!
今回のエピソードもその系譜に入る作品で、私は当時ワクワクしながら観てました。
☆第417話『ボスの誕生日』
(1980.8.1.OA/脚本=小川英&尾西兼一&小木曽豊一/監督=山本迪夫)
ボス(石原裕次郎)の誕生日プレゼントを買いに出かけたナーコ(友 直子)が行方不明になります。
犯人の沢木(堀内正美)は身代金3千万円を要求して来るんだけど、本当の目的は藤堂チームへの復讐。片想いしてた女性が半年前に入院し、そのお見舞いに丹精込めて造り上げた帆船のミニチュア模型を、犯人追跡中のスニーカー(山下真司)に壊されちゃったのを恨んでの犯行。
沢木は、ボスの誕生日プレゼント(Yシャツ?)をズタズタに引き裂いて「そんなボロ屑が嬉しいか?」と嘲笑います。
「これがお前にはボロ屑に見えるのか?」
スニーカーに代わって沢木と対峙するボスが言いました。
「俺には心のこもった素晴らしいプレゼントに見える。お前、分からんのか? プレゼントってのは形だけじゃない。贈る人間の心だ」
「うるせええええぇぇぇぇーっ!!!!」
なおも逆上する沢木に、ボスはゴリさんの拳銃を握らせます。
「じゃあ、やってみろ。それでお前の気が済むなら、五代を殺せ」
「よ、よぅし、やってやるよ! ぶっ殺してやるっ!!」
だけど、さっきのボスの言葉が響いたんでしょう。沢木に引金は引けませんでした。
「撃たなかったからいいようなものの、七曲署ってのはメチャクチャな所だな!」
新顔のドックが憤慨しますが、もちろん他のメンバーたちは皆、ゴリさんがいつも拳銃に弾丸を込めてないことを知ってたのでした。
スニーカーが登場してからしばらく続いた、あの暗くてやたら複雑な『太陽にほえろ!』と同じ番組とは思えない、このシンプルさ! レビューするのもラクちんで非常に有難いw
ただ、こういうエピソードの見どころは粗筋や台詞じゃなく、犯人と刑事たちとの攻防戦の描かれ方にあるので、その面白さを文字で伝えられないのはちょっと残念。せめて画像で楽しんで頂ければと思います。
この時期の藤堂チームが屋外ロケで全員(ナーコまで!)勢揃いするのは極めて稀れで、特にスコッチがリードする若手カルテットの銃を構えてる画は壮観! 私なんかはもう、それだけで大満足です。
そして今回はナーコが初めて主役級の活躍を見せたことでも記憶に残るエピソード。気がつけば彼女も登場してから2年が経っており、演技力も上達されてます。
だけどそれより何より、友直子さんは「ボスとハグ出来る」ことが嬉しかったんだそうですw
太陽にほえろ!ゲスト作はどれも印象深いようです