本エピソードより、三代目マスコットガール(庶務係)の「アッコ」こと矢島明子(木村理恵)がレギュラー入りします。
前任者のチャコ(浅野ゆう子)が登場した第118話『信じあう仲間』の姉妹編とも言える本エピソードでアッコが登場するのは、たぶん全くの偶然。
木村理恵さんは当時18歳。同年公開の東宝映画『青い山脈』で女優デビューした直後の抜擢で、浅野ゆう子さんとは対照的に控え目なw、癒し系の妹キャラが起用の決め手になった模様です。
制作陣の狙い通りアッコは視聴者に受け入れられ、第322話まで実に3年間、レギュラーを務める事になります。番組の全盛期と被ってる事もあり、一般的に「七曲署のお茶汲み」と言えば、まずアッコが連想されるんじゃないでしょうか?
『太陽』以外でも『特捜最前線』で船村刑事(大滝秀治)の娘としてセミレギュラー出演されたほか、沖雅也さんの『はぐれ刑事』や『夜明けの刑事』『華麗なる刑事』『大捜査線』『ゴリラ/警視庁捜査第8班』『はみだし刑事情熱系』等、刑事ドラマへのゲスト出演が多かった理恵さん。DVDの映像特典で拝見した近年のお姿も、当時とちっとも変わらない清楚さと可憐さで、萌えますw
また、本作はゴリさんの恋人役の武原英子さん、七曲署署長役の平田昭彦さんとセミレギュラー陣も華やかで、中条静夫、加藤小夜子、内田朝雄、樋浦 勉と、ゲスト陣も充実した一編になってます。
☆第173話『一発で射殺せよ!』
(1975.11.7.OA/脚本=長野 洋/監督=竹林 進)
警視庁に新設される予定の、凶悪犯「射殺」を前提にした狙撃チーム(現在でいうSATみたいな制圧部隊)に、ゴリさん(竜 雷太)が抜擢されることが内定します。
不用意に犯人の生命を奪わないよう磨いて来た射撃の腕前が、犯人射殺の為に活用されてしまうという皮肉。ゴリさんはまたも苦悩します。
居酒屋でひとり呑むゴリさんが警察官だと気づいた隣席の初老男(中条静夫)が、陽気に話し掛けて来ます。
「ニッポンのお巡りにも1つだけいい所があるんだよな。すぐにドンパチやらない事よ」
戦争経験者であるその男は、相手が敵か味方か判別出来ない状況の中、ただ闇雲に撃ちまくるしかない戦場の地獄を知ってるワケです。
中条さんが後に課長を務められる、港署のあぶない刑事さんたちは戦場さながらにドンパチやっちゃうけどw、七曲署では銃弾1発がとても重い。特に、ゴリさんの1発は。
結婚を前提にゴリさんと交際中の道代(武原英子)も、狙撃チームへの異動には難色を示します。道代は、1年前の事件でゴリさんが、やむなく親友を射殺した痛い過去(第118話『信じあう仲間』)を知ってるんですね。
「怖いんです。人が死ぬのが、怖いんです」
人の死が怖いと言うより、それによって愛する人が深く傷つき、打ちのめされる姿を目の当たりにする事が、道代にはきっと耐え難いんでしょう。
最もやりたくない任務を押し付けられた上、最愛の恋人まで失いかねない状況。それでもゴリさんは、刑事という仕事を捨てることが出来ません。
そんなゴリさんに追い打ちをかけるように、人質籠城事件が発生します。
犯人(樋浦 勉)は自分を裏切った元恋人(加藤小夜子)と心中すべく、拳銃とダイナマイトを持って掘っ立て小屋に籠城中。その周囲には石油入りのドラム缶が立ち並んでるという、最悪にも程がある事態。
仮に犯人の利き腕を撃ったとしても、もう片方の手でダイナマイトに着火されたら一巻の終わり。人質を確実に救出する方法は、1つしかありません。ボス(石原裕次郎)は、ゴリさんに命じます。
「射殺しろ。全責任は俺が持つ。殺せ」
ボスにとっても苦渋の決断であり、その任務を委ねられる相手が自分しかいない事を、ゴリさんは即座に理解します。
「誰かがやらなくちゃ、仕方がない事ですよ」
そんなゴリさんに犯人を射殺させまいと、テキサス(勝野 洋)とボン(宮内 淳)が援護に回り、山さん(露口 茂)が犯人説得に当たります。
普段はクールに、どちらかと言えば上から目線で説教するスタンスの山さんが、今回ばかりは必死の形相。今にも土下座しそうな勢いで、犯人に自首を促す……と言うより懇願します。
こういう場面で山さんが感情を露にするのは極めて珍しく、その矛先は人質女性にまで向けられちゃいます。
「その男が誰の為にこんな事件を引き起こしたのか、よぉーく考えるんだ!」
そんなこと言われたら女性も立つ瀬が無いw だけど効果はあったようで、彼女の「ずっとあんたを待ってるから」の言葉に、犯人は投降を決意します。
……と思ったら、油断した犯人を女性が突き飛ばして逃げた! そのまま自首させれば助かると言うのに、もしかしたら犯人を射殺させる為に、彼女はわざと逃げたのかも知れません。
案の定、逆上した犯人がダイナマイトの導火線に火を点けた! とっさに突っ込むテキサス&ボン!
いよいよゴリさんのライフルが火を吹き、犯人が倒れます。やっぱり、射殺するしか道は無かった……のかと思いきや、犯人が撃たれたのは利き腕のみ。
ゴリさんは、テキサスとボンが必ずダイナマイトを取り上げてくれると信じて、ボスの命令に逆らい、犯人を殺さない道を選択したのでした。
そんなゴリさんにカミナリを落としながらも、ボスは警視庁本部に乗り込み、狙撃チーム結成案を白紙に戻させます。所轄署の係長レベルでそんなことが出来ちゃう理由は、ただ1つ。ボスだからです。
結局、最後まで恋人に裏切られ続けた犯人とは対照的に、ゴリさんにはハッピーエンドが待ってました。道代が理解を示してくれたのです。
「やっと分かりました。あなたが苦しむ時は、私も一緒に苦しまなきゃいけないんだって。……あなたと同じ道を歩きたい。あなたについて行きたいんです」
ゴリさん、二枚目ですなぁw ゴリさんばっかり、ほんとズルいキャラクターですw
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