名古屋の河村市長が地元メダリストの金メダルにふざけて噛みつき、猛批判を浴びて謝罪したっていうニュースはまったく笑えません。
一生の宝物なのにとかコロナ禍なのにとか言う以前に、若い女の子の持ち物に身内でもない爺さんが無断で口をつけるという、その非常識と下品さを全く自覚しない異常性に、モーレツな寒気と吐き気を感じます。
ほぼ「痴漢」と同じと考えればこれは立派な犯罪行為。政治家お得意の「失言」とは次元が違う問題です。「愛情表現だった」とか「憧れだった」とかいう言い訳で痴漢行為が許されると思ってる、その知性や感性がまさに異常。
TOKYO2020オリンピックは良いものをいっぱい見せてくれたけど、その裏側でかくも汚いもの、愚かしいものもいっぱい見せつけられました。終わった後にはとてつもない虚しさと絶望感に襲われそうで、怖いです。
光あれば必ず影もあるもんだけど、夢が詰まったオリンピック会場の外側で、かつてない感染爆発という地獄絵図が展開されてる、まるでハートフル映画とホラー映画を交互に観てるような感覚が、なんともシュールな2週間でもありました。
で、ハートフル映画がハッピーエンドで終わっても、ホラー映画は今後も延々と続いて行くワケで……
東京オリンピックは、やって良かったと私は思います。ずっとホラーばっかじゃ精神バランスが保てません。
感染爆発は、オリンピックがあろうが無かろうが起きてたはず。出歩いてるのはそもそもオリンピックなんか「別に、どっちでも」っていう若い子らでしょう?
オリンピックのお祭り気分に釣られて外出しちゃったって言い訳してる人がいたけど、メチャクチャな論理だと思う。人が集まるから反対してたんじゃないの? 一体ナーバスなのかお気楽なのか、ほんと理解できない。
とにかく何でもかんでも批判、反対、嘲笑。メダルを獲得したアスリートたちまで誹謗中傷のターゲットにしちゃう、その上から目線は一体どうして身につけたのか? 闘う者を笑う闘わないヤツらがなんと多いことか!
……と言いながら私も河村市長を名指しで批判してますけど、あれはマジで犯罪行為だから言われて当然。何でもかんでも見境なく叩くのがおかしいって話です。
感動と虚しさ、喜びと怒り、希望と絶望を交互に味わったホントにシュールな2週間でした。人間は本当に素晴らしい! けど、同時に救いようない愚劣な生きもの。そんな両面を持ってるのが人間なんだと、つくづく考えさせられました。
オリンピックはほんの一部しか観てないけど、当初から注目してた女子卓球と女子ソフトボール以外だと、女子ボクシングで金メダルを獲った入江聖奈選手がとても印象に残ってます。
決勝のリングに満面の笑顔で向かう格闘家を、私は初めて観ましたw 対戦相手やレフェリーにあんな何回もお辞儀しちゃう格闘家も空前絶後でしょうw
笑顔はコーチからの(たぶんリラックスさせる為の)指示で、お辞儀は判定員たちに好印象を与える為の作戦だったらしいけどw、そんな裏話もあっけらかんと話す底抜けの明るさに、私はノックアウトされました。ボクシングは大学と一緒に卒業すると断言しちゃう潔さもカッコいい!
そしてやっぱり卓球女子! イチオシの伊藤美誠選手こと大魔王様は、混合ダブルスで金、団体で銀、シングルスで銅と三色のメダルを制覇されました。もちろん全ての種目で金を目指しておられた筈で、やっぱ中国の壁はとてつもなく厚い!
しょっぱなの混合ダブルスだけはドラマチックだったけど、あとは順当に中国勢が金を独占して、こいつらがオリンピックをつまんなくしてるよなあって、つくづく思わずにはいられませんでした。
けど、中国以外の対戦相手が気の毒になっちゃうほど圧倒的に日本が強くなれたのは、打倒中国!っていう明確な目標があればこそ。そういう意味じゃ感謝しなくちゃいけません。
次こそはやっつけて欲しいと願うけど、中国選手たちの卓球マシーンぶりを見るにつけ、こりゃムリだと思わずにいられません。ていうか前にも書いたとおり、あんなになっちゃうくらいなら勝たなくていいよって思っちゃう。
中国選手からすれば、試合を「楽しみたい」なんて言ってる日本選手は「ちゃんちゃら甘いわ!」てなもんでしょう。楽しんでウチらに勝てると思うなよ!って。
だけどねえ……楽しめもせず、ただひたすら勝つためにだけ練習して、人生それでいいの?って私は思う。人生は国のもんでもスポンサーのもんでもない、自分のもんですから。勝つことでべらぼうな報酬が貰えるんだとしても、本当にそれで幸せなの?って。だから彼ら彼女らがマシーンに見えちゃうワケです。
オリンピックで泣いて笑って、人間らしく生き生きと輝いてる日本チームの方が、明らかに幸せそうに私の眼には映りました。しかも混合ダブルスで勝ったんだから言うこと無しです。ほんと最高のオリンピックでした。
パラリンピックでも、この人が出るなら応援したい!っていう「推し」が見つかればいいなと思ってます。
しかし誰よりもウハウハしてるのはもしかすると、オリンピック映画の監督を任された河瀬直美さんじゃないですか? こんな異例づくめでドラマチックだったオリンピックは空前絶後、そのドキュメンタリー映画が面白くならないワケ無いですから。市川崑監督の1965年公開版を超える大ヒットになるのも間違いないんじゃないですか?
ちなみに河瀬直美さんは私と同じ大阪ビジュアルアーツ専門学校のご出身で2年後輩。私はそこで1年だけ講師を務めたこともあるので、河瀬さんは私に会うと「○○先生」と呼んでくれます。もうお会いする機会も無いだろうけど、せめてもの自慢ですw
彼女らのプレーを見ながら、以前観た映画『ミックス』を思い出していました。あの中で蒼井優さん演じる元中国卓球選手で、今は中華料理店店員の楊が主人公たちをしごいているときに、「立て!ゴミども!休むときは死ぬ時よ!」と叫びますが、実際あんな感じなのかもしれませんねえ。
喜怒哀楽をあまり出さず、黙々と小さな白い球に挑んでいく姿が少し痛々しく感じました。その点大魔王さまはじめ日本選手は嬉しいときははしゃぐし、悔しかったらカメラに撮られてることなど忘れてるかのように仏頂面になるし・・・。見ていて楽しかったです。
河瀬さんのドキュメンタリー映画、私も楽しみにしています。今頃はハリソン先生の教えを胸に編集に取り組んでいらっしゃるのではないでしょうか。ハリソン君、尊敬します。
河村市長は本当に大馬鹿だと思います。“親しみやすい市長”というイメージで選挙に勝ってきたそうですが、親しみやすさと無礼とは違うことが分かってないのでしょう。一線を越えちゃあいけません。
私、昔市長ととあるパーティーでご一緒したことがございまして、挨拶としばらくの雑談をしたことがあります。今となっては黒歴史です。
後藤さんは、あのメダルどうしたんでしょうか?組織委員会に新しいメダルと交換してもらえてたらいいんですが・・・。いや、ぜひそうしてあげてください。>組織委員会
私は講師と言っても週1回、配達業の合間に田舎から大阪に出向いて、授業というより生徒の作品創りに付き添って気づいたことを言うだけの単なるアルバイト。私よりよっぽど才能ありそうな生徒もいたし、役に立つようなアドバイスは何も出来ないナンチャッテ講師でした。
夏の合宿で生徒たちと一緒に短篇ドラマを創ることになり、生徒の希望もあって私が得意なナンセンスコメディーを撮ったんだけど、ほぼ1日で撮り切らなきゃいけないもんだから教える余裕など無く、私がぜんぶ仕切って完全に私カラーの作品に仕上げてしまい、つくづく自分に講師は向いてないと思い知り、次の年は辞退しました。
いま思えば、作品創りに他人があれこれ口出しする事なんて、あるワケないんですよね。教えられるのは技術だけで、私はずっと監督と役者しかしなかったから技術はいつも他人任せ。講師を引き受けること自体が大いなる勘違いで、どちらかと言えば黒歴史です。尊敬なんてとんでもないですm(__)m