ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『西部警察』最終回スペシャル―3

2018-12-20 00:00:18 | 刑事ドラマ'80年代





 
『太陽にほえろ!』の最終回が、そんなに凄い視聴率を稼いだワケでもないのに世間から「伝説」扱いされてるのは、ひとえにボス=石原裕次郎さんのアドリブ演技のお陰だったりします。

もちろん、結果的に裕次郎さんの遺作にもなったし、渡 哲也さんと最後の共演を果たされた点でも重要作なんだけど、生命の尊さをご自身の言葉で語られた約7分間の取調べシーンは、確かに裕次郎さんの遺言みたいに感じるんですよね。

その内容と、事前に裕次郎さんが「このシーンを俺にくれないか?」とプロデューサーに打診された等の裏エピソードは、いずれ『太陽にほえろ!』最終回の記事に詳しく書きますので、今回は割愛します。

で、その『太陽~』最終回より3年早く放映された『さよなら西部警察』において、大門団長(渡さん)が壮絶な殉職を遂げた後、霊安室でその遺体と対面した木暮課長(裕次郎さん)が、涙ながらに語りかけるシーン。

初めて観た時にも「これは団長というより渡さんに対する、裕次郎さんの個人的な想いがこもってるなぁ」とは感じてました。

けど、この場面も実は裕次郎さんのアドリブで、我々視聴者には知る由もない「渡さんに対する懺悔」の気持ちがこめられてた事は、近年放映されたドキュメンタリー番組『裕次郎は死なない』を観るまで気づきませんでした。

「大さん、疲れたろ? だから眠ってるんだろ、お前。ええ? 違うか? ……頼む、一言でいい。なんとか言ってくれ……言ってくれっ!」

文字に起こすと短い台詞に感じるけど、裕次郎さんは必死に涙をこらえながら、一言一言を絞り出すように語られてますから、実際は相当長いシーンになってます。

「大さん、俺はなぁ……お前さんのこと……あんたのこと……弟みたいに好きだった……ありがとう……ありがとうぅぅ!」

前回の記事にも書きましたが、渡さんは決して、自ら望んで「団長」役を何年も演じ続けたワケじゃなく、いい大人がピストル振り回して恥ずかしいっていう気持ちと、あまりにワンパターンなドラマ内容に対するストレスも溜めておられたようで、たまりかねて現場で怒りを爆発させた事もあったそうです。

そんな時、裕次郎さんは「なぁ哲、俺だって何年も電話番をやり続けてるんだぜ?」って、あたかも『太陽にほえろ!』の仕事を嫌々続けてるようなこと言ってw、渡さんをなだめておられたんだとか。

けど、渡さんの怒りはそんな事よりも、裕次郎さんがいつまで経っても「よし、映画を撮るぞ!」って言ってくれない事へのわだかまりが、実は根底にあったみたいです。テレビ番組はそもそも、映画製作の資金稼ぎじゃなかったんですか?って。

たぶん、そんな渡さんの本音を、裕次郎さんもよく解っておられた。それを踏まえた上で上記のセリフを聞くと、やっぱ渡さんに対する懺悔にも聞こえますよね。「疲れたろ?」「ありがとう!」って、死んだ部下に対して普通は言わないですからw

裕次郎さんから事前に「このシーンは俺の言葉で喋るから」って聞かされた渡さんは、死体が泣いちゃマズイと思って耳栓をされたんだそうです。

確かに、この場面は凄かった。それは日活で既にスターの地位を築いてた渡さんが、莫大な負債を抱えた石原プロを訪ね、自分の全財産を差し出して入社を志願し、裕次郎さんの片腕になられた瞬間からの、長年に渡る固い絆と感謝の気持ちがストレートに伝わって来るから、だろうと思います。

『太陽』にせよ『西部』にせよ、番組を私物化してるやん!って批判出来なくもないけどw、だからこそ両作品に対する裕次郎さんの愛着、決してビジネスだけじゃない熱い想いが、それぞれの最終回に表れてると言えるんじゃないでしょうか。

それにしても、団長がトドメの1発を食らった時の、団員たちのリアクションは凄まじかったですね。あれもまた、団長というより渡さんに対する皆の想いが伝わって来ます。

ジュン(石原良純)が左胸を撃たれた時とは全然テンションが違いましたからねw ジュンだって死にそうだったのに、良純さん、やっぱダサいです。

不満を秘めながらも裕次郎さんに尽くし続けた渡さんと、そんな渡さんに人生を捧げる勢いの軍団員たち。

そういった忠義や忠誠心、誰かの為に命を捧げるような気持ちはこれっぽっちも持てない私だけど、観てる分には素晴らしいです。ホンモノの絆ですよね。

そうそう、絆と言えば、団長が密かに戦死を覚悟し、その前夜に木暮課長と酒を呑み交わすシーン。もう二度と会えないであろう木暮課長の横顔を、黙って見つめる団長の眼がとても切なくて、観てる私も不意に泣きそうになりました。

あれもまた、木暮課長じゃなくて裕次郎さんに対する、渡さんご自身の想いですよね。演技を超えたものがそこにある。

ストーリーは荒唐無稽でも、キャラクターたちの想いは極めてリアル。この最終回が見応えある作品になった、最大の理由はそこにあると私は思います。
 

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2 コメント

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Unknown (キアヌ)
2018-12-21 09:03:29
特撮ヒーロー好きの私からすると、やってることはヒーローものですが、いかんせん衣装がスーツで顔丸出しなので当時からハマることはできませんでした

が、以前のハリソンさんのレビューを読んでこの最終回だけ見ました!

いやー本当にものすごい見ごたえがありました!
スーパーマンすぎる大門さんにはどうしても感情移入できませんが、制作側の目線で見たら愛に溢れすぎていて本当に泣けてきます!

とくにラストあたりからやばいですね、ファンでもないのにお別れシーンは泣けますし、エンディングの曲で涙腺破壊でした!

みんな誰かに愛されて
そして誰かを愛してる

歌謡曲をバックに海辺や街を歩くだけでめちゃくちゃサマになるって、裕次郎さん神すぎです!
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>キアヌさん (ハリソン君)
2018-12-21 12:00:35
現在のテレビ業界ではもう、こんなドラマは物理的にも無理だけど、作品や演者に対する愛の深さも比べ物にならないでしょうね。

唯一、そういったものが今でも感じられるのが特撮ヒーロー物かも知れません。そのジャンルから多くのスターが生まれてるのは、決して偶然じゃないんですよね。
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