☆第7話『ダイヤモンドは死の匂い』
(1977.5.17.OA/脚本=佐治 乾&大原清秀/監督=村川 透)
宝石店の車が時価3億円相当の宝石を移送中に衝突事故を起こし、負傷した店員が宝石もろとも救急車で搬送されたまま行方不明に。その救急車は渋谷病院から盗まれたものだった!
程なくして乗り捨てられた救急車と店員の他殺死体が発見され、城西署捜査一課の黒岩デカチョウ(渡 哲也)らは事故を装った計画的な強盗殺人事件と断定、捜査を開始します。
結果、現場近くで目撃された傷害前科者の早川(草野大悟)が、今は無職なのに大金を得たらしいことが判明。黒岩と徳吉刑事(松田優作)は早川の若い妻=千代(杉本美樹)をマークするんだけど、黒岩と千代はどうやら旧知の仲らしい。
「クロさん、どういうご関係なんスか? 昔の……」
そう言ってニヤニヤしながら小指をいやらしく動かす徳吉に、黒岩は「バカ」と言うだけで何も答えません。
そして早川が城西署に連行された夜、千代は黒岩のアパートを訪ね、早川の金は自分が体を売って貢いだものだと打ち明けます。
「千代さん、キミは昔言ったな。ポンをやめて、もう下らん男に騙されんのは懲り懲りだって。これは余計なことかも知れんが、早川と別れる気は無いのか? あれは人間のクズだよ、クズ」
確かに早川はクズだけど、金欲しさに強盗や殺人を犯すような人間じゃないと、千代は主張します。
「お願いします。早川を出してあげて下さい」
「帰ってくれ。そんな話がしたいなら署に来て貰いたいな」
いくら容疑者の身内とは言え、千代を必要以上に冷たく突き放す黒岩の態度。そして何だかんだ言いながら早川をすぐに釈放してやった事から見ても、やっぱり黒岩と千代の間にはかつて何かあったんでしょう。
だけど、早川はやっぱりクズでした。自分がすぐに釈放されたのは、千代が黒岩と寝たからだと決めつけて彼女を殴り、事件現場で目撃した車から強盗犯の正体を掴み、警察に通報するのかと思いきや「くそぉ、うまい事やりやがって」とか言って、金を脅し取ろうとした挙げ句、返り討ちに遭って再起不能の重傷を負っちゃう。
一方、黒岩軍団は地道な捜査により、被害に遭った宝石店の美人社員=亜紀(中山麻理)が犯人と内通してると睨み、徹底的にマーク。犯人たちが宝石をバイヤーに売りさばく現場を押さえ、逮捕します。
決め手になったのは、早川を通じて犯人の顔を知ってた、千代の証言。それが無くても逮捕出来た筈なんだけど、奪われた宝石には1万ドルの報償金が懸けられており、それを知ってた黒岩があえて彼女に協力させたワケです。その金で千代の人生も、少しは好転するかも知れません。
「ねぇ、教えて下さいよ。どういうご関係なんスか? ねえ」
「この歳になりゃ分かるよ」
しつこく尋ねて来る徳吉に、苦笑しながらそう答えた黒岩は、例によって煙草を吸いながら独りカッコ良く去って行きます。
「なーにを、むっつりスケベが。よくあれで疲れないよなホントに。トシだな」
これも恒例、優作さんのアドリブです。最後の「トシだな」の意味が解りませんw
結局、黒岩と千代がどれほど親密な関係であったかは、最後まで明かさずじまい。その方が色々と想像できて楽しいですよね。
『大都会 PART II』も初期はかように地味で、捜査過程も丁寧に描かれ、倉本 聰 脚本による前シリーズ『闘いの日々』のアダルトな雰囲気をまだ残してました。
これから徐々にアクションが派手になり、娯楽要素がどんどん膨らんで行き、悪く言えば幼稚な『西部警察』の世界へと繋がって行きます。今回の黒岩と千代みたいに色っぽいドラマは『西部~』じゃ見られません。
そんなフェロモンほとばしる千代を演じた杉本美樹さんは、当時24歳。'70年代の東映ポルノ映画で人気を博し、『0課の女/赤い手錠』等に主演された女優さん。
刑事ドラマは『非情のライセンス』『TOKYO DETECTIVE/二人の事件簿』『大都会/闘いの日々』等にゲスト出演。'78年に結婚&引退されており、TVドラマの出演は本作が最後だったみたいです。
そして悪女を演じた中山麻理(麻里)さんは当時29歳。'60年代から活躍されてる女優さんで、ボインぼよよ~ん!な人だけど、我々世代には三田村邦彦さんの元「恐妻」というw、あまり芳しくないイメージがあったりします。
刑事ドラマは『東京バイパス指令』『刑事くん』『TOKYO DETECTIVE/二人の事件簿』『華麗なる刑事』等にゲスト出演されてます。
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