〜前半のおさらい〜
妊娠中の令子さん(長谷直美)がアパートのドアを開けたら、そこにズブ濡れの志賀勝が立っていた! きゃあああぁぁぁーーーっ!!!
かつて逮捕した傷害犯の矢沢(志賀 勝)が出所し、職が決まるまで泊めて欲しいと言って来たもんで、困り果てたロッキー(木之元 亮)は顔を毛むくじゃらにしながらも受け入れます。
ところが矢沢はなかなか職を決めずアパートに居座り、ロッキーの留守中にその「顔面凶器」で令子さんを驚かせ、うっかり(?)怪我をさせてしまう! 矢沢の目的はもしかして、ロッキーへの復讐なのか!?
令子さんが負傷したと聞き、ロッキーは慌てて病院へ駆けつけますが、幸い大した怪我じゃありませんでした。
謝罪する矢沢に、ロッキーは言います。
「間違えたんだから、仕方ないだろう」
「……ホントに、そう思ってくれますか?」
「ああ。ここはオレが替わるから休んでくれ」
ロッキーはまだ矢沢を信じてるみたいだけど、怪我させられた令子さんはたまったもんじゃありません。
「私、あの人が灯り消したの、わざとだと思う」
「ええ? なぜ?」
「……なぜだか分かんないけど」
「分かんないって、お前……ワケも無くそんなバカなことする筈ないだろう? オレが憎いならオレを襲う筈だし、お前が狙いなら襲うチャンスはいくらでもあった筈だ。そうだろ?」
「でも……そんな気がするの」
「…………」
もちろん、令子さんの方が正しいに決まってますw アホのロッキーは、矢沢が病院の公衆電話で、竜神会の親分にこんな報告をしてる事にも全く気づきません。
「言われた通り、上手くやったつもりですが……」
『ご苦労さん。もうじきカタがつく。お前は早く消えろ』
「あ、そうスか。それじゃ失礼します」
やっぱり! 職探しにモタついてロッキーをさんざん振り回したのも、挙げ句に令子さんに怪我させたのも、全て計算ずくだった!
矢沢は恐らく、組を抜けて足を洗う条件としてその役目を授かった。しかしいったい、なぜ竜神会はそんな事を?
「どこへ電話してたんだ?」
病室から出てきたロッキーにツッコまれ、さすがに矢沢も慌てます。
「あ、いや……クニの親戚です。やっぱりオレ、クニに帰ります」
「ええ? どうしちまったんだよ、急に」
「いや、それはですね……旦那や奥さんに迷惑掛けちまったから……」
「矢沢!」
ほら来た! いくらお人好しと言ってもロッキーは刑事です。矢沢の焦りを見逃さない筈がありません!
「な……なにか?」
「結局……オレはあんたに何もしてやれなかった。すまなかったな」
なにぃーっ!?w ホントにまったく、どこまでお人好しで毛むくじゃらなんだロッキー刑事ぃーっ!?
「……いえ、気にしないで下さい。それじゃ……」
「おいちょ待てよ!」
おっと、ほら来た! 今度こそ! そそくさと立ち去ろうとする矢沢を追いかけ、ロッキーがふところから取り出したのは拳銃? それとも手錠?
ロッキーがふところから取り出し、矢沢に手渡したのはなんと、数枚のお札でした。たぶん、なけなしの小遣い全額です。
「クニでいい仕事見つけろよ。な?」
「…………」
やっぱり最後まで矢沢の正体に気づかない、果てしなくお人好しなロッキー刑事なのでした。
一方、竜神会VS響組の動きを探ってた藤堂チームは、海外逃亡した筈の殺し屋=高岡(浜田 晃)が東京に舞い戻ったらしいという情報をキャッチ。恐らくそいつが響組の大幹部を暗殺するに違いない!
「あっ、こいつ……あいつだ!」
高岡の手配写真を見てロッキーが驚きます。なんとアホのロッキー、3日前に新宿で高岡と顔を合わせてたのに、それが誰なのか思い出せないまま忘れてたのでした。
「おいちょ待てよ、ロッキー。3日前と言えば……」
そう、矢沢という名の志賀勝がズブ濡れになってロッキー宅を訪ねて来たのは、ちょうどその日の夜だった!
「ヤツがお前にまとわり付いたのは、それを思い出させない為だ!」
う〜む、ちょっとムリを感じる設定ではあるけど、意外とヤクザってのは姑息で用心深い人種ですから、決して有り得ない話でもないと思います。
「矢沢、あの野郎おぉぉぉーっ!!」
今さら怒り出すロッキーに、冷静なボス(石原裕次郎)が言います。
「待て。今は矢沢より高岡だ」
そう、敵の狙いが判ったからには、全力で阻止するのみ!
ここはトットと進めましょう。高岡の狙撃地点を先読みした藤堂チームは、可能性のある場所を全員で徹底マーク。ドック(神田正輝)&ロッキーのコンビがいち早く高岡を発見し……
見事な連携プレーで暗殺を阻止! 二大勢力の全面戦争はひとまず不発に終わりました。
けど、高岡を捕まえたところで、彼が自白しなければ竜神会との繋がりは証明出来ず、火種はくすぶったまま。プロの殺し屋が口を割るとは到底思えません。
「あいつが証言してくれたらなあ……」
ロッキーはふと、パチキ入りパンチパーマ男の怖い怖い顔を思い浮かべながら、退院した令子さんをマイ・スイートホームへと送り届けます。
するとどうでしょう! アパートの階段にちょこんと、一度見たら一生忘れられない、あのパチキ入りパンチパーマが!
「矢沢! お前、なんで此処にいるんだよ!?」
駆け寄るロッキーに、矢沢は気まずそうに、申し訳なさそうに、そして恥ずかしそうに言います。
「いや、なぜだか……変な方向に足が向いちまって……」
「変な方向?」
「これ……買って来ました」
矢沢がおずおずと差し出したのは、安産祈願で有名な「水天宮」のお守り。令子さんが欲しがってたのを、矢沢はちゃんと憶えてたのでした。
「これで勘弁して下さい」
「矢沢……」
きっと矢沢は、竜神会の企みも洗いざらい証言してくれる事でしょう。彼を最後まで信じ抜いたロッキーのお手柄です。
『太陽にほえろ!』としては異色のサイコ・スリラーかと思いきや、実は極めて『太陽〜』らしいヒューマン・ストーリーでした。
根っからの悪人はいない。現実はそうとも言い切れないと私は思うけど、そうであって欲しいっていう願いをドラマに込めるのは「あり」だとも思います。
これは何げに名作ですよね! なんつっても志賀勝さんが一世一代のハマり役!
同じ「顔面凶器」系のアクターでも、例えば小沢仁志さんだとこの感動はたぶん生みだせない。ただイカツいだけじゃなく、素朴さとか哀愁なんかも同時に感じさせる、志賀勝さんが演じてこその感動だと思います。
今、志賀さんの代わりが務まるアクターって見当たらないですよね。昭和を代表する名優のお一人だったと、しみじみ思わずにいられません。
職場のパソコンで見ていて笑い声を立ててしまったではありませんかw。
おっしゃるように「太陽」らしいヒューマンストーリーでした。ありがとうございました。しかし雨の中、ずぶ濡れで…困りますよねww。
志賀勝のような、目でモノが言える俳優は少ない気がします。
イケメン俳優の替わりはいくらでもいるけど、志賀勝さんの替わりは誰にも務まらないことでしょう。
しかし、顔がイカツいと、ちょっとイイ事しただけでめっちゃイイ人と思われるからトクですよねw
ちなみに自分のTwitterのフォロワー(趣味関係では先輩)の方で、ハンドルネームが「マッドポリス芹沢」という方がいらっしゃたりします。
決してイケメンじゃないし、カッコ悪い役も多いけど、素朴さや哀愁を漂わせる。そんな志賀さんにちなんだハンドルネームというのは、中々いいセンスではないでしょうか?
私だったら…さしずめ「サブロー」かな?(由来:チンピラ役常連の庄司三郎さん)
トンチンカンなコメントですみません…
しかし見ごたえありましたなあ~。