2012年の冬シーズン、日本テレビ系列の水曜夜10時「水曜ドラマ」枠で全10話が放映されたコメディータッチの刑事ドラマ。『アンフェア』の原作者である秦建日子さんの同名小説をドラマ化した作品です。
ろくでなしの旦那に見切りをつけ、子連れ狼スタイルで捜査する麻布南警察署・刑事課強行犯係主任の敏腕刑事「マルコー」こと丸岡高子に、永作博美さん。
マルコーが特製ベビーカーに乗せて連れ歩く、幼子のベビーシッターとして交通課から抜擢された相棒刑事「ラッセル」こと長嶋 葵に、香里奈さん。
ほか、恋人=葵との格差に悩む交番巡査に上地雄輔、強行犯係の係長に八嶋智人、刑事たちに佐藤二朗、安田 顕、野間口 徹、林 泰文と、当時は地味に思えたキャスト陣も今となっては豪華な顔ぶれ。
そして第1〜2話のゲスト=西田尚美さんは、男に依存しないと生きて行けない女性の役で、究極の自立型であるマルコーと対比して描かれました。
女性の生き方、仕事への取り組み方っていうのは結局、男とどう関わって行くかが何より重要というか、それが全てと言っても過言じゃないのかなぁ?って、このドラマを観て私は思いました。
男に媚びることなく自立するのか、あるいは男に寄り掛かるか利用するかして生きていくのか? 番組としては前者を圧倒的に支持してる感じだけど、そんなの人それぞれだし好きにすればええやん!って、私は思いました。男はだいたいそう思うんじゃないでしょうか?
けど女性にとっては、身につまされたり指針を発見したりする、何より興味深いテーマなのかも知れません。だからこれは100%女性向けの番組。
刑事ドラマとしては正直、食い足りない印象です。マルコー刑事のキャラは面白いんだけど、ダーティ・ママと呼ぶにはダーティーさが足りてない。
ベビーカーに色んなギミックが仕込んであったり、自分の子供をダシに使って容疑者に探りを入れたり、拷問は自分の手を汚さず後輩のラッセルにやらせたり、盗聴、盗撮、買収と、やってることは確かにダーティーなんだけど、その程度なら昭和ドラマの刑事さん達は日常的にやってました。手ぬるい!w
ただ、特製ベビーカーを押して出勤し、子連れで捜査する女刑事という設定に対して「あり得ない」みたいな声も出たでしょうけど、その点に関しては「あり」だと私は思います。
『デカワンコ』のロリータファッションと同じで、主人公の生きざまを象徴するアイテムだと思うし、絶対にあり得ないとは言い切れないですよねw マルコー刑事の場合、検挙率ナンバーワンの実力があればこその特別待遇であり、ミスを犯せば即免職というリスクを負わされてる等、設定の裏付けで最低限のリアリティーがキープされてます。
でも、装甲車と同じ素材で造られたというあのベビーカー、装備がやっぱり手ぬるいですw 子連れ狼を意識するならマシンガンは必須でしょう? 防弾仕様にはなってるみたいだけど、武器が腐ったタマゴって……w そっちのダーティーかよ!っていうギャグにはなってるんだけどw
何ならロケット・パンチが撃てるとか、それ位はっちゃけないとこのテの話は面白くならない、って私は思うんだけど……そういう部分が淡泊なのも、やっぱり女性向け番組なんですよね。
そんなワケで私は物足りなく感じたけど、永作博美さんの怪演&快演には観る者を惹きつける力があり、赤ちゃんの愛くるしさと相まって本作の見どころとなってます。
ただし相棒役の香里奈さんが、永作さんの力量にイマイチついて行けてないのが惜しい。ラッセルがマルコーにさんざん振り回された挙げ句、最後にプッツンして丁丁発止の口喧嘩になるのが毎回のお約束、かつ見せ場にもなってるんだけど、これがイマイチ面白くない。
不毛な話だけど、ラッセル役がもし多部未華子さんクラスの才能を持った女優さんだったら、その場面見たさに毎回チャンネルを合わせる事になったかも知れません。
香里奈さんも決して下手な人じゃないとは思うけど、美人でコメディも上手にこなせる女優さんは、ほんのひと握り。永作さんの相手役はちょっと荷が重すぎたかも知れません。
私は女ですが、これはまさしく「好きにすればええ」と思うのです。
この二者択一って、「好きの反対はキライ」を見せられてる感じです。だからイマイチなんだ!
私としては次にあげられている「ハンチョウ」の方がよいです。
最近はようやくマイノリティな生き方、新しい生き方が普通の事として描かれるようになって来ましたけど、『ダーティママ』の頃はまだ感覚が古かったですよね。