ところで、冒頭で描かれた幼児誘拐事件。まんまと身代金を奪われてから4ヵ月経っても捜査に進展無く、担当した柿の木坂署の東主任(北村有起哉)は本庁で警視監からこってり絞られ、プレッシャーをかけられます。
元々しょんぼりした顔を更にしょんぼりさせて、部屋を出て来た東主任に、たまたま通り掛かったSITの門倉美咲(多部未華子)が声を掛けます。
「東主任ですよね? 合同捜査会議で何度かお会いしました」
「ああ、キミは確か麻井さんとこの。よろしく伝えてくれ」
多部ちゃんのお芝居は本当に、さりげないのに分かり易い! 東主任を尊敬し、ちょっと憧れを抱いてる美咲の心情が手に取るように伝わって来ます。
ただし、設定年齢25歳のうら若き乙女が、会議で何度か会っただけで憧れを抱くには、東主任の年齢(設定40歳)はともかくとして、ルックスは果たして……どうなんでしょう?w
我々中年タベリストに夢を与えてくれるのは大変ありがたいのですが、映像としての説得力が……w
後に美咲は柿の木坂署に飛ばされ、東主任の部下になるんだけど、多部ちゃんのラブラブ光線に全く気づかず、素っ気ない態度ばかりという北村有起哉さんの二枚目ぶりにも、やはり映像としての違和感が……w
それはともかく、東主任の思いつめた様子が気になる美咲は、同僚の前島先輩(阿南敦子)から「4月の黒星」すなわち冒頭の誘拐事件における失策の顛末を聞き出します。
「でも、それだけとは思えないんです。4月の黒星とか、それだけとは……」
「あれぇ? アンタ、ああいうしおれた中年がタイプなの?」
「ちょ、ちょっと、なに言い出すんですか!」
これもまた、ドラマとしては実につまんない会話ですがw、同僚の男性刑事たちは食いつきます。
「えっ、まさか、カンヌの恋バナですか!?」
どういうワケかカンヌ刑事に対して馴れ馴れしい口を聞く、いつも口を半開きにしたモミアゲ男は、通称チクビ刑事(小柳 友)。
と、ここで新たな事件が発生します。荻窪で警官の職務質問を振り切った若い男が、ナイフで女性を人質を取って公民館に立て込もったとの事、いよいよSITの出番です。
美咲が所属する交渉班と、伊崎基子(黒木メイサ)が所属する制圧班、それぞれの出動→現場到着→機材や銃器の準備→そして配置に着く迄のプロセスが、細かくスピーディーに描写された一連の場面は興味深く、見応えありました。
基子は黒ずくめのコンバットスーツと防弾チョッキ、そしてベレッタM92F(『リーサル・ウェポン』や『ダイ・ハード』で有名になったオートマチック拳銃)で武装し、建物の裏口に待機します。
「白黒ハッキリさせようぜ」
↑ ダーティハリーあたりが言いそうな基子の決め台詞ですが、唐突で前後の流れに合ってないもんで、イマイチ決まりませんw まぁ第1話の中で言わせるには、このタイミングしか無かったのでしょう。
現場の周辺には野次馬が集まっており、例の金髪少年=ジウ(L君)もその中に混じってます。白ずくめの服で、天使あるいは幽霊みたいに佇むイメージを演出したかったでしょうに、仕上がりは通りがかりのファッションモデルorニューハーフにしか見えませんw
やたら血の気の多い籠城犯は、若い女に食事を持って来させるよう要求して来ます。SITの麻井係長(伊武雅刀)は、その役目を美咲に託します。
「可能ならば交換の人質に志願して、現場に残ってくれ。人質が解放され次第、強行突入に作戦を切り替える」
かなり危険な任務です。強行突入すれば逆上した犯人に殺されるかも知れないし、それ以前にわざわざ「若い女」を指名して来た以上、あんな事やそんな事をされちゃう可能性は充分に考えられます。私が犯人なら必ずそうしますw
日本の刑事ドラマで何より不自然なのは、どうしょうもなく外道な悪党どもが真木よう子や有村架純を人質にし、ロープで身動き取れなくしておきながら、ろくに乳の1つも揉もうとしない事です。揉むだろう普通!? 揉んで揉んで揉まれて揉んで、揉み疲れて眠るまで揉みますよ!
果たして『ジウ』では、そこんとこのリアリティをしっかり守ってくれるのか、ここは要注目です。
「君は、潜入しての交渉は初めてだな。怖いか?」
「……………大丈夫です」
この「…………」の間はメチャクチャ長かったですね。実に7~8秒はありました。眼だけで何もかも表現してみせる、多部ちゃんだからこそ成立する間かと思います。
さて、ここからがハイライトです。この第1話の中で唯一と言っても過言じゃない、エモーショナルな場面。
「もしもし、お母ちゃん?」
美咲はトイレの洗面所で、実家に電話を掛けたのでした。何も知らない母の、普段どおりの陽気な声が聞こえると同時に、美咲の眼から涙がこぼれ落ちます。
『デカワンコ』のレビューにも書きましたけど、多部ちゃんの涙は常にベストタイミングで流れ始めます。泣きの演技が得意な女優さんは多数おられても、これほど完璧にコントロール出来ちゃう人はそうそういないでしょう。
だから「カンヌ」って徒名は多部ちゃんにはピッタリなんだけど、この門倉美咲の涙は「泣きの演技」とは違います。
「で、いつ帰って来るの?」
「……ちょっと……分かんないや」
もしかしたら、二度と帰れなくなるかも知れない…… 美咲の不安とプレッシャーと、両親への愛がヒシヒシと伝わって来るこの名シーンで、第1話は完全に「多部ちゃんの回」になりました。
白いブラウスの内側に隠しマイクを仕込み、潜入の準備を整えた美咲は、豆腐屋の娘の顔から刑事の顔へとシフトチェンジします。
「大丈夫。私だって、SITの人間です」
犯人と人質に差し入れる食事を持って、美咲は灯りの消えた暗い建物の中へ入って行きます。玄関前で待機してる小柳友くんが、口を半開きにしながら心配そうに呟きます。
「カンヌ……!」
チクビ……!
大音響でクラシック音楽を流し、美咲の隠しマイクを無効化した犯人は、ニヤニヤしながら彼女を待ち構えます。そして開口一番、ヤツはこう言い放ったのです。
「脱げ」
……キターーーーーーーッ!!w
「服を脱げ。お前」
そうだよね! そりゃそうだよね! 若い女の裸を見ずして、いったい何の為の籠城か!?っちゅう話ですよ! やっぱり『ジウ』は素晴らしい刑事ドラマですw
ついに、あの多部ちゃんが…… 最近まで日本中のオジサン達が「処女に決まってる」って自分に言い聞かせて来た、最後の清純派・多部未華子がついに、裸になる時が来たのです! ヌードになる時がやって来たのです! や、やめてくれぇーっ!!(嬉)
この瞬間こそが、『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』というドラマのピークでしたw 多部ちゃんが脱ぐワケないんだけど、いや、もしかしたら!?っていうw
さぁ、果たして多部ちゃんは、どこまで見せてくれるのか!? それに触発された黒木メイサが、うっかり全裸になってはくれまいか!? 籠城犯とか金髪坊やとか、どーでもいいですw
(つづ………けた方がいいでしょうか?w)
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