2021年の9月から10月まで、NHK総合の金曜夜10時「ドラマ10」枠にて全3話が放映された、NHKエンタープライズとMMJの制作による警察コメディー。
これを刑事ドラマのカテゴリーに入れていいのかどうかビミョーですが、主人公が警察組織で働いてて少しでも捜査シーンがあるなら、一応ここでは刑事物の一種として扱うことにしてます。
本作は元仮面ライダークウガのオダギリジョーさんが自ら企画され、演出、脚本、編集まで手掛けられたことで話題になりました。もちろん、警察犬オリバー役で出演もされてますw
そう、犬の着ぐるみを着た人を演じてるんじゃなくて、着ぐるみを着て犬そのものを演じておられる。この時点でマトモな警察ドラマをやるつもりが無いことは明らか。オダギリさんの普段のファッションや、これまで出演されて来た作品の傾向を見ても、かなり独特な感性をお持ちなのは承知してました。
だから、そんなには驚かなかったです。「ああ、やってるなあ」って感じで、むしろそこまでオダギリさんの好きなようにやらせた、NHKさんの柔軟さにこそ驚きました。すでに映画監督としての実績があればこそでしょうけど。
ある日、スーパーボランティアの小西さん(佐藤浩市)が山中で遺体を見つけ、狭間県警の鑑識課警察犬係の面々が捜査する内、その遺体が11年前に失踪した少女=北條かすみ(玉城ティナ)であること、そして彼女がどうやら殺害されたらしいこと、その背景に暴力団と半グレ組織の抗争があるらしいこと等が判明していき……
っていうストーリーが一応あるにはあるんだけど、それはオダギリ監督の独特な世界観を表現するためのお膳立てに過ぎず、謎解きやヒューマニズムを期待すると肩透かしを食らいます。案の定、結局何も解決しないまま終わっちゃったし。
だから本作をどう評価するかは、オダギリ監督の世界観を面白がれるか否かに懸かって来ます。そこはもう、観る人それぞれの好み次第。私は残念ながら、あまり面白いとは感じられませんでした。
オダギリさんは多分、ご自身が主演されて来た『時効警察』シリーズや『熱海の捜査官』、その元ネタだったであろう米ドラマ『ツイン・ピークス』等の影響を強く受け、自分ならもっと遊べる、もっと俺ジナルなドラマを生み出せる!って、そんな想いでこのドラマを創られたんだろうと思います。
そういうクリエイティブな姿勢は素晴らしいんだけど、ちょっと狙い過ぎというか本末転倒というか、ストーリーやテーマがしっかりあった上で遊んで欲しいと私は思う。遊ぶことが最優先になっちゃダメなんです。だからクドカンさんの作品とかも好きになれない。
あくまで私個人の嗜好の問題です。「なんでもあり」まで行っちゃうと逆に危うさが無くて面白くない。枠からはみ出るかはみ出ないか、ルールを破るか破らないかのギリギリのラインで遊んでくれる方がよっぽどスリリングで面白い。『時効警察』や『熱海の捜査官』がまさにギリギリで、オダギリさんはその境界線をあえて越えちゃった。
とはいえ、越えないと単なる二番煎じになっちゃうワケで、やるからにはそうするしか無かったのかも知れません。若い視聴者にはその方がウケそうな気もするし。テレビ業界は今、若者層を取り込むことに必死ですから、NHKさんも黙認するしか無かったのかも?
ただ、佐藤浩市さんに志茂田景樹チックなハデハデ衣裳で変なポーズを取らせたり等、スター俳優たちの普段見られない顔を引き出した点は、さすがご自身もアクターであり人気スターでもあるオダギリジョー監督の面目躍如。オダギリさんでなければこれだけのスターは集められなかっただろうし、全く同じ内容を無名の役者さんたちが演じても誰も笑わないでしょうから。
そんなオールスターなキャストの面々は、鑑識課の警察犬係員たちに池松壮亮、麻生久美子、本田翼、岡山天音、課長に國村隼、マルボーの刑事に野性爆弾くっきー!、元警察犬係のフリー記者に永瀬正敏、半グレ組織のリーダーに永山瑛太、ヤクザの組長に松重豊、その愛人に佐久間由衣、そして謎の占い師にオダギリジョー夫人の香椎由宇が扮するほか、橋爪功、柄本明、火野正平、嶋田久作、甲本雅裕、村上淳、仲野太賀、染谷将太、細野晴臣、坂井真紀、川島鈴遥、浅川梨奈、柴田紗帆 etc、etc……とまさに錚々たる顔ぶれ。
セクシーショットは麻生久美子さん、本田翼さん、佐久間由衣さん、玉城ティナさんです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます