プロのクリエイターとしてやって行くには、2つの才能が必要だと彼は言ってました。
1つは言うまでもなく創作の才能、そしてもう1つは営業の才能です。
一応プロデビューすることが出来た彼には、創作の才能はそこそこあったんだろうと思います。でも、営業の方がからきしダメだった。
具体的に言えば、自分を売り込む力と、交渉する力。彼はそういうことが大の苦手で、それをやりたくないからこそサラリーマンじゃなくクリエイターを目指したのに、それが出来ないと業界じゃ生きていけないと知って途方に暮れたそうです。
もちろん、最初から強いコネがあれば話は別で、例えば大スターの息子であるとか、そういう環境に恵まれることも『俺の話は長い』の主人公に言わせれば「才能」なんですよねw
残念なことに何のコネも持たなければ、自分で名前を売り、顔を繋いで行かなきゃ業界では生き残れない。彼は、デビューして良い作品さえ創れば、自然と次の仕事に繋がっていくものと思い込んでたそうです。甘いわっ!
偉い人のところへ挨拶にいく、用が無くてもマメに通う、心にも無いおべんちゃらを言う、呑みたくもない酒を呑む、etc、etc…… そんなこと、彼は死んでもやりたくなかったそうです。
もちろん、周りが放っておかないほどの、とてつもない(創作の)才能があれば、多分そんなことはしなくていいんでしょう。いわゆる天才ってやつです。残念ながら、彼はそうじゃなかった。
アニメ版『映像研には手を出すな!』最終回のレビュー記事に、主人公の浅草氏が内に秘める創作の才能を、交渉力に長けた金森氏、宣伝力を持った水崎氏という、2人との出逢いが開花させたって書きました。逆に言えば、2人のサポートが無ければ浅草氏の才能は宝の持ち腐れに終わった可能性が高い。
そういう仲間に恵まれるのも、また1つの才能なんでしょう。これはかなり運にも左右されそうだけど、本人に人間としての魅力が無ければ仲間も出来ないワケで、人徳という名の才能ですよね。
……とまぁ、いろいろ書きましたけど、以上のことは全て、苦手であろうが苦痛であろうが、死に物狂いで努力すれば何とかなるもんだろうと思います。彼は、そこまでの努力が出来なかった。それだけの話です。
つまるところ、これも『映像研~』の記事に書いたことだけど、クリエイターに一番必要なのは「情熱」という名の才能なんです。そればっかりは、意識して持とうとしても持てるもんじゃない。
彼は、自主製作映画でやりたいことをやり、プロデビューも果たし、特撮ヒーロー番組の脚本を書いて「人生最高」の幸せを味わい、満足してしまった。
彼は別にBIGになりたかったワケじゃなく、自分の創りたい作品を創ることだけが目標でしたから、自分で満足してしまったらもう、そこでおしまい。
一生を賭けて、命を懸けて、この作品だけは創りたい、それさえ創れたら死んでもいい!っていう位の創作意欲を持つこと。それこそが何より必要な才能。
そういうビジョンを持ってない人は、クリエイターを目指しても絶対うまくいかない。と、彼は言ってました。現在クリエイターを目指してる方はもちろん、お子さんやお知り合いにそういう人がいる方も、参考にして頂ければと思います。
なので私はサラリーマンクリエイターという
位置に落ち着いていますww