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CATVの録画をほとんど早送り再生で観てた『走れ!熱血刑事』だけど、この回には早送りさせない力がありました。
まず、ゲストヒロインとして登場する、田中美佐子さんの存在感。デビューされたばかりの21歳で、当時のクレジットは「田中美佐」名義でした。
この番組を早送りせずにいられない一番の理由は、少年少女たちの拙い演技が見るに耐えないからだけど、さすが後にブレイクされるだけのものを、田中美佐子さんには感じるワケです。そんなキャストが1人いるだけで、クオリティーが全然違って来ますからね。
加えて、ストーリーに普段よりも緊張感があり、マツケンさん以外の刑事のキャラがよく活かされてる点もポイント高いです。
☆第9話『秀才ブルース』(1981.1.19.OA/脚本=藤井邦夫/監督=江崎実生)
光一という高校生が、学校の屋上から転落死します。遺書も見つかり、自殺であることは明らかなんだけど、クラスメイトのツッパリ少女=令子(田中美佐子)は「光一は先公たちに殺されたんだ!」と主張。
少年課でもなさそうなのに(そもそも何課なのかハッキリしないw)未成年が絡む事件は放っておけない愛住署の刑事たちが、光一の身辺を捜査することに。
結果、光一は校内で起こった盗難事件の、どうやら濡れ衣を着せられたことが判って来ます。
そんな折り、同じ場所で光一の担任教師が転落死。盗難事件で盗まれたとされるラジカセが現場で発見され、光一の幽霊による復讐だ!と生徒たちが騒ぎます。
証拠も無いのに、なぜ教師たちは光一を盗難事件の犯人だと決めつけたのか?
「ジュニア」こと速水刑事(荒木しげる)は、光一の墓に花を供えていたクラスメイト=直也が何か知ってると直感し、捜査を進めます。
どうやら、その直也こそが盗難事件の犯人だった。ところが直也の父親である代議士=板倉は地元一の権力者で、教師たちは頭が上がらない。直也以外の誰かを犯人に仕立てる必要に迫られたワケです。
で、反抗心からフザケて犯人を名乗った光一を、これ幸いと教師たちは生け贄にした。まさか自殺しちゃうとは思わずに……
にしても、裕福な家庭で不自由なく暮らす直也が、なぜ盗難事件を起こしたのか? それは恐らく、権力者の加護下にいるボンボンならではの、欲求不満が原因だと速水刑事は見抜きます。
速水が「ジュニア」と呼ばれるのは、大物起業家の一人息子だから。
つまり直也と同じ境遇のボンボンで、似たような感情を自身も抱いてた。そんな自分に嫌気がさし、あえて警察官というハードな職業を選んだワケです。
「直也、独りで歩くんだ! 誰の世話にもなるな! 自分のことは自分で決めろ! お前はもう子供じゃないんだ!」
板倉やその取り巻き連中に殴られ蹴られ、フルボッコにされながらも、諦めず直也に食らいつくジュニア。
ついに直也は、父親の制止を振り切り、自分の意思で、真相を全て告白します。
光一が自殺し、罪悪感に耐えられなくなった直也は、盗難の真犯人は自分だと告白したのに、担任教師はそれを揉み消そうとした。直也は盗みの証拠品であるラジカセを持って担任教師に食い下がり、揉み合った弾みで教師は転落してしまった……
刑事物や2時間サスペンスでよくあるパターンだけど、ちょっと揉み合った位で転落しちゃう屋上がいっぱいある日本って、どんだけ危険な国やねん?って思いますよねw
それはともかく、自殺した光一の無念がいくらか晴らされ、彼を好きだった令子にもようやく、可憐な笑顔が戻るのでした。
杉サマしか活躍しない『大捜査線』とは対照的に、今回の『走れ!熱血刑事』は主役の山本大介(松平 健)が脇に回ってます。
それが良かった!とは言わないけれどw、このエピソードに限って言えば、荒木しげるさんが主役で良かったと思います。
マツケンさんって何となく、人間味が稀薄なんですよね。あくまで私感だけど…… マツケンサンバを踊ってる姿も、なんだかサイボーグみたいに見えませんか?w
このドラマにおけるマツケンさんがまた、なかなかの暴力刑事なんですよねw あんな爽やかな顔して、実は怒ると一番狂暴な人だったりするw(そこんとこも『大捜査線』の杉サマに対抗してた?)
そのマツケンパンチがまた、速い上に重量感があって、食らうと本当に痛そうなんですよね!
やっぱ、さすがの暴れん坊将軍です。『走れ!熱血刑事』なんてダサいのじゃなくて、ストレートに『殴れ!暴力刑事』ってタイトルにすべきでした。そしたらリアルタイムで観てましたよホントにw
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