『刑事犬カール』は1977年9月から1978年6月まで、TBS系列月曜夜7時半からの30分枠「ブラザー劇場」で全39話が放送された、木之内みどり主演による刑事ドラマ。制作は渡辺企画&東京映画&TBS。
ブラザー劇場と言えば『刑事くん』や『コメットさん』を放映してた枠で、思えばそういう少年少女向けの実写ドラマって(特撮ヒーロー物を除けば)すっかり無くなっちゃいましたね。
昭和の子供向け番組って、30分枠に収めなきゃいけないせいもあるでしょうけど、脚本がすこぶる強引でツッコミどころ満載w 今となってはそこが一番の見所かも知れません。
なお、1981年には坂上味和主演による続編『刑事犬カール ll 』全24話、1991年には単発2時間スペシャルのリメイク版『刑事犬カール/瀬戸内の追跡』が松下由樹主演で放映されてます。
☆第15話『オカリナが聞こえる』(脚本=千野晧司/監督=湯浅憲明)
冒頭、凶悪強盗犯の逮捕に駆り出された警察犬カールが大活躍し、刑事部長賞として表彰状と金一封が贈られることになります。
強盗犯1人を逮捕するのにいちいち警察犬を使うの? 犬に金一封? 等々、早速ツッコミどころ満載ですw
そしてある日、警察犬第三訓練所でカールの訓練士を務める高杉洋子婦警(木之内みどり)は、もしカールと離れ離れになっても自分の居場所が判るようにと、オカリナの音色とメロディを記憶させます。
何もそんな事させなくたって、オカリナの音が聴こえる距離なら匂いで判るだろうし、音で判別させるにしても肉声を聴かせた方が確実なのでは?って思うんだけどw、視聴者=子供たちがふだん使ってるアイテムをドラマに活かそうっていうコンセプトなんでしょう。
で、そんなわざとらしい布石を置きつつ、洋子は母親の七回忌で金沢の実家へ帰ることになり、その間だけ先輩刑事で仲良しの大島(加納 竜)がカールの面倒を見ることになります。
洋子の留守中、大島刑事が勝手に訓練しようとするもカールが全然言うことを聞いてくれない、っていうギャグシーンが延々と続くのもまたツッコミどころ。正味20分しか無い番組なのにw
とはいえ、カール&大島刑事の関係が、カール&洋子の関係ほど固い絆で結ばれてないっていう事実を、ここで見せておく事には意味があるんですよね。
冒頭で捕まった強盗犯が護送中に脱走し、所轄がカールの出動を要請して来たもんで大島刑事が連れていくんだけど、大島がカールの鼻を信じなかったために犯人を取り逃がしちゃう。これはなかなかの大不祥事なのでw、第三訓練所を取り仕切る村上所長(神山 繁)がカンカンになって怒ります。
「犬に口を聞けって言うのか? 犬は正直な動物だ。人間と違って絶対に嘘はつかん。犬を信用しないで何が出来るんだっ!?」
一方、実家に帰った洋子は独り暮らしの父=修平と久々に再会します。修平を演じるのは『太陽にほえろ!』の長さんこと下川辰平さん。忙しい合間を縫ってのセミレギュラー出演です。
「お前の着物姿、母さんそっくりだな。襟足のところなんかお前、こう……」
さすが、こういう芝居をやらせたら下川さんの右に出る者はいません。飾り気が無くて温かいお人柄が一挙手一投足から滲み出てます。
「母さん。洋子は母さんが死んだ時、ビービー泣いてばかりいて、この先どうなるのかと心配させたけど……こんなにいい娘になりましたよ。俺もあと一息……あと一息頑張りますよ、母さん」
仏壇に向かってそう語りかける演技だけでホロッとさせられます。
そしてその頃、第三訓練所では村上所長のデスクの電話が鳴り……
「えっ、ホシが新しい犯行を? どっかで手に入れた拳銃で脅して、現金30万円を奪って逃走しただと?」
電話で聞いた内容を反復して視聴者に知らせる説明演技も昭和ドラマのお約束。にしても所長、どっかで手に入れた拳銃って、なんと大雑把なw
今度こそ汚名返上!とばかりに大島刑事がカールを連れて急行しますが、今度は脚を撃たれて負傷という体たらく。もちろん犯人は逃走し、それを追って行ったカールまで行方不明になっちゃう。『華麗なる刑事』の坊やといい『西部警察』のリュウといい、事態をより悪化させるドジ刑事を演じたら加納竜さんの右に出る者はいませんw
「どうしてもっと早く電話して教えてくれなかったの!」
東京に戻るなり弟の進からカールが行方不明だと聞かされ、洋子は大いに動揺します。
「だって、せっかくの休暇だし……」
進を演じるのは『ケンちゃん』シリーズで一世を風靡した名子役=宮脇康之さん。なんとお懐かしい!
すぐに出動した洋子は、例のオカリナを吹きながらカールを探し回ります。この広い東京で、アテもなく闇雲に探したところで見つかる筈が……
「ワンワンワン!」
見つかりましたw
「えっ、犯人がいるの?」
「ウン!」
いやいやホントに、カールは確かに「ウン!」って言ってますw あらゆる鳴き声を録音して、そう聴こえるバージョンをアテレコしたんでしょう。
かくして、洋子&カールは見事なコンビネーションで、凶悪強盗犯を再び逮捕します。カールは確かに凄い。けど、その力は訓練士との固い絆があって初めて発揮される。つまり、洋子がいてこその刑事犬カールなんだ、っていうお話でした。
ツッコミどころは色々あるにせよ、番組のテーマと各キャラクターの役割を的確に示した、非常にウェルメイドなストーリーだと思います。
それより何より、木之内みどりさんがホントに可愛い! 当時20歳で、歌手デビューから4年目。レコードはいまいち売れなかったけど、'77年の映画『野球狂の詩』実写版と本作『刑事犬カール』の主演で一気に知名度を上げられ、当時まさに人気絶頂期。
ところがこの翌年、ミュージシャンとの不倫恋愛で騒動を起こし、電撃引退。そのミュージシャンが最初の夫で、離婚後、竹中直人さんと結婚されることになります。
え?私の地元?
ところでコメント投稿がうまくいかない件ですが、絵文字や記号の文字化けが原因になる場合が多いようなので、使われないことをオススメします。たぶん書き込みの内容そのものは関係ないと思われます。
失礼しました。
主題歌も好きでした。
木之内みどりさんに関しては私は『刑事犬カール』と『野球狂の詩』の主演女優さんという認識しか無く、歌手としての作品は『カール』の主題歌しか知りません。が、それを聴いただけでも癒されますね。
やっぱり昭和の歌謡曲はイイです。みどりさんの甘い歌声も。竹中直人さんをノックアウトさせただけの事ありますw
警察犬カール全集の脚本と字幕を募集します。私は39回の日本語字幕を全部完成したいです。中日友好関係は相変わらずです。日本語の友達が応援しに来てほしいです。日本語が足りないです。ありがとうございます。