ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』

2022-09-06 00:00:06 | 外国映画

2021年に公開された、エメラルド・フェネル監督&脚本によるアメリカ映画をレンタルDVDで観ました。

誰もが前途有望な若い女性(プロミシング・ヤング・ウーマン)と思ってた医大生のキャシー(キャリー・マリガン)が、世間で「よくある出来事」により未来を見失い、大学を辞めて「復讐」にすべてを捧げる人生を歩んでしまう。

その「よくある出来事」とは、同じ医大生でかけがえない親友だったニーナが、パーティーナイトで酔いつぶれ、男子学生たちにレイプされた事件。

訴訟を起こそうとしたけど「泥酔した女性側にも非あり」との理由で却下され、絶望したニーナは精神を病んだ末に自殺。

それをキャシーは「あのとき自分も一緒に行けば防げたはず」と激しく後悔し、アラサーになった現在も自分を責め続けてるワケです。いっさいセリフでは言及されないけど、もしかするとニーナは同性の恋人だったのかも知れません。

復讐にまで発展するかどうかはともかく、酔った勢いで強引にチョメチョメ……までは行かなくてもセクハラってのは、世間じゃよくある話ですよね? つい最近も話題になりましたね?



私自身は酒が飲めないし、大人数でワイワイ騒ぐことも死ぬほど嫌いだから、そういう現場に立ち会った経験はありません。無くて本当に良かった!

けど、もし自分も酒が飲めて、皆でワイワイってのが嫌いでなければ、もっと早くエッチなことを経験できたのかも?って、思ったりはします。

このブログじゃ「今夜、泊まってけよ」とか「死ぬほど抱いてやる!」とか強気なこと書いてるけど、実際の私は超オクテで初キスも「奪われた」側です。それも、相手の酔った勢いでw

だから、ある程度はそういう場に赴くのも、若い頃は必要かも?とは思います。思うけど、女の子を酔わせて、なし崩しにチョメチョメってのは物凄く卑怯だし、男として格好悪い。醜い。あとで「あの時は酔ってたから」って言い訳するのはもっと醜い。



そう言えば、私がまだ女性と交際経験も無かった20歳の頃、居酒屋で(自分は飲めないのにw)バイトしてて、大学生らしき連中がワイワイ騒いでて、まだピュアそうな女の子が泥酔し、いかにも遊び人っぽい野郎にディープキスされてる現場を目撃して、なんとも言えぬイヤ〜な気分になった思い出があります。

当時の私にとって、女子は手の届かない神聖な存在で、キスなんてまだ夢の夢でしたから、それがあんな場所で、あんな簡単にされてるのが物凄くショックで。

そんな軽いもんなのか!?って。ハリソン・フォードと瓜二つな私を差し置いて、あんなチンカスみたいな野郎に、あんな純情そうな子が易易と!!って。



話がめっちゃ逸れましたw けど、自身にそういう過去が有るか無いかで、この映画の見方がかなり違って来ると思うんですよね。

若い頃……いや、歳を重ねてからでもいいけど、酔った勢いで女性にセクハラしたり、ましてやレイプなんかした覚えのあるチンカス野郎がこの映画を観たら、恐すぎてチンコが「かっぱえびせん」になっちゃいますよ! ざまあ見ろっ!! お陰さまで私はちっとも恐くない!w



監督&脚本のエメラルド・フェネルさんご自身が女性ですから、キャシーの復讐は非常にリアルです。男どもをバッタバッタと蹴散らすようなファンタジーとは違うワケです。(そっちの方が私は好きだけど)

しかも、親友をレイプした当事者たちは最後の楽しみに置いといて、まずは酔いつぶれた女性に寄ってくる下心まる出しの男どもに片っ端から制裁を下していく。自らが泥酔したフリしてオトリになるワケです。



制裁の下し方はケース・バイ・ケースだけど、腕力は使わず、主に精神的に追い詰めていく手法。要は思いっきりトラウマを植え付けてインポにしちゃう。暴力よりよっぽど恐いぞ、ざまあ見ろっ!!

当事者への復讐が完遂するか否かは観てのお楽しみだけど、いずれにせよ死んだニーナは戻って来ませんから、スカッとはしない。

私は特に、キャシーと同居してるご両親があまりに気の毒で、胸が痛みました。だから、100%スカッとしたい方にはオススメ出来ません。

キャシーには同情するけど、共感はしづらい。確かにレイプ犯やその傍観者たちが、のうのうと人生を満喫してるのは許せないけど、だからって、自分の親を悲しませてまで復讐に邁進するのは……

復讐ストーリーはリアルじゃない方がいい。女の子がパンチラしながら大の男どもをバッタバッタと蹴散らしていく、ファンタジーの方が断然いい。

けど、それは私個人の好みに過ぎません。性暴力がどれほど被害者やその身内に深い傷を負わすか、それを学ぶには絶好のテキストになりますから、若い人たち、特に血気盛んなチンカス野郎どもに是非、過ちを犯す前に観せておきたい作品です。きっと、そのために創られたんでしょう。



PS. しかしビッチ風メイクのせいもあるだろうけど、あんなにキュートだったキャリー・マリガンさんの老けっぷりが、ちょっとショック。アラサーには見えない。無論、若けりゃいいってもんじゃないけど……


 


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2 コメント

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Unknown (over-the-magic)
2022-09-19 06:52:48
 ハリソンさんの記事を読んで、映画見ました。
 後半から凄い怒涛の展開でしたね。あのエンディングが本当に正しいのか、俺には分かりませんが。二人の愛が成就した瞬間でもあるんでしょうが……。

 1人の命が失われた事、被害者は決して忘れることはない事。
 重大なメッセージ性のある映画でした。

 それにしても、キャリーさんのスーツ姿、ビシッと決まってますね。
 めちゃくちゃカッコいいですよね、この女優さん。
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Unknown (harrison2018)
2022-09-19 09:46:52
あの結末は、あらゆる観客を納得させるにはコレしかない、っていう締め方でしたね。イーストウッド監督の『グラン・トリノ』にも通じるものがあります。

キャリー・マリガンさんは、何もかも吹っ切った感じがカッコ良かったですよね。実年齢より老けて見えるのも、ある種の役作りだったのかも?
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