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ボン単独活躍編の最終作となる本エピソードは、複数の小さな事件が同時多発し、人手不足な藤堂チームが右往左往されられた挙げ句、そのほとんどが徒労に終わっちゃうという、1つの大事件をスッキリ解決させるのが基本の『太陽にほえろ!』としてはかなりの異色作、かつ実験作と言えましょう。
次回より毛むくじゃらの新人刑事を迎えることの理由づけ、として創られた話なのかも知れないけど、この作劇法は後に『太陽~』の後番組としてスタートするリアリティー重視の刑事ドラマ『ジャングル』の基本スタイルとなり、やがて『踊る大捜査線』等にも応用されていきます。
だけど『ジャングル』の場合は『太陽~』スタイルに慣らされた大方の視聴者に受け入れられず「失敗作」の烙印を押されちゃいました。リアルなのは良いけどカタルシスに欠けるこの作劇法は、長期に渡る連ドラには不向きだったのかも知れません。
とは言え、そろそろマンネリ化しつつあった当時の『太陽~』においては新鮮で、ファンの間じゃ名作として知られるエピソードだったりします。
☆第255話『本日多忙』(1977.6.10.OA/脚本=杉村のぼる&小川 英/監督=木下 亮)
藤堂チームのメンバー1人1人の出勤風景を見せる冒頭シーンからして、まず異色。七曲署には珍しい平和な朝で、ボス(石原裕次郎)は「今日は開店休業だな」と余裕をかまします。
ところが、通勤途中の長さん(下川辰平)にビルの看板が落下、大きな怪我にはならなかったものの長さんは検査入院を余儀なくされ、まず1人脱落。
その現場検証に向かおうとした所にチンピラの乱闘騒ぎが勃発し、藤堂チームの慌ただしい1日が幕を開けます。
ゴリさん(竜 雷太)とボン(宮内 淳)がチンピラ達の制圧に向かい、山さん(露口 茂)と殿下(小野寺 昭)が看板の落下現場を検証。ボスはもちろん電話番ですw
で、看板は故意に落とされた=長さんが命を狙われた可能性が濃厚となり、長さんに恨みを持つ前科者のリストアップ、それぞれのアリバイ捜査、さらに長さんのボディーガードと、早くも仕事量が捜査員の数を凌駕しちゃいます。
そこに来て、聞き込み中の殿下が置き引きに遭ったサラリーマン(橋爪 功)に泣きつかれ、現金500万円が入ってるというバッグの行方を捜索する羽目に。
さらに山さんが捨てられた幼い兄弟を発見、その母親探しに翻弄させられます。
そして今度はイカレたヤク中男(蟹江敬三)が猟銃を乱射し、飲食店に籠城。無論そのテの危うい現場にはゴリさんとボンが駆り出されますw
「開店休業どころじゃねえな、こりゃ」
電話番のボスはそう言ってアッコ(木村理恵)を笑わせますが、現場で走り回る部下たちはたまったもんじゃありませんw
しかも、かつて長さんに捕まった青年が、ボンの聞き込みがきっかけで職場で前科バレしちゃうわ、殿下が置き引き被害者に経過報告の電話をしたら「ああ、実はあの鞄、タクシーに置き忘れてたんですよ」なんてケロッと言われちゃうわで、刑事たちの苦労がどうにも報われません。
そのとぼけたサラリーマンを演じる若き橋爪功さんの、心無い芝居がまた巧くて憎たらしいw
「どーもすいません、何の連絡もしなくって。警察が探してるってこと、すっかり忘れてたんっスわ、てっへっへ!」
「そうですか……見つかって良かったですね」
さすがの殿下も眼が笑ってませんw
一方、山さんはボンと合流し、ようやく捨て子の母親(伊佐山ひろ子)を発見します。どうやら夫に逃げられ、シングルマザーとしてやって行く自信が無くて子供を置き去りにしたんだけど、いざ対面するとやっぱり愛しく、泣きながら二人を抱きしめる若き母なのでした。
その様子を見て「山さん、良かったですね」と胸を撫で下ろすボンですが、山さんは下唇を突き出しながら言います。
「本当に良かったと思うか、ボン」
「え?」
「何も変わっちゃいない。これから先も、彼女は子供たちを抱えて苦労して、その苦しさに負けないという保証がどこにある? それが分かっていながら、俺たちにはこうするしか無いんだ」
後ろ髪を引かれながら、山さんとボンは母子を見送り、長さん襲撃事件(?)の捜査を再開。その結果、看板は実は老朽化による自然落下だった、つまり単なる事故だったことが判明し、一件落着。
すぐにボンは、アリバイを聞きに行った青年にその事実を報告するのですが……
「あんたはそれで済むだろうけど、俺はどうなるんだよ?」
ボンが聞き込みに行った後、前科者だったことがバレた青年は、居づらくなって職場を辞めたのでした。
ボンは彼の友人を装って職場を訪ねており、捜査に落ち度は無かった筈で、前科バレしたのは他に原因があったかも知れないんだけど、ボンは凹みます。
こうして全ての事件は解決し、長さんも無事に退院しました。けど、刑事たちには徒労感や後味の悪さしか残らない、散々な1日となりました。
「良かったんだよ、これで。長さんはこうして何でも無かったし、犯人もこさえずに済んだんだからな」
さっきボンに「本当に良かったと思うのか?」って言ってた山さんにそう言われても説得力がありませんw そんな淀んだ空気を吹き飛ばすべく、ボスは新人刑事の採用を発表するのでした。
「えっ、やっと欠員補充ですか! で、どんな刑事なんですか?」
「そいつは来てみなきゃ分かんねえな。こんなのかもな、こんなの」
「こんなの、こんなの?」
こんなの(画像5枚目のジェスチャー)とはつまり、毛むくじゃら人間のことだけど、視聴者には何のことだかサッパリ分かりませんw まぁ実際のところは、既にメディアで新人刑事=ロッキー(木之元 亮)のビジュアルが発表され話題になってましたから、大方の視聴者には分かってたかも知れません。
しかし、これほど慌ただしく多忙で、何から何までスッキリせず刑事たちが報われない『太陽にほえろ!』は前代未聞。今になって観直してもなお新鮮で、見応えがあります。
しかもゲストが野崎ファミリー(西 朱実、井岡文世、石垣恵三郎)に加えて橋爪功さん、蟹江敬三さん、伊佐山ひろ子さんと、通常ならメインゲストで起用される実力派の俳優さんたちが、ほんの1~2シーンの出番だけで次々登場する贅沢さ。その分もクオリティーが底上げされており、やっぱ凄い番組だとつくづく思います。
伊佐山ひろ子さんは当時24歳。ロマンポルノから一般作への転向に成功された女優さんの1人で、最近公開されたマーティン・スコセッシ監督のアメリカ映画『沈黙』にも出演される等、現在まで息長くご活躍中。
刑事ドラマへのゲスト出演も多数、中でも『太陽にほえろ!』と『特捜最前線』はいずれも計5回の最多出演。だけど私は何と言っても『大都会PART II』第3話で演じられた、立て籠り犯にストリップを強要される、地味なのにエロいウェイトレスの役が一番印象深いです。
ほか『大都会/闘いの日々』『新宿警察』『夜明けの刑事』『Gメン'75』『Gメン'82』『大追跡』『熱中時代 刑事編』『西部警察PART III』『ジャングル』etc…と、枚挙に暇ありません。
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