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『さすらい刑事旅情編III』#06

2023-05-27 17:02:07 | 刑事ドラマ'90年代

『さすらい刑事旅情編』の第3シリーズは1990年10月から’91年3月まで、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠で全23話が放映されました。

シブがき隊(布川敏和)に代わる新たな若手イケメン枠=桜田刑事には少年隊(植草克秀)が扮し……



小倉久寛、林家こぶ平の流れを汲む三枚目枠=角谷刑事は山崎大輔が演じてます。



誰やねん!?って思うけど、劇団スーパー・エキセントリック・シアターから抜擢された舞台俳優さんみたいです。



☆第6話『信州安曇野・結婚サギにあった女』(1990.11.14.OA/脚本=いとう斗士八/監督=田中秀夫)

JR東京駅構内で萩原という年配者(今福将雄)が何者かに刺され、松本行きあずさ17号の切符を握りしめたまま絶命します。毎週毎週、ニューヨークの地下鉄も真っ青になるホント物騒なステーションです。



で、殺された萩原氏は「月1回ペースで長野県松本市にいる娘に会いに行ってた」らしいんだけど、ショートカットになった西園寺刑事(高木美保)が調べてみたら、彼に息子はいるけど娘なんか存在しなかったから驚いた!



しかも、萩原氏の息子は14年前に松本市で強盗殺人をやらかし、関東の刑務所に服役中。

どうやら萩原氏が月1回ペースで会いに行ってた、そして殺された当日もあずさ17号で会いに行こうとしてた「娘」は、14年前に息子が殺してしまった被害者夫婦のひとり娘=公子(石田ゆり子)らしいのでした。



つまり萩原氏は、おそらく息子に代わって罪を償うべく、身分を隠して「あしながおじさん」を続けてきた。

両親が殺される現場を目撃し、心に深すぎる傷を負って生きてきた公子が、もし萩原氏の正体を最近知ったとしたら……



ショートヘアの西園寺刑事とリーゼント(三浦洋一)が、あずさ2号であなたから旅立つべく長野へと向かいます。

「あの子は普通の子とは違うんです。14年前の傷を引っ掻き回すようなことはやめて下さい!」



孤児となった公子を養子として大事に育ててきた叔母(柳川慶子)は、ショート&リーゼントに涙ながら訴えます。

そりゃそうでしょう。傷に触れないように触れないようにと、14年間も気遣いながらやって来たのに、いきなり訪ねてきたリーゼントのギョロ眼野郎にぶち壊されちゃたまったもんじゃありません。

ちなみにこのリーゼント男、出勤日の(つまり前夜酔い潰れたワケでもない普段どおりの)朝に起床するシーンで、バッキバキのリーゼントのまま布団から出て来てましたw いくら何でも、んなヤツは世界中探してもおらんやろ!💨



「彼女はそっとしといた方がいいと思うんだけど」

西園寺がたしなめても、24時間ヘアスタイルを崩さないだけあってリーゼントの意志は変わりません。

「いや、話した方がいいだろう。変な同情はしない方がいい」

「変な同情じゃないわ、人として普通の感情よ!」

「あの子だって普通の女の子なんだよ! ただ周りがそういう眼で見てあげないだけなんだ。可哀想だ可哀想だってな!」

どうやらリーゼント自身も幼い頃に両親と死別し、周囲から気を遣われる息苦しさを味わって来たようで、だから寝るときもバッキバキなんです。

そのツラさをよく知ってるからこそ、リーゼントはあえて単刀直入に斬り込むのでした。

「殺された萩原さんは、14年前にあなたの両親を殺害した犯人の父親なんです」



「それで私が殺したって言うんですか! 警察の人は捜査の為なら何をしても許されるんですかっ? 14年前のときも!」

どうやら公子の深い深い心の傷に、現地の警察は塩を塗りたくるような聴取を繰り返したらしい。主役の刑事が所属するチーム以外の警察官は全員、非道かつ無能なアホンダラと相場は決まってるんです。

おまけに今の公子には、見るからに狡猾そうな川口(市川 登)という婚約者が憑いてる。そんなもん、登場した瞬間に真犯人確定ですよねw



面倒だからクライマックスまで飛ばします。かくかくしかじかで、なんと真犯人は婚約者の川口(もちろん結婚詐欺師)だった!って事で、こう言っちゃ何だけどチンケな事件なのに、ボスの高杉警部(宇津井 健)もはるばる長野まで折り目正しく駆けつけます。



「萩原さんはね、あなたが川口に騙されてることを知らせようとして、彼に刺されたんですよ」



「なんであの人が、私の為に?」

「殺人犯の父親として、罪を償おうとしたんです」

それを聞いてようやく目を覚ました公子は、事件当日ずっと川口とチョメチョメしてたという証言を撤回します。

こういう時、必ず犯人が非道な捨て台詞を吐き、すかさずショーケンや優作のパンチを浴びるのが昭和から受け継がれた伝統のシステム。

「誰がこんな女、好きになるかよ。性格暗いし、面白くも何ともねえよ!」



おいおいっ!? 殴らせたれや宇津井健ーっ!!💨

もう既にこの時代、殴ろうとしても上司や仲間に止められるシステムが確立し、今じゃ殴りかかる素振りすら見せない草食刑事しか出てこない。そりゃ日本も衰退していく一方です。



なにがそんなに可笑しいーっ!?💨💨💨



またもや深い傷を負わされた公子に、西園寺がリーゼントに代わって真意を伝えます。

「問題は、そのツラい想い出とどう付き合っていくかだって。その為には、周りの人間が普通に接してあげることだって」

「……私、ツラかったんです。みんなが、私の心の傷に触れないように触れないようにってしてくれるのが……でも、川口さんは違ったんです」

弱ってる人にこそフランクに接する詐欺師のテクにまんまとハマったワケで、新興宗教の勧誘とよく似てます。今回もリーゼントの意見が正しかった。

「あの刑事さんのお陰で、少しラクになれた気がします」



こうしていつも美味しいとこをさらっていくリーゼント刑事は、今夜もバッキバキに油を塗りたくった頭で寝床に就き、ギョロ眼をかっ開いたまま眠ってることでしょう。

ゲストの石田ゆり子さんは、当時20歳か21歳くらい。沖縄は石垣島のご出身で、デビューは全日空の沖縄キャンペーンガール。女優としてのブレイクは実妹=石田ひかりさんの方が先でした。

本作より前にテレ東の連ドラ『マザコン刑事の事件簿』にレギュラー出演されたほか、『外事警察』『うぬぼれ刑事』『MOZU』『CRISIS』等にもご出演。

おっとりした雰囲気ゆえか、私の知る限り刑事役の履歴は無く、今回みたいに「事件に巻き込まれる」役どころばかりという印象。いつかバリバリの敏腕刑事役も見てみたいです。

 


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2 コメント

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Unknown (ムーミン)
2023-05-27 19:52:55
石田ゆり子さんゲストは貴重ですね。すぐに引退すると思ったのですが、いまだに第一線の息の長い女優さんになられてわからないものですね。当時からひかりさんよりゆり子さん派でしたけどここまで長く活躍するとは当時は思いもよりませんでした。水泳の第一線で活躍されて運動神経抜群な体育会系なので、今ならバリバリの刑事役できそうです。見てみたいですね。
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Unknown (harrison2018)
2023-05-27 20:36:47
この当時のゆり子さんはお世辞にも演技が上手いとは言えないし、一方でひかりさんは新人賞総ナメで朝ドラにも主演ですから、誰しもが同じように「姉の方はすぐ消える」と思った事でしょう。ホント分からないもんです。
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